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228話

ここ最近忙しいのでやや投稿が微妙になりがちです。

 冬も深まり、年を超える時期が近付く中、外は猛吹雪と化していた。


「うわぁ・・・・今日はなんかすごいな」

「学園も一時的に休校になるそうですからね」


 寮の食堂でジャックたちは朝食をとっていたのだが、外の吹雪のせいで寮内もうっすらと寒気を感じるほどであり、そのため全員温かいものを頼んで食べていた。


 うどんや鍋などこの時期にはうれしいメニューがあるのだが・・・


「ウマイウマイ♪」

「真っ赤に燃えているんだけど。すんごい自己主張をしている鍋だよねそれ」

「蒸気が絡みを感じさせるな」


 スカーレットが食べているのは、超・激辛地獄鍋である。寮の食堂のおばちゃん特製であり、スカーレットのためにわざわざ作ってくれたものらしい。


 スープがぼこぼことマグマのように真っ赤に輝いて自己主張し、その具材も辛さによって赤く染まり、まさに地獄とはこういうものなのかと錯覚させるような存在感を漂わさせていた。


 一口だけでもとんでもない辛さを誇るだろうが。スカーレットはちょっと汗をかいているだけで、おいしそうに鍋を食べていた。


 見た目は美少女だが、それでもこの鍋を食せる時点で人ではないとはっきりわかる。


「スカーレットってモンスターだよね・・・・味覚とかもやっぱ人とは違うのかな?」

「いや、もうこの鍋がある意味モンスターなような気がする」


 みている方が辛さを感じるこの鍋を平然と食せるスカーレット・・・改めてモンスターのすごさをその場にいた全員はある意味違った方向で理解したのであった。


「ウマー」

「ちょっと一口いいか?」


 スカーレットの様子から欲しくなったのか、鍋のスープをすくって飲み干し・・・・その後に何が起きたかは想像が容易い。だが、ここで言うなれば彼はその辛さの証明のための犠牲になったのである・・・・・・。


今回のロイスの死亡原因:辛死


「死んでいないか」

「死んでませんわね」


 気絶したロイスを、その場にほうってくのであった。




 とにもかくにも、今日のこの猛吹雪では流石に授業を行いにくいと学園長は判断したらしく、一時的な休校となった。


 そのため、外にも出るわけにはいかないので全員が寮内の部屋でそれぞれ集まって遊んだりしていた。


 一応、万が一モンスターが出現したら討伐しに行かなければいけないので、先に武器の手入れをすることにしたのだが。




「聖剣・魔剣って、前の状態の方が手入れしやすかったような気がするな」

「何かひどくないですかね」

「それはどうしようもないのじゃよ」


 自室にて、ジャックはシロとクロ・・・聖剣と魔剣を手入れしていたのだが、完全に昔の勇者と魔王が使っていたころの状態に戻っているせいで、装飾の部分とかが増えていてむしろ手入れの手間が増えたような気がした。


 ・・・一応この剣はシロとクロの身体でもあるから、考え方によっては彼女たちの身体を直接・・・


(・・・やめておこう。なんか恥ずかしいな)



