199話
本日3話目
こういう学園祭って平和で良いなぁ。
「どうしてこうなった」
前にも言ったような気がする言葉をジャックはつぶやいた。
現在、学園祭に向けての準備をしており、衣装合わせなどをしてジャックはその試作品を着せられているのである。
「似合ってますわよジャック」
「うん、元から容姿もいいし、合っていると思う」
ルナとカレンがジャックのその姿を見て励ます。
「こういう感じだったのだろうぜよな」
「言われている通りの姿に近いですのん」
ミツとヨナもそのジャックの容姿を見てうなずく。
「とは言ってもな・・・・・魔王の格好って結構黒色に近い分、何かこう心が居たいような気がするんだが」
「なにを言うかマスター、魔王様の格好とほとんど同様じゃし、堂々とやればそっくりなのじゃ」
「敵として対峙していた時の姿に似てますねぇ。クロ・・・・・魔剣を構えたその姿も勇者様と居たときに見た姿そっくりですよ」
ジャックが着せられている衣装のは・・・・・魔王の衣装。
もともと黒目黒髪で顔も本人の自覚はないが整っていると言うこともあり、黒色の衣装でなおかつ魔剣を携えるその様は、どこか魔王の様な雰囲気を醸し出していた。
「『勇者・魔王喫茶』って思いっきりやっちゃいけないようなラインを超えているような気がするんだが・・・」
勇者と魔王、その二人は人間と魔族が仲良くなった後も、どちら側からもあこがれや畏怖される存在である。
そんな歴史上の偉人の格好を勝手にやっていいのかとジャックはツッコミを入れたくなった。
「うむ、妾たちからしてみれば別に大丈夫だと思うのじゃ」
「二人の生まれ変わりであるマスターが良いと思うのであるならば、大丈夫ですよ」
「いいとは思っていないんだけど!?」
半ば押し切られる形でこの案が通り、ジャックとしては反対な意見はあったのだが、押しには弱いというのがジャックであった。
「次は勇者様の格好ですよ!!あっちの場合は白を基調とした鎧を着てまして」
「いやいや、まだまだ魔王様の姿をしているマスターを見たいのぅ」
・・・・一番この企画のノリノリなのは、この二剣ではないだろうかとその場にいた全員が思った。
かつて、勇者と魔王が所持していた聖剣と魔剣であるシロとクロ、二人とも、今のジャックの格好が昔の所持者とほとんど瓜二つなのを見て、テンションが上がっているようである。
「午前は勇者、午後は魔王の格好で働いてもらったほうが面白いかもね。勇者との時は人間、魔王の時は魔族の人が多く来るだろうな」
「いやいや、どっち側でもこの完成度なら客層が多く来るだろう!!ジャック、分身とか使って同時に出来ないかな!!」
「できるわけがないだろ!!」
さすがにそんなことは不可能である。
とはいうものの、勇者と魔王の格好をしたジャックの姿は、まさに皆が昔から聞いてきた二人の容姿とほとんど同じであり、その昔の姿を今まさに顕現させたような感じであった。
ジャックとしては、なんとなく黒歴史になりそうな気がするのだが・・・・・。
「というか、勇者と魔王が喫茶店で働いている姿って違和感があるような気がするんだけど」
「いえいえ、大丈夫よ。注文を受け取るとかではなくて、受けた注文の品を渡す方にするのです」
「勇者の時は勇者らしく紳士的に、魔王の時は魔王らしく威風堂々と言った感じにな」
「もう少し勇者の時の鎧はきらびやかにするべきか?」
「いえ、もう少し控えめですかね。あまり派手すぎたものは好んでいなかったので」
「魔王のこのマントってもうちょっと黒くするべきかしら?」
「ふむ、むしろこう何もかもの見込めるような感じのほうが良いのじゃ。マスターにもそのような演技をしてもらった方が完成度が高まるじゃろう」
歴史上の勇者と魔王の記録や、生き証人というかまさにその二人に仕えていた二剣のアドバイスなどもあって、テキパキと作業が進んでいく。
一方でジャックには何度も変更し、改良した衣装を着させられたり、当時の二人を知るシロとクロからどのようにふるまうべきかなどを指導された。
武器の主がその武器に従わさせられる光景はある意味新鮮でもあった。
「コレ良イカモー」
一方で、一応喫茶店と言うこともあって皆それぞれの衣装を採寸した後に着せられていたのだが、スカーレットも着ていた。
彼女が来ているのは現在試作23号目のメイド服である。
「うーん、翼と尻尾がやっぱり着る時のネックね」
「角はメイドの上につけるやつに合わせればいいけど、やっぱ背中は開く方にするか?でも尻尾の部分をどうにかしないと下着が見えそうだよ」
「尻尾の部分は獣人の人がやるような感じにはできないし、ここはこうしたほうが」
「むしろさ、尻尾の方にも飾り付けができればいいけど」
ついでに、ロイスのペットでもあるシラタマ用の衣装も作成されている。去年までは小さかったが、今では1メートルほどの大きさなので、採寸し直しとなっているのだ。
慌しくも、それぞれ自分たちのやるべきところをこなしていく。
「ついでですし、ルナたちも専用衣装を作ったほうが良いかもしれないですよ」
「そうじゃな、魔王様の周囲に狙う女性はおったし、彼女たちの衣装を参考にするのも悪くはないのぅ」
「「「「え?」」」」
テンションが上がってきたのか、シロとクロの二人が追加の案を出し、ルナたちも一緒にあれやこれやと着替えさせられる羽目となった。
巻き添えが増えて内心ジャックは喜んだ。
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「・・・・良し、許可が出たわね」
学園長室にてアンド学園長は届いた知らせを見て喜んでいた。
今回の学園祭での褒美だが、この際ジャックたちのクラスでやっていることから思いついたものがあった。
ただし、それを実行するにはいくら学園長でも国からの許可がいることになり、その返答を待っていたのである。
そして、今日届いたのは許可するという内容が書かれた手紙であった。
「あとはこれを生徒たちに発表すればいいけど、いつ言おうかしら」
紅茶をすすりながら、学園長は褒美の内容を知らせるタイミングを考えるのであった・・・・。
ジャックにとっては中二病みたいな感覚で黒歴史みたいに思っているのであろう。
前世がその二人でも、さすがに今その恰好をするの恥ずかしい。
周囲の人たち、実はそれを分かってやっているのではないのだろうか?
次回に続く!!
・・・次回で祝200話目です!!(ちょっとずれているから違うかもしれないが)




