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205話

本日2話目

今年もあとわずか!

「アレガ多分マザーダヨ!」


 スカーレットの案内によって、ジャック、トリン、アインの3人はスコヴィルエルダートレントのマザーと思わしきモンスターのもとにたどり着いた。


 ここまでにもスコヴィルエルダートレントの攻撃があったが、何とか全員無事である。



「見た目は普通のスコヴィルエルダートレントに似ているが・・・なっている実が違う!!」

「確定でスね」

「さっさと切り倒したほうが良いでっせ!!」


 マザー・スコヴィルエルダートレントの行動は他のスコヴィルエルダートレントとは違って、自身になっている木の実を遠くへ投げているようである。


「根っこで数が減りつつある方へ向かって探って投げているのか・・・」


 数が減って守りが薄くなっているところに向けて投げているようで・・・・


「って、こっちに向かって投げて来たぞ!!」


 ジャックはかわし、アインとトリンはそれぞれの武器の中に入ってやり過ごす。


ぐちゃり!!とつぶれた音がして汁が飛び散る。



「うわぁ・・・さすがマザーと言うべきか、他のやつよりも凶悪そうな辛さが」

「見るだけでも辛い!!」

「浴びてナいけど辛い感じ!!」


 

 汁がかかった地面がジュワジュワと言っており、辛さ以外のやばい可能性も考えられた。


「アレ、マズイ辛サ。食エタモノジャナイ」


 すでにスカーレットは一度かぶりついてみたようだが、まずいらしい。


 激辛は好きでも、モンスターの激辛の実は流石に拒絶か。



マザー・スコヴィルエルダートレントをジャックたちは切り倒そうとするが・・・・


ズドドドドドドド!!


「まったく近寄れねぇ!!」


 ジャックの場合、生身なので下手に受け止めることができない。


 遠距離攻撃のために魔力を剣に流そうにも、飛んでくる気に身をかわし続けないと行けなくて流す暇がない。



「くっ、突撃ノ勢いが殺さレる!!」

「着弾前に落とされているな・・」


 アイン、トリンの二人の場合攻撃力不足だ。


 鉄籠の突撃も触手の相殺、戦車の砲撃も木の実の連続命中で炸裂し切らない。



 防御面、攻撃面どちらでもジャックたちは劣ってしまっていた。



「グギャァァァァァァァァァ!!」


 スカーレットが触手や木の実をかわしつつブレスを吐いているのだが、火に強い耐性を持つ相手には効果が薄い。


「このままだとまずいな・・・全員一時撤退だ!!」


 さすがに今の状況では分が割ると判断し、ジャックたちが一旦この場を離れようとした時であった。



「ジャック!!アッチニモ!!」

「はあっ!?」


 スカーレットが指さした先にいたのは・・・・・2体目(・・・)のマザーが。


 なぜ2本マザーがいるのか。


 普通、スコヴィルエルダートレントは1体だけのマザーで群れを成しているが・・・・・。


「そうか!!他にも(・・・)いたから(・・・・)群れが大きかったのか!!」


 

 このスコヴィルエルダートレントの数は異常であり、本来の数以上がいた。


 マザーが多く生み出しているだけだと思っていたが、その真相は違った。


 マザーが(・・・)1体では(・・・・)なく多く(・・・・)いた(・・)のである。



 しかし、真相がわかったとはいえこの状況はまずい。


 新手のスコヴィルエルダートレントが増えただけであり、しかも逃げ場をふさがれてしまった。



シュルルルルルルルっと触手が伸びてきたので切り倒し、木の実は避けるもこのままではジャックたちの方が体力がなくなってお陀仏である。


「何か一発ででかい一撃を当てられたらいいんだろうけど・・・・さすがに目くらましとかは効かないだろうな」

「目がない相手に効きますかね?」


 

 この状況から言うと、決定打もないし確実に負けることは目に見えている。


「一撃でもひるませればあるいはいけそうなんじゃろうが・・」

「戦車の砲弾も鉄籠の攻撃も止められ・・・待てよ?」


 ふとジャックは閃いた。


「アイン!トリン!思いついた方法がある!!」

「なんでっせ?」

「なにカ妙案でモ思いつイたのですか?」







「~~~~~、という手段だ」

「タイミングが合ワなければ意味がないガ・・」

「いけそうや!」


 木の実や触手をかわしながら、ジャックたちはその方法を試してみることにした。



「スカーレット!!まずは適当に炎をあたりにぶちまけろ!!効かなくてもいいからできるだけ派手に頼む!!!」

「ワカッタヨ!!」



 すぅ、っとスカーレットが息を吸い込んでからの・・・


「グギュゥゥゥゥゥゥゥゥッツ!!」


 勢いよく吐き出された炎が爆散して周囲に広がった。


 いくらスコヴィルエルダートレントが火に耐性があるとは言っても、さすがにここまで派手な炎の乱舞はほおっておくことはできないだろう。


 いったんスコヴィルエルダートレントたちの攻撃がジャックたちからスカーレットに照準が合わせられる。


「今だ!!」

「よっしゃ撃てー!!」

「撃ちださレます!!」


 ジャックの合図によって、トリンの戦車から鉄籠が撃ちだされた。


 砲弾ではなく、アインが入っている武器である。


 砲弾と鉄籠では大きさが違うが、どうやらトリンの戦車は大きさ関係なく撃ちだせる物なら撃てるらしい。


 そして、この勢いを利用して中にいるアインがさらに鉄籠の進む速度を加速させ始める。


 勢いが足らなければ、足してしまえばいい・・・・・・その考えで、「アイン砲」という作戦を思いついたのだ。


 さらに、スカーレットに一瞬スコヴィルエルダートレントは狙いを定めているのでここで撃ち落とされることもない。


 この間にもジャックは素早く聖剣・魔剣に魔力を一気に込めていく。


 

「せやぁぁぁぁぁぁ!!」


 アインの鉄籠がマザーの1体に直撃し、その胴体をぶち抜いた。


「グォォォォォォォォ・・・」


 断末魔が聞こえたようだが、今はそれをかまわずに・・・・


「『斬撃(スラッシュ)|衝撃波《インパクト>』!!」


 ジャックの魔力の充填が完了し、聖剣・魔剣から剣の軌跡に沿って白と黒の光が放たれて周囲に広がる。


「かーらーのー・・・『爆発(プロージョン)』!!」


 着弾した瞬間、すべての剣の軌跡が爆発を引き起こす。


 凄まじい爆発が周囲に広がり、風圧が襲い掛かる。



 今までの技から改良し、新たに爆発できるようにしたのである。


・・・以前、クラーケンとの戦いのときにも同様の技ができていたが、爆発までは今日まで再現できていなかった。


 しかし、今はあのとき以上に実力が付いており、ぶっつけ本番で成功したのであった・・・。


(正直言って、成功確率はあんまりなかったけどね)


 賭けが大きかったが、今回は勝った。




 ジャックを中心にスコヴィルエルダートレントたちがなぎ倒され、もう一本いたマザーもなぎ倒された。


「いまだ!!総攻撃開始!!」

「「「イエッサー!!」」」


 マザーさえ倒してしまえば、後はスコヴィルエルダートレントたちの数が増えることはない。


 ここで一気に攻勢に回るのが良い。



 他の適正者たちにもマザーが倒れたことが伝わり、一気に皆全力を出してスコヴィルエルダートレントたちの群れをなぎ倒していくのであった・・・・・





さて、このままですむのかな?

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