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203話

勇者の格好、魔王の格好・・・ジャックにとっての黒歴史になりそうな気もする。

学園祭3日目。


 本日で学園祭も終了となるのだが、今のところ各クラスの出し物は接戦になっているようだった。


・・・ジャックたちのクラスを除いてであったが。


「3番テーブルのメニューは!!」

「オムライスできたよー!!」

「おにぎりセットは!!」



 ・・・厨房が地獄と化していた。


「今から1時間は魔王の喫茶でーす!!」

「勇者はその後に続けてやるよ!!」

「おい、後ろ今何分待ちになっている!!」



 学園祭3日目ともなると、初日と2日目に来ていなかった人たちが大勢訪れてきていた。


 ジャックが勇者と魔王の格好をしている姿が予想以上に反響を呼び、両者の姿とも人気が出てその姿目当てで押し寄せてきたのである。


 聖剣・魔剣も本物であり、ジャック自身の自覚はないのだがその容姿が良いので受けがものすごくよく、かなりの待機列ができていた。


 3日目は勇者と魔王の姿両方ともランダムでなるのだが、今のところどちらも5分5分の人気である。


「次勇者!!」

「次魔王!!」

「忙しいんだけど!?」


 ツーショットや、客への応対が増え、宣伝しに行くのはNGとされてジャックは両者の姿になりながら教室内をあちこち駆けまわっていた。


 それでいて、勇者、魔王の姿の時に客前ではもう羞恥心も捨てて堂々と対応できるようになっている。


・・・・壊れたともいえる。



「では、今回の魔王のおすすめのメニューはこれだ!!」


「勇者のおすすめメニューはこれです」


「くっくっくっく、どうも、我が魔王の喫茶ご利用ありがとうだ!!」


「勇者の喫茶に来てくれてありがとう!」








「・・・・死にそう」

「ジャック、昼食ですわ」


 やっと昼の休憩時間、喫茶店は一時休業となって休む。


 その時、教室の端っこで今さら羞恥心が戻ってきたジャックが膝を抱えていた。


 今の姿は魔王の姿であり、魔剣もその腰に差している状態である。


「マスターもずいぶん魔王様らしく振舞っていたのじゃ。もうだいぶ遜色がないのぅ」

「勇者様の姿の時も、あの優しさあふれる感じはもうそっくりでしたよ」

「やめて・・・いや本当に恥ずかしくなる・・・・」


 顔から湯気が出そうな気持にジャックはなっていた。


 仕事中はもう羞恥心を殴り捨ててはいたものの、こうしてきゅけ意地になると一気にぶり返してきているのである。



「『我がしもべたちが作りし料理を楽しむがよい!!』とか言っていたなぁ」

「やーめーてー!!」

「『君がおいしいと思えるのは、君の心が優しいからさ』とも言っていたねぇ」

「あーーーーっ!!」


周囲の男子たちがここぞとばかりにジャックのメンタルを攻める。


 普段、ジャックに女子が多く付くのが恨めしいので、こういう時は本当に晴らせるのだ。


((((ああ、なんかものすごくすっきりするぜ))))


 こういう時ばかりは男子一同の心がそろった。



「ジャック、恥ズカラシガラナクテイイ。ヨカッタヨ」


 スカーレットが慰めるかのようにジャックの背中にぺとっとくっついた。


「そうですわよ。なかなかのモノでしたわ」


 ちょっとスカーレットに対抗意識を燃やしたのか、ルナもジャックの右腕にくっつく。


「うん、よかったよ」

「そうですのん。魔王の姿とかは本当にほれぼれしましたですのん」

「勇者の時もよかったぜよ」


 カレン、ヨナ、ミツも同様にジャックの周囲によりそい、その姿を見た男子一同は悔しがった。


「あーーーーー!!なぜこうも不公平なんだぁぁぁぁ!」


 叫び、血の涙を流し出す男子たちを見て、他の女子達は何処か白い目をむけていた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 首都近くの平原・・・・そこでは、すでに異常がみられていた。


 草木が急激に枯れていき、秋が深まってきているとはいえ、枯れ果てていく様子はまるで大地が死んでいくかのように思えた。



「なにが起きているんだ一体・・・・」


 この異常の知らせを聞き、学園祭のために集まっていた適正者たちがその光景を見てつぶやく。


 何か恐ろしいものが、まるで大地の生命を根こそぎ奪っていっているかのようなそんな光景である。



「おい!!なんだあれは!!」


 遠くの方を見ていた適正者が、周囲に聞こえるように叫んだ。


 その指さす方向を見ると、何かが近づいてきているのが見えた。


 ゆっくりとした動きではあるのだが、確実に首都へと進行してきている。


 近づいてくれば来るほど、大地の生命力が無くなっていくかのような感じがより濃くなっていく。



「モンスターか!?」

「だとしてもあの数はどういうことだ!!森ともいえるようなものだぞ!!」


 植物系等のモンスターのようだが、その数や姿から見てまるで森そのものが進行してきているかのように見える。


 だが、森ではないとわかるとすれば、そのモンスターたちが明らかに奇声を挙げながら近づいてきており、根っこを地面に突き刺しながら進んできているところだ。





 学園祭最終日と言うこともあり、後輩たちや、この首都を守るためにその場に居合わせた適正者たちは、その森のようなモンスターたちに対して挑み始めていくのであった・・・・・・。


迫りくる森のようなモンスターの群れ。

適正者たちは戦い、首都に侵入されないように戦いを挑む。

だが、そのモンスターの群れはただの群れではなかった・・・・

次回に続く!!


・・・・そういえば、1年生ももう3カ月たっているから討伐参加できるね。

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