235話
真実の一部が今明かされる。
「作られた神剣」
・・・はるか昔、勇者や魔王がいたその時代よりもずっと前からその計画は行われてきていた。
どこにも属しない、とある研究機関にてずっと研究されていたとある実験。
その始まりは何だったのかは今は誰も知らない。
けれども、唯一わかっているのは・・・・神々が持つ様な剣を作るという事だけであった。
その剣さえあれば、どんな相手にも負けず、どのようなモノにも対抗でき、世界を手にすることができるとも言われていた。
「あれば」の話であり、実在はしていなかったのだが・・・・そのような剣を作ろうという計画だったのだ。
それから月日が経ち、その剣だけはできた。
しかし、扱えるようなものはどこにもいなかった。
当たり前だが、強い力を持つものほどそれ相応のふさわしい器がなければ意味がない。
そして、その器を持つ者がいないためにその剣・・・・「神剣」と名付けられたそれには主がいなかった。
研究をして、作り上げた研究者たちはどうにかしてその器を持つような者を作りたかった。
なぜなら、せっかく剣だけを作ったとしても、それを扱えるものが居なければ意味がないからだ。
・・・ここに、「悪意」や「欲望」と言ったものが入り始めた。
その剣を扱えるようなものがいないのであれば創ればいい。
だが、命に関することはまだ研究途中であり、その剣に合わせて最初からと言うわけにはいかなかった。
そこで取られた手段と言うのが・・・・・・・その器を持つ者が現れるまで、違った武器を扱える者たちを自然繁殖によって、遺伝子に紛れさせて長い時を待つというものであった。
水晶に反応し、その時に自身の魂と呼べるようなものから自動的にその者の器にあった武器を出すようにしたのだ。そういう細工をするぐらいなら、神剣の研究をしているうちに自然にできていたのである。
そうして自然に神剣を扱えるものを待つのだが・・・・ここで思わぬことがあった。
「魂の一部から武器を」という形にしていたが、流石に魂は存在はすれども触れることはできない。
そして、武器は触れられる・・・・・そう、そのように触れられるような状態にするのには何が必要であろうか?
その触れられるものと、触れられない物という境界は非常に精密であり、矛盾が生じそうなものであった。
・・・・その矛盾によるものかは今未だにわかってはいない。だが、その時を境にして世界にモンスターが出現し始めた。
始めは弱く、誰にも倒せるような存在だったのかもしれない。
だが、次第に進化・・・いや、人の悪しき心と言うべきか、負の感情とも言うべきか・・・そう言ったものが影響していった結果、モンスターはその大元である武器を扱う適正者と呼ばれるようになった者たちにしか対処できなくなってしまっていた。
この時点で、モンスターを生み出す原因は判明はしていた。
・・・・だが、あえて研究をしていた者たちはそれを黙秘した。
いや、それどころか今度はモンスターについて興味を持ち始め、負の感情などと言ったものによるものの可能性があるとわかるといなや、それを高めるために彼らはあえてこういう噂を流した。
「モンスターの出現は魔族のせいである」
「いや、人間のせいだ」
などと言った噂をわざと流す。
悪意ある噂は広まり、次々と人間と魔族で対立が深まっていく。
・・・・そして戦争が起きる。
人間と魔族の争いでもあり、モンスターとも戦う中で研究者たちはその様子を傍観し続ける。
己の研究欲を満たすためだけに、命を命とも思わずに。
最後の勇者と魔王の決戦の場、その場を彼らは隠れて見ていた。
聖剣・魔剣はある意味かれらにとってもイレギュラーな存在で、そのような者が生まれるとは思っていなかった。
そして、これ幸いとばかりにその光景を神剣に直接見せ覚え込まさせる。
神剣にその戦いのデータをおぼえさせることによって、その持ち主が現れたときのサポートもできるようにであった。
勇者と魔王の死後、研究者たちはこの世界そのものがモンスターを生み出していたという発表を行った。
そのことは間違いではなかった。適正者と武器での間に生じる矛盾は、この世界そのものがモンスターと言う形で解消しているようなものであったから・・・・・・。
それから長い長い月日が経ち、ついに神剣を扱える器を彼らはようやく見つけた。
・・・・だが、見つけて向かった時点でその扱える人物はすでに息絶えていた。生まれつき病弱であり、生まれてすぐに死んだその赤ん坊を彼らは引き取った。
せっかく見つけた神剣を扱える者。その命をここで無駄に散らしてはまたいつ現れるかわからない。
そのため、彼らはとあることを実行した。
神剣とその赤子を一つにしたのである。
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「・・・・その結果、生まれたのがメゾンだったのか」
「その通りだ!!」
ご丁寧に、目の前の自称「神」と名乗る人物はややかいつまんでいたものの、わかりやすく解説をした。
余裕があり、隙がありそうだが・・・・気が抜けない状態である。
まだ相手が攻撃をしてこないうちに、出来るだけ情報を集めようとしていたジャックにとっては都合がよかった。
・・・そして、話の最中でもメゾンは何処か憎々しげな表情を浮かべていた。
「まあ、神剣だけの状態の時に勇者と魔王の戦いを見ていた影響かどうも自我も芽生えたようだしね。これを機会についでに野に放ち、逃がして観察をしていたというわけでもあるのさ!!」
「・・・まさか、あの時逃げられたのも」
「ぜぇぇぇぇんぶ、この神のおかげということだよ!!」
すごくうざいようにジャックは思えたが、メゾンの方はかなりイラついているようである。
「・・・まさかそのような真実が」
「驚きじゃのぅ・・・」
聖剣・魔剣であるシロとクロも驚いているようだ。
何せ、適正者、武器、モンスターの起源というものが今まさに明らかにされたようなものだ。
・・・そして、モンスターが生まれる原因と言うのもわかったが、まさかそう言うことだとは流石に予想が付かなかった。
「まあ兎も角、この神が知っているのはこれですべてだ!!さてと、せっかくだしこのまま死んでくれないかな?」
そうにこやかに言う目の前の自称神の人物は微笑むが・・・その感じは背筋にぞっと来るかのような嫌な気配を感じさせた。
「・・・メゾン、ここは一旦協力するか?」
「・・・ああ、別に良いだろう」
ジャックとメゾンはそれぞれ剣を構える。
かたや、聖剣と魔剣と言う白き輝きと黒き輝きを放つ剣を
かたや、神剣と言う灰色に輝く剣を
互いに敵同士でもあるが、目の前の人物は共通の敵であるようだ。
・・・・ここに、共闘関係が結ばれて戦いが始まる・・・・・・
まさかのかつての敵との共闘をすることになったジャック。
対峙するは自称「神」と名乗り、半透明の化け物たちを出現させた張本人。
聖剣・魔剣、神剣と3種の剣がそろい、今まさに戦いが始まる・・・・
次回に続く!!
・・・佳境かな。戦闘シーンは苦手だけど、うまくいくように善処を尽くします。