 ジャックはそこまで思い当たったのだが、人の姿の時の彼女たちを思い出したので考えるのを止めた。


 感覚としては、剣の時はほとんど感じないらしいけど、それでも肉体的感覚の様なものはあるそうだし、一応丁寧に刀身の部分等は拭いておく。


 切れ味は魔力を流せばいつでも斬れるのだけど、やはり日頃の手入れは必要なのだ。


 こういう武器の手入れはたまに心を落ち着かせる行為でもあり、なんとなく思い出したり・・・・



「・・・そういえば、ふと思ったんだけどさ」

「ん?」

「なんじゃ?」


「メゾンってやつがいたよな」



・・・対魔勇団を率いていた存在であり、、シロとクロの勘によってその存在は同種のモノの様で、何かが違うというやつであった。


 人の身体を持つが、灰色に輝く剣もメゾン自身であるという謎の存在。



 シロとクロに近いようで、異なる不気味な存在であり、現在は国外へ逃れて行方不明である。



「ああいう感じにこの剣と人の姿って結局使途とクロは分離できないんだよなと思ってね」

「ええ、ちょっとやって見たのですがやはり無理ですね」

「剣そのものに体が同化しておるし、ああいう感じにはできないのじゃよ」


 今もなお見つかってはいないのだが、なんとなく不安を感じる存在でもある。


「あれが適正者の武器だとしてもさ、その所有者がいない状態でどうやって顕現しているのだろうかとなんとなく思ったんだよね」



 適正者の武器は、その所有者が死ぬとこの世界ではないどこかに行き、この世から存在しなくなる。


 そして、ふたたびその所有者が出ると顕現できるのだが、あのメゾンが武器だとしたら、その説明がつかないのだ。



 所有者がいないのに、存在し続ける適正者の武器・・・・メゾン自身が人の姿と剣の姿を同時にしていたが、あの人の姿の方が所有者とは思えない。



「もしかしたらの可能性ですが、所有者がいる状態でこの世に顕現した武器って可能性もあります」

「離れ離れになっておると考えるのが妥当なところじゃな」


 つまり、メゾンの所有者は生きてはいるが、彼・・・彼女?とは別行動をしているような可能性があるという。



 だが、適正者は水晶の儀の時に発覚し、武器もそれと同時に顕現をする。


 しかし、対魔勇団討伐後学園長がその各国の適正者の武器についての調査をしたところ、あの灰色に輝く剣の持ち主はいないという事だった。


 

「今さらながら考えるのもあれだけどさ、そういう事ってあるのかな」

「勇者様がいた時代だと・・・・たまーにありましたね。自分が適正者だと知らずにその力を悪行に使っていた大アホ野郎とかですね。まあ、結末としていつもロイスさんのような状態になってましたが」

「魔王様の方でも同じじゃな。まあ、ロイスのほうと同じような感じじゃろう」


 早い話、悪行に使っていた適正者たち皆哀れなことになったようである。ロイスのように頑丈でもないだろうし、命を落としたものもいそうだ。



「こういう吹雪の日とかって、メゾンが何か裏で工作してこうやっているんじゃないかと思っちゃったんだよな・・」

「まあ、流石に人為的に天候を操ることは無理ですよ」

「アンド学園長ならできそうじゃがのぅ」


 物凄い説得力である。



 とまあ、その日は吹雪で学園が休校となりつつも、モンスターが出現しない平和な日であった・・・・。


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SIDE???



首都から少し離れた平原の真ん中にその者はいた。


「・・・天候操作もある程度可能か」


 その白衣を着た人物・・・・いや、それはもうヒトではない。


 人間でも魔族でもなく、この世の理から外れたその存在は、そうつぶやく。



 心が落ち着いてきたので、自身の力がいかほどの物か確認するために、人為的に(・・・)天候に手を加えたのである。


「・・・くっくっくっく・・この力は素晴らしい。この力さえあれば、世界のどんな出来事も知れそうだ・・・・・いや、それどころかこの世界の外側の方も知れそうだ」



 興奮のあまりに、思わず笑みを浮かべるその存在。


 自身の欲望・・・探求心を深め、何がどうなのかよりよく知りたくなる。


 だが、ここで急いては事を仕損じると言う言葉があるように、下手をすれば適正者たちが来て討伐をしに来るのかもしれない。


 けど、討伐されるどころか、むしろ返り討ちに出来そうだなとその存在は感じていた。



 しかし、異形のモノになったとはいえ、理性までは失わずに今の自身の事をよりよく知ってからだと、心に言い聞かせてその場を離れるのであった・・・・・・。




・・・・先に動くのはどちらであろうか。

得体のしれぬ異形の存在か、適正者たちかはたまたは・・・・。

その時は静かに近づいてきて、牙をむき始めるであろう・・・

次回に続く!!


・・・スカーレットが食べている鍋ってスコヴィル値がとんでもないことになっているだろうけど、よくよく考えたらその鍋を作った人もある意味スゴイのでは、と書いた後に気が付きました。

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