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223話

今回もジャックは出てない。主人公が出ない話とはこれいかに。

 ビクトリアが訪れてきた翌日、学園の校庭には生徒たちが集まっていた。



 本来であるならば今日も平日のため、ここは訓練の場として使用されるのであるが、今日は特別にビクトリア対ロイスの試合のために、一時的な休校扱いになっていたのである。


 学園長が面白そうだと思って、そうしたのであり、これ幸いと思ってこの試合を見に来ないで遊びに行く人もいたが、大半は観客として来ていたのであった。



「カァーッツ!!カァーッカッ!!」


 ロイスのペットで我が子でもあるシラタマが、応援するかのように応援席で泣き叫ぶ。


 その横では、最近シラタマの彼女になったらしい小さな鳥のメスが寄り添っていた。



・・・先を越されたとロイスは思ったが、とにもかくにも応援してくれているようでありがたかった。


「では、これよりビクトリア対ロイスの試合を開始するわ。審判は特別に、私アンド=レアスが執り行う物とするわね」

「はい!」

「わかっています!」


 それぞれに確認を取り、ロイスとビクトリアは返事をした。


「ルールは、簡単に降参をするか、させるか。もしくは私の判断で行います。ロイスが勝利すれば単純にゴーリン師匠の弟子とビクトリアが認めて、しばらくこの学園で用務員として働いてもらう。ビクトリアが勝利すれば、ロイスはゴーリン師匠の弟子と言えなくなって、しばらく学園内で皆の雑用をしてもらうでいいですよね?」

「その通りです!!」

「覚悟はできています!!」


・・綿密な協議の末、互いにこの合意に至ったので、文句はなかった。


「ロイス!!必ずお前を負かしてやるわ!!」


 びしっと、大剣をロイスに向けるビクトリア。


 見た目は幼女であるが、その構えからして相当な戦闘経験があるのだとロイスは感じ取れた。



 普段は、罠にかけられ、リンにぎったぎたのめっためたにされ、ろくな目に遭っていないロイスであったが、誰よりも死線に立っている分、度胸はあった。


「それはこっちのセリフだ!!師匠の名に懸けて、俺は全力で相手をする!!」


 ロイスも負けじと大剣をビクトリアへむける。


 互いに火花を散らし、迫力はあるのだが・・・・・如何せん、構図的にロイスが悪者の方に見えそうであった。



「それでは、試合開始よ!!」


 学園長が開始の合図を言うのと同時に、互いの大剣がぶつかり合った。



ガキィィィイン!!


「くっつ!!」

「ぬっつ!!」


 すばやく距離を取り、大剣を振りかざし、たたきつけ、薙ぎ払う。



 互いに大剣と言う同種の武器であるがために、戦い方はどちらも似たようなものになり、さらに同じ師匠の弟子と言うこともあって、同様にその師匠から受け継いだ技を持っているのだ。



「でぇぇぇやぁぁ!!」

「甘い!!」


ギィンッツ!!とビクトリアが振り下ろしてきた大剣を、ロイスはがっしりと構えて受け止める。



「こっちのほうが、重量的には勝っているからな!!有利だぜ!!」


 大きな大剣は、その分その重量もそれなりのものとなる。


 そして、それを扱う側の方もある程度の力量もいるので扱いとしてはかなり難しいものでもあるのだ。


「けど!!うちの方が素早いんだよ!!」


 ビクトリアも負けじと、力では負けている分、素早さでカバーをする。



 力と速さ、その二つのぶつかり合いが金属音と共に、火花を散らしていく。


 物凄く珍しくロイスがまともに戦えていることに、皆が驚き、それぞれを応援しだす。



「頑張れー!!」

「やれやれー!!ロイスをぶっ飛ばせー!!」

「少女を攻撃する方が悪く見えるぞー!!」

「ここは勝ちを譲ってやれよロイスー!!」


「俺へのモノだけ物凄くひどくないか!?」



 とにもかくにも、互いに一進一退の攻防を繰り広げる。


「ぐっ、中々しぶといな!!」

「それはこっちのセリフだ!!」


 互いに意地と意地がぶつかり合い、大剣がぶつかり合い、勝負は白熱する。



「けど!これであんたは終わりよ!!」


 ぶつかり合いの最中に、ビクトリアは一瞬のロイスの隙を見つけた。


 大剣は大振りになる分隙があるのだが、彼らは師匠に学びその隙の部分を補えるようになるべき細心の注意を払っていた。


 だが、戦闘経験としてはロイスよりも長く生きているビクトリアの方が積んでおり、その隙を見出したのである!!



