209話
事後処理みたいな感じです
SIDE アールスライド国の王城
「・・・・人為的なモンスターの発生か」
「はい、調べたところその可能性が高いと思われます」
城内にある会議室にて、今回のスコヴィルエルダートレントの大群についての事後処理の報告がなされていた。
討伐完了から1週間が過ぎ、やっと全部の報告がまとまったのである。
「そもそも、発生したと思われる地点に調査員を送りこんだところ、土壌から違法薬品の類の様なものを検出。以前、牛男・・・もとい人間からモンスターに変化させる薬と、帝国から送られてきたサンプルとも成分のいくつかが一致いたしました」
「不明成分部分か・・・いくつかは一致したということは、その材料はほぼ似たようなものだというわけか」
「はい、同一人物による作成品か、もしくはどこかの組織によるものの可能性かと・・・・」
その可能性は、会議室内に重い静寂をもたらした。
モンスターの人工発生・・・・それは、使いようによっては物凄く不味い事態となる。
モンスターは適正者が対処して討伐するのだが、適正者の数にも限りはある。
毎回毎回出しまくって疲弊させ、国そのものを落とすようにできる可能性もあるのだ。
「今回のスコヴィルエルダートレントは、マザーと呼ばれるモンスターが複数体いたことを確認しており、異常だったようです。また、未知のモンスターが潜んでいる可能性もあります」
「未知のモンスターだと?」
「はっ、討伐をあらかた終えたところで、聖剣・魔剣所持者であるジャック=ラルゼがその未知のモンスターの物による攻撃によって危うく出血多量で死にかけたという報告があります。現在は容体は安定しているようですが・・・・・」
そのジャックに攻撃したと思われるモンスターは現在所在不明である。
「異常発生、未知のモンスターの出現・・・・どこの誰がこんなめんどくさいことを起こすのだ!!」
国王はその事に対し、叫ぶ。
会議室にいる全員も同じ気持ちであった。
「どこの誰と言われましても、引き起こした人物は不明です。現在も調査中ですが・・・・・まずい事態に動く可能性もあります」
「まずい事態だと?」
「はい、そもそも、今は人間と魔族は仲良くしてますが大昔は互に争ってました。・・・・・そのもともとの争いの原因はなんでしたか?」
その言葉に、全員がはっと気が付く。
「互いに・・・モンスターを発生させたと言いあっていたことだったな」
それがもとで、人間と魔族の間には長い争いが起きたのだ。
「そのことを考えると、また似たような事態がひきおこる可能性も否定はできません。何せ、今でさえ人間と魔族両者のわずかな人数に、互いに嫌悪をしているような者たちがいるのです。その者たちがこの件で火種を大きくする可能性が・・・・」
考えると、それは非常にまずい。
それに、昔なら勇者と魔王と言う力が人間と魔族両者にいたが、今では・・・・その力を持つ者は片側、人間の方にしかいない。
しかし、その人物が魔族側になる可能性だって無きにしも非ず。
その結果、その力を、その人物をめぐっての争いが二次的に起きる可能性もあるのだ。
今回の件を重く受け止めた王国は、各国に緊急連絡を取り、対策を実行すべく動き始めたのであった・・・・。
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SIDEジャック
「やっと退院できたのはいいけどさ、血を作るために鉄分を多くとれって・・・」
「仕方がないですわ。ジャックはあの時血を多く流し、輸血によって何とかなったものの、血液不足には間違いないのですもの」
「魔族『吸血鬼』一族の御用達製品『もりもり血液』ってこういう時に役に立つですのん」
ジャックはもうすでに退院し、学園生活に復帰していた。
本日は休日であり、ルナとヨナと一緒にデートをしていたのである。
ダブルデートと言うことになるのだが、周囲の男性の目が怖ろしい。
(・・・モンスターよりも、怨嗟の目線が怖ろしいとはこれいかに)
ジャックは内心そう思った。
「そうそう、結局学園祭のご褒美の件はどうなったの?」
忘れそうになっていたが、学園祭の最優秀賞のクラスにはたしか「魔王城ツアー」が与えられる予定であった。
「その事ですが、来週にわたくしたちのクラスに与えられることになったようですわ」
「もともとほぼ確実でしたのん」
あのモンスターによることがなくても、ほぼ確実だったようである。
「まあ、ジャックの負傷の件で遅れてですが・・・やっぱりいっしょに行けたほうが良いですもの」
ルナのその笑顔に、ジャックは不意を喰らったような気がした。
内心ドッキンとしながらも、ジャックは平静を根性で保つのであった・・・・。
いよいよ魔王城へ向かうジャックたち。
2泊3日で過ごすようだが、魔王城の事で黒のテンションが高くなりそうである。
出来るだけ、めんどくさいことはこの時ばかりは忘れたい。
次回に続く!!
・・・・火種はくすぶり、徐々に広がるのかな・・・・




