225話
本日2話目
「ロイス=ボンさん、検査結果が出ました」
某所病院の診察室で、ロイスは精密検査の結果を医師から聞くことになった。
「先生、結果はどうなっていたのですか?」
慎重な声で、緊張しながらロイスは尋ねる。
己のそのほぼ不死身な耐久力にはロイス自身も気になっており、どのような結果が出るのかが不安だった。
「まず、間違いなく言えることとしては・・・・・・・・あなた、人間を辞めてますよ」
「・・・まじですか」
「まじです」
その言葉に確認の声をとると、医師はそう答えた。
「内臓の数や内臓器官、血液神経系などは普通の人間そのもです。ですが、基本的な構造だけは人間そのままであり、細胞が人間ではないモノに置き換わっているのです」
「人間ではないモノに置き換わっているとは・・・・どういうことですか?」
そのロイスの質問に対して、意志は少々考え込んでから言った。
「そうですね・・・・一つ聞きますが、あなたは今までに体がぐちゃぐちゃな状態にあったことがありますか?」
「・・・・結構あります」
心当たりとしては、リンのメイスとか、蹴りとか、パンチとか・・・・・・・・表現できないような状態になったことが結構ある。
どれも一応シラタマの回復魔法などで回復したりしており、いくつかは自力で復活をしている。
「何度も何度も繰り返し、再生しているうちにおそらくですがあなたの身体自体がその再生に対しての特性が伸びて、そうやすやすと死なない体組織へと変換されていったようです。しかし、そのように変化するには時間が長いこと掛かるはずです」
医師に言われて、ロイスには心当たりがあった。
幼い時からリンにそのような自業自得とはいえ、毎回毎回ひどい目に遭わされてきているのである。
その長年の繰り返しが積み重なっていった結果、ロイスの身体は徐々に変化していき、普通の人間の上体から入れ替わったのであろう。
「人間を辞めて、言うなれば新しい魔族ともいえます。言うなれば・・・・『ロイス族』とかですかね。一世代限りの限定的なものとなるでしょうが」
「そのままじゃねぇか!!」
ロイスのツッコミが響き渡り、その日、新たな種族が記録されるのであった・・・・・・。
人間から変化し、魔族へと変貌した初めての例として、後世までロイスの事は語り継がれるのであった・・・・・。
ロイスの種族名:「ロイス族」
一世代限りのみであると考えられる魔族の一つ。長年の様々な重度の肉体負荷によって細胞が変質し、入れ替わって人間を辞めたとされる人類史上初の魔族化の例である。
しかし、単純にそう簡単には死なないだけの生命力を得ただけと言う微妙さがある。例えで言うなれば、冷蔵庫の裏とかに隠れていそうなG以上のしぶとさがあるというだけである。
・・・なお、後世の記録によると、ドMと言う記録もあったが本人は否定している。