「ぜやぁぁぁぁっ!!」


ザシュッツ!!と大剣が振るわれ、ロイスの身体がぶっ飛ばされる。


 明らかに肉が切れたかのような音がしたのだが・・・・・・


「へん!!そのぐらいはリンのせいで慣れているって!!」


 2,3度はバウンドしつつも、平気そうにロイスは立ち上がった。


「うそぅ!?」


 これには全員驚く。


 明らかに胴体が切れた音がしたのだが、その部分の服は裂けているモノの、見えている肌には少し血がにじんだ後があるだけで、ほとんど無傷である。


「なんでこれであんたの身体を掻っ捌けてないのよ!?」

「叩かれ慣れているんでな!!その分頑丈になっているんだ!」


 驚愕のビクトリアのその隙を逃さずにロイスは素早く距離を詰める。


「これでも喰らえ!!師匠直伝『大地斬(アースラッシュ)』!!」


 思いっきり大剣を真上から振りかぶり、地面にたたきつける。


 その瞬間、そこからビクトリアに向かって地面が割れて・・・・衝撃が上に爆ぜた!!


ドォォォン!!


「「「「はぁぁぁぁあっ!?」」」」


 この攻撃に、見ていた観客の生徒たちは驚く。


 普段のロイスの攻撃とは到底思えないようなその攻撃に、皆予想が付かなかったのだ。


・・・・実は意外にも、ロイスは実力がある。


 だが、普段の体たらく・・・・リンにわざと挑発的な言葉を言ってぶっ飛ばされたりなどされているので、その実力は見えなかったのである。


 しかし、ジャックとの模擬戦でもそこそこの奮闘を見せているところから、かなり強さもあったのだ!!


 まあ、モテないのは人間性のものなどいろいろあるのだが・・・・・・




「やったか!?」


 ロイスはそのまま素早く離れて、いつでも攻撃に対応出来るように構え直す。


 衝撃による土煙がはれると・・・・そこには大剣が残されているだけだった。


「なっ!?」

「・・・気が付くのが遅かったね」


 ロイスがその事に気が付いたときにはもう遅い。


 背後にはビクトリアが回り込んでいて、その拳は固く握られてロイスの背中にヒットした。


「がぁぁぁ!!」


 ロイスはふっ飛ばされ、空中にあげられる。



 ビクトリアは攻撃を受ける直前に、自身の武器である大剣を身代わりにして素早く身をくらませた。


 そこから徒手空拳でいっきにロイスをぶっ飛ばしたのである。



「うちのこの攻撃はな、確実に相手の人体的な急所への攻撃に命中しているんだ。流石にこれは効いただろ!!」


 上空から落ちてくるロイスにあたらないように場所を避難して叫ぶビクトリア。



 誰もが、もうビクトリアの勝利を確信した瞬間であった。




 だが・・・


「このぐらいで効かねぇよ!!」

「なっ!?」


 確実に気絶するほどの激痛に襲われているとビクトリアは思っていたが、何故か(・・・)気絶することもなく、ぴんぴんしていた。


 ロイスはそのまま空中で大剣をぶん回して・・・・・・落下が止まった。



「「「「はぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」


 そのままロイスの身体が空中に浮き始めたのを見て、その場にいた全員が驚愕の声を上げる。



 回転しながらロイスはそのまま空中からビクトリアに狙いを定めた。



「ターゲットロックオン!!ファイヤー!!」


 そのまま遠心力を利用し、ロイスの手から大剣がビクトリアめがけて放たれた。



 勢いもあって、よけようとビクトリアが動いた・・・・が、時すでにおそし。



だぁぁぁぁぁん!!


 大剣はビクトリアの足元にぶっ刺さり、地面の破片が飛び散り・・・・・



「これで終わりだな」

「くっ・・・」


 ロイスが素早く地面に着地し、大剣を抜いてビクトリアの首元に当てた。


「・・・わかった。降参だ」


 ビクトリアは負けたのが悔しそうな顔をしながら、降参を認めたのであった・・・・・。




 周囲の者たちからしてみれば、どことなく納得がいかなかったがね。






そもそも、ビクトリアがロイスを上にあげた攻撃とかは、確実に相手に極度の激痛を与え気絶させるような技であった。だが、ロイスはそれを意にも介さずにぴんぴんしていた。その事が意味するのは・・・・。



 なお、ジャックたちは街中でデート中である。今回出ていないのはそれが理由なのだ。

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