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207話

本日たしか3話目

今回はかなり微妙回かもしれないし、ちょっと設定が見えるかも。

「・・・・あれ?」


ふと、ジャックが気が付くとどこか謎の場所にいた。


 ふよふよと漂う感覚はしているのだが、身体を動かせるような状態ではない。


 あたりはまるで真っ暗な闇夜の様で、見える範囲を見ても何も見えない。


 

 この状況になる前の事をジャックは思い出し・・・・・・なぜこうなっているのかに結論を付けた。


「そうか、俺串刺しになったんだった」


 記憶に残っている最後は、背中と体内と腹からの激痛。


 魔力を消費していて弱っていたところに、一気に来た強烈な一撃により自分は意識を失ったのだとジャックは理解した。


「・・・って、まさかそれで俺は死んだのか!?」

「「死んでねぇって!!」」


 死んだのかとジャックが思った時に、何処からかなぞのツッコミの声が聞こえた。


 その声がする方向を振り向こうとしたが・・・・如何せん体の自由が利かない。


「死にかけの一歩手前だったが、輸血によって助かっているんだよお前は」

「これ俺たちが生きていたころだと確実に死んでいたけどな」


 何か聞き覚えがあるような人の声だが、思い出せない。


「あのー、誰ですかね?」


 姿も見えない、体の自由も聞かないので、ジャックは疑問の声を出すしかなかった。


「あー・・・・俺たちはなんといえばいいのかな?なあ?」

「いや、こっちにふられても・・・・どういうのだろうか?」


 何やら困った声に切り替わる。



残存意識(・・・・)?とでもいうべきかな。というかほとんど残っていないようなものだし」

「力はあれども、生まれ変わればほとんどなくなるようだからな。しかも混じって(・・・・)いる(・・)から余計ややこしい」


 あやふやな回答で、いまいち要領を得ない。


 というか、聞いているジャックからしてみれば優柔不断な感じに聞こえて少しイライラしてくる。


「「まあ、とりあえず『謎の声1と2』でも」」

「そのまま過ぎませんかね!?」


 あまりにもなネーミングセンスに、ジャックはツッコミを入れた。




 とりあえず、話が進みそうにないので、その通りにすることに。


 姿は見えぬが声はするのでとりあえず会話は成り立つ様なので、軽くこの状況説明をジャックは求めた。



「まあ、簡単に言えば死線ってとこだな。死にかけの一歩手前の・・・・言葉を借りるなら三途の川ってやつだ」

「三途の川?」

「要は死ぬ寸前の世界。誰しもがここにきて、そして死んでいくのだ」

「・・・・つまり、俺はもう死ぬと?」

「「さっきの話を聞いていたのかお前は?」」


 謎の声1,2によるツッコミによると、輸血でギリギリ助かったとか。


 でも、出血性のショックで死にかけたせいか、意識がこの場所にとどまってしまっているのだという。


「死ぬ寸前で踏みとどまったということだな」

「わかりやすく言うならば、テストの赤点ギリギリで危うく補習いきだったみたいな感じだろう」

「かなりわかりやすい例えですね」


 学園にもテストがあるけど、このテストでもし赤点だった場合は学園長から直々の訓練補習があるのだ。


 恐ろしくわかりやすく、ジャックはぞっとした。



「まあ、もうじき起きるだろうし気にしなくていいな。ここで起きたのは夢みたいなものだと思えばいいよ」

「夢ですか・・」

「単純に我らが興味を持って話しかけに来ただけでもあるがな」


 興味本位で話しかけただけのようである。


「まあ、聖剣・・彼女が君に無事わたってくれてよかったよ」

「魔剣の方もな。我らの魂ゆえに、彼女たちはこやつに惹かれ、顕現できたのだ」

「・・・・・・ん?」


 その言い方に、ジャックはふと気が付いた。


 ジャックの前の聖剣・魔剣の持ち主らしき発言ということは・・・・・


「まさか!?」


 ジャックは思い当たった。



かつて、聖剣を扱い、人間の希望として戦いし者。


かつて、魔剣を扱い、魔族達の王として戦いし者。



・・・・つまりは・・・・・・



 答えを出そうとしたところで、ジャックの意識は途切れた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「・・・・ふぅ、まさか死にかけるとは思っていなかったね」

「まあ、我等の生まれ変わりとはいえ一応死ぬときはあるからな」


 ジャックの意識が消えた後、その空間には二人の声が続いていた。


「とはいってもなぁ・・力が強すぎたために、消えずにここで自分の来世を見続けるってのはどうなのかな」

「別に楽しんでいるだろうが・・・・それに、我の来世でもあるからな」

「それもそうか」


 あはははと、軽く笑いあう二つの声。


「・・・・とりあえず、出血死は免れただろうけど気になりはするな。あの木の根っこ・・・あーこういう時に動けないのは歯がゆいな」

「すでに我らは死んでいる身。こうして存在が残っているだけでも奇跡のようなものだ。体の主導権があのモノから離れたそのわずかな時にだけ、しかも二人で操作せねば動けぬよ」

「そうそう、出来たのは去年の夏だけだしねー。まあ、すんごく疲れるからやりたくはないけどね」

「同意はする」




「・・・さてと、そろそろこちらも時間か。今回起きれたのはわずかだけだったね」

「仕方があるまい。死にかけの状況にでもならぬと話しかけられぬ。だが、また同じようなことは起きぬように願うだけだ・・・・・・・・・・・」


 徐々に声が小さくなり、その空間から話し声は消えてしまったのであった・・・・・・。



さて、この謎の空間の者たちはいったい誰だったのだろうか?



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