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196話

本日3話目


「あー、夏休みももうじき終わりか」


 帝国から王国へ向かう馬車の中、ジャックはため息をつきながら言った。


 城で数日ほど過ごし、学園の寮へ戻るのだが疲れたモノは疲れたのである。


「今年も去年の様な感じでしたし、ジャックはある意味騒動にも愛されているのですわね」

「その騒動からの愛は拒否したい」


 ルナはふざけて言ったのだが、ジャックは超真面目に返答した。


 そもそも、適正者になってからここまで多くの騒動が起きている。



聖剣・魔剣がジャックの所有物となった上に人型になれる。


デュラハンと対峙して根性で逃げ切る。


去年の夏の合宿でクラーケンたちに襲われる。



・・・・他にも多くの騒動があったが、思い出すだけでも結構多い。



「なんでこう色々な出来事が多く起きるのかなぁ」

「トラブル体質ってやつですかね?勇者様もいろいろなことに巻き込まれていましたし」

「うむ、不治の体質とも言われるのぅ。魔王様はその体質ではなかったようじゃが・・・・」


 シロとクロが自身の推測を述べたけど、なんかイヤな推測である。


 というか、不治の病ならぬ不治の体質とは何だよそれ、とジャックは心の中でツッコミを入れた。



「バリボリバリボリリ」

「スカーレット、何を食べているんだ?」

「コレダヨ」


 スカーレットが見せたのは、『ウルトラ激辛せんべい』と書かれた袋。


「それって、確か超辛くて有名なお菓子だっけ」

「確かお父様でさえ、辛くて食えたものではないけどなぜか売れ行きがいいっていうせんべいですわね」

「ウン、辛イケド、旨イヨ」


 そういってぼりぼりと平気そうに食べるスカーレット。


 その食べているせんべいは絶対に激辛でヤバイとでも主張しまくっているような真っ赤さを放っていた。


「スカーレットの味覚って、辛いものが平気なのか?」

「そういえば、モンスターって人を襲って食べたりするのですが、味覚は人と違うという事なのでしょうか?」

「でも、すごいからそうなお菓子ですよね」

「平気で食うとは・・・ある意味大物じゃな」


 まあ、スカーレットのお気に入りのお菓子になったようである。



「・・・これってさ、盗賊が途中で出てきたらその口にめがけて投げ込んでみたほうが良いかな」

「やってみる価値はありますわね。うまくいけば盗賊よけのお菓子としての販売上昇が見込めますわね」

「二人とも、悪い顔してますよ」

「やってみる価値はありそうなのじゃ」



・・・・その後、偶然にも馬車を見つけて襲い掛かろうとした盗賊団の悲鳴があたり一帯に響いたという。


 そのことから、スカーレットはかなりの辛いものが大丈夫だとよくわかったのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「・・・・なるほど、帝国の方でもね」


 学園から離れた自宅にて、アンド学園長は届いた手紙を読んでいた。


 帝国から王国に届いたもので、先日問題に出たモンスター化させる薬が帝国にも出たというのだ。


 ただ、今回は未然にすべて防がれてその薬のサンプルは大量に手に入ったらしい。


 現在入手ルートや、不明成分の模索をしているらしいが、国レベルの問題として王国側にも協力体制を引いてほしいというモノであった。


 これを王国は同意し、その詳しいことなどを適正者を育成している学園の、アンド学園長に知らせてきたのであった。



 学園長は学園長で独自の調査をしていたが、なかなかその薬の出どころが不明でつかめない。


 対魔勇団・勇者や魔王崇拝集団の行方不明となって居る研究員たちが関わっている可能性があることまでは判明しているのだが、何処からきて、何を材料にしているのかまではわからないのだ。


 ここで帝国との協力体制を引けるのはおいしい話である。


 


「それにしても、ルナさんとジャックの婚約も確実になっているようね」


 ついでのように書かれていたのだが、帝国にてどうやらジャックがついにルナとの婚約を皇帝に認められたらしいというのがあった。


 それで王国のほうでもごたごたしていることがあるらしく・・・



「やっぱこれはこれで厄介なことになりそうね」


 皇帝の娘であるルナとジャックが婚約したという話は、つまりジャックが卒業したら帝国側の方に憑くという可能性が大きい。


 そして、ジャックには現在他にもカレンやヨナ、ミツと言った他の適正者たちとも交際しており、一気に王国から適正者たちが帝国に行くことを示しているのだ。


 実力から言っても、今期トップクラスの実力を持つ者たちが流れるということは王国にとってはかなりの痛手であろう。


 

 適正者たちはモンスターの対処に必要だが、各国の暗黙の認識としてはその国の最終手段としてもある。


 その数が一気に減るのは王国としては好ましくないし、そもそもジャックの使用する武器は聖剣と魔剣と言う勇者や魔王が使っていた武器である。


 憧れるものなども多く、そのためさらに帝国側に適正者たちが流れる可能性もあるのだ。



「・・・帝国の政治は綺麗になっていっているようだけど、王国の方は汚職をする人も出てきているし、そろそろこの国も衰退し始めるのかしら」


 なんとなく、この国の未来を考えてみたが、あまり明るいものになりそうではない。


 この際、ジャックについていったほうが良いのではないかとアンド学園長も考え始めるのであった・・・。

次回から新章かな。

学園祭に移る予定だけど、今年はどういう物になるのやら。

去年は暗殺者とかが出ていたなぁ。

次回に続く!


・・・・スカーレットがいつの間にか自然と溶け込んでいるけど、学園ではどうなるかな。


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