21話
「学園もの」のキーワード入れようかな
「それでは、今日の訓練はここまでよ」
「・・・はい」
学園長の今日の訓練が終わり、ジャックはヘロヘロになりながらも寮へ戻った。
入学式から半月ほど。ほぼ毎日学園長の訓練を受けているが、かなりズタボロになって終わる。
校庭から出れば怪我などはすぐに治るが、体力までは戻らないようである。
「マスター、今日も大変でしたよね・・・」
「あそこまでやるのは魔王様の側近にもいなかったのじゃ」
シロとクロが人の姿になって話しかけてくれるが・・・・魔王と勇者の剣であったこの二人にもそこまで言わせるとは、学園長生まれる時代を間違えていたんじゃないか?
訓練の内容は、学園長の気分によって変わる。
ある時は魔法をかわし続けさせられ、ある時は素振り何千回もさせられ断ったら追加、ある時は目隠しさせられた状態で攻撃を当てろというものであった。
今日は、魔法を何とかすべて防げと言われてかなり疲れたよ・・・・。
その壮絶さは他の適正者たちにも伝わっているらしく、哀れみの眼が増えたような気がする。
たまに、罰則として受けさせられる人がいたけど、その人たちも苦労しているようであった。
「風呂でお背中ながしましょうか?」
「いや、男女一緒に入浴したらダメだろ・・・」
さすがにそれはダメだろ。
「あー、体力までは回復しないのがつらい・・・」
「ジャック大丈夫かよ?」
「物凄く大変そうよね・・・」
「へとへと」
翌日、授業開始前に教室にて机にうつぶせになっていたジャックを見て、ロイスたちは心配の声をかけた。
「学園長の訓練死にそうだよ・・・」
「死にそうって・・・まあ、わかるけどな。半殺しぐらいにあっているからなぁ」
「わかるかロイスよ!!」
「わかるぜジャック!!」
ロイスとの友情が深まった気がした。
「マスター、少しおかしくなっていませんか?」
「学園長との訓練で少々壊れたのじゃろうな・・・」
「そういえば、シロとクロもジャックの剣として一緒に訓練しているのでしょう?なんで二人は平気そうな感じなの?」
「妾たちはマスターの剣じゃ。バシバシ魔法が当たったりしてはおるが」
「痛いんですけど、そこまでと言うわけではありませんし、もともと頑丈ですので」
女子トークが何やら言い合っているよ。
「まあ、魔剣である妾にとってはへでもないわい」
「聖剣である私にとっても大丈夫です。ですが・・・勇者様と一緒の時にはこういうのはありませんでしたからねぇ・・」
「魔王様の方も同じじゃ。そもそも、今のマスターが貧じ、もといちょっと弱いだけだしのぅ」
貧弱と言いかけなかったか?
「魂は同じようなものですけど、やっぱり努力が一番大切なんですよ」
「うむ、魔王様も日々努力をしていたからな」
勇者も魔王も、聖剣・魔剣と言う強力な武器を持ってはいたが、頼りきりではなかったという事だよなぁ・・・。
「だけど、俺は別に最強とかそこまで行く気はないからな。モンスターとの戦闘で死なないようになればいいし」
「それはわかっていますよ。マスターはご自分で考えて行動なさるのがよいのですし」
「まあ、妾達を完全に使いこなせれば大丈夫だとは思うがのぅ」
苦笑を浮かべるシロと、軽く笑うクロ。
と、チャイムが鳴った。朝の授業開始数分前である。
「おっと、シロとクロ、剣の姿になってくれ。授業中はさすがに武器の姿の方がいいからな」
この二人、人の姿になれるけどこの学校の生徒と言うわけではないからな。
机といすを用意してもらって一緒に授業とか受けれたらそれはそれでよかったのだが、学業嫌いのようだし。ただし、できないからというわけではないようだ。
試しに問題だしてみたら100点満点中100点だった・・・・。
その結果を聞いたロイスたちが代わりに宿題を解いてくれと言ってきたが、学園長の耳にすぐに入ったらしく、速攻で禁止にされたうえにその日の訓練がより厳しいものになった。
「よーしおまえら全員席についているか―――!!」
教室のドアが開き、先生が入ってきた。1限目の歴史学担当のニュメラウスン先生である。読みにくい名前で有名な人で、適正者ではない普通の先生である。アフロだけど。しかも、下に屈んだ時に判明したんだけど中心部がミステリーサークルのように毛がなかった。剥げてしまっているとかではなく、そういう模様を髪につけることによって脱毛を防いでいるのだとか。
・・・・根本から何かが間違っているような気がする。
「今日は入学式からちょうど半月ほどたっているのだが、留学生が来たので紹介するぞ!!」
留学生?
と、全員が疑問に思っていたところに誰かが入ってきた。
だいたい同年代ぐらいの女子だろうか?縦ロールのドリルのような金髪の髪形に、ちょっと目つきが鋭い感じの気が強そうなお嬢様っていうイメージのような顔である。
服装は学園の規定にあった普通の服装だが、布の材質が高そうな感じに見える。手にあるのはガントレットとかいうような武器なのだろうか?黒いな。
「初めまして皆さま、わたくしギアス帝国からやってまいりました第3皇女『ルナ=ギアス』ですわ。どうぞ今後お見知りおきをですわ」
「第3皇女!?」
「ギアス帝国って隣国の!?」
「そこのお姫様ってこと!?」
教室内が騒然とする。
ギアス帝国は隣国にある帝国でこの国と友好条約を結んでいるらしい。近年活発らしく、著しく発展をとげているようである。
皆が騒いでいるのを一瞥した皇女はちょっと俺の方を見たような気がした。
やべ、あまり驚けていないことに不満持たれたかな?最近の学園長との訓練のせいでこういう神経が疲れたのか驚くことが余りできなくなっているんだよ。
「皆さま、そこまで驚かれなくてもよいですわ。わたくしは第3皇女。王位継承権も低いのですし、皆さまと同じ単なる適正者。気軽にルナとでもお好きに呼びなさればいいのですわ」
なんか意外な感じだな・・・もっと気が強い感じがしたけど常識人って感じだ。
「えー、と言うわけで留学生としてこれからおまえらと同じ授業を受けることになる。以上だ!」
と、また皇女がこっちを見たような気がしたけど・・・なんかタカのような視線な気がした。
金髪ドリルのような髪形・・・・ちょっとイメージ的に思って検索してみたら意外にいるのか・・・。




