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193話

クリスマス用の閑話を作製すべきか作製しないべきか。

25日までに考えねば・・・・。

 ついに試合当日となり、ジャックは新しく出来た帝国特設競技場の準備室にて軽く素振りをして体を慣れさせていた。


「よっと、せっと、はっと、みっと」


 ヒュンヒュンと剣を振り、調子を整える。こういう準備運動をしっかりしておかないと、いざって時が大変であるのはしっている。


 一番わかりやすい例で言うならば、泳ぐ前に準備運動をしてなくて泳ぐときにつって溺れるというのだろうか。


・・・去年の夏合宿で、なった奴がいた気もする。






 今回の試合だが、参加表明をした貴族は20ほど。


 代理無しが1人だけという事から、ほとんどが代理を出してきているのがよくわかる。


 というか、この代理無しってジャックにとっては予想外の様な、予想内だったような人物の名前があった。



「・・・ミヤゲさんが出場しているのかよ」


 あの重度のシスコンのルナの姉(第2皇女)が出ないわけがなかった。


 模擬戦をした時があるが、これは確実に本気を出さないと殺されるような気がする。


 というか、本気で殺す気で来るな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、皇族用観戦室ではルナはミヤゲにだきつかれていた。



「ルナァァァァァァァァァァァァ!!久しぶりね!!」

「く、苦しいですよミヤゲ姉様・・」

「誰ナノ?」



 その様子を見て、一緒にいたスカーレットが首をかしげた。


 一応スカーレットはモンスターでもあるが、ペットみたいな感じになっているのでルナと一緒にさせられていたのである。


 モンスターだから実力もあるわけで、万が一に備えて待機させられているといった方が正しい。いわゆる警備の役を引き受けさせられているのである。


 ルナの着ていた服は、皇女らしく綺麗な薄い青色のドレスであり、スカーレットは警備のために軽装の赤いアーマーを着ていた。


 


ミヤゲの場合、今日の試合に出るつもりらしく、動きやすい軽装備で訪れてきていた。


「ふふふふふふふふふふふ!!ルナのこの姿を見て、元気100倍!!今ならジャックにだって勝てるわよ!!」

「ミヤゲ姉様、ジャックに勝たせてほしいのですが・・・・」


 ミヤゲが勝った場合はどうなるのだろうか。どことなく不安しかない。


「久しぶりだな、家出をしたミヤゲよ・・ん?」

「あれ!?これ残像ですわ!?」


 レント皇帝がその場に姿を現した途端、残像が残るほどの素早い動きでミヤゲがその場から逃げた。



 あまりの素早さに、レント皇帝は(ミヤゲ)が成長しているんだという感覚と、逃げられたさみしさが入り混じった気持ちになった。


 もちろん、周囲には悟られぬようにしている。


「ふ、あの家出娘もルナのところに駆けつけて出てくるか・・・・ジャックよ、果たして勝ち抜けるか」


 気持ちを隠しつつ、レント皇帝は試合を見届けようとその場に座るのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『さぁぁぁって!!いよいよ、この帝国特設競技場の初めての使用となりまぁぁす!!この実況中継はあっしゴッセモンがおおくりしていまぁぁす!!』

「ハイテンションだな・・・」


 最新拡声の魔道具(マジックアイテム)「マイク」とやらで競技場全体に声が響き渡る。


 今回の事はどうやら庶民にも通知がされていたようで、なぜこうなったのかなどの簡単な説明が行われた。


『今回、王国出身聖剣・魔剣所持適正者ジャックが、貴族達との激闘に勝ち抜ければ、彼が我がギアス帝国の第3皇女ルナ様との正式な婚約が皇帝陛下に認められます!!ですが!!勝ち残れなかった場合、ジャックを負かした貴族が皇女様との婚約が結ばれてしまいます!!さぁっ!!果たしてどうなるのか!!』


 ふと、気になるものをジャックは視界にとらえた。


「賭け事まで行われているのかよ・・・・・」


 出場表明貴族の名前と、ジャックの名前が書かれており、その下に誰が勝ち残るのかという倍率がある。



 この賭け事に財産を突っ込んでいる人は少なくはないだろう。



『今回の試合形式ですがバトルロワイヤル方式です!!』



 つまり、参加者全員が出てきて、全員でジャックを狙う形式である。


 ある意味集団リンチに近い。


 だが、これはこれでジャックにとっては有利でもある。


 1戦ずつの勝ち残り方式だと体力の消費が激しいが、これなら最初から万全の状態で行ける。


『さて!!ここで選手入場です!!ですが代理が多い(・・・・・)のでその選手を雇っている貴族名も読み上げていきます!!』

(・・・ん?)


 ふと今の言葉にジャックは引っかかるものがあった。


 言葉としては普通だが、何か勘で筆禍るものがあった。


 そして、こういう時のジャックの勘はあたるものである。




 代理の人達がかなり出てきたが・・・・・・。


「・・・・多くないか?」


 出場表明貴族は20貴族。1つはミヤゲ自身が出ているのでわかるのだが、残りは19名ほどになるかと思いきや、競技場ギリギリの人数・・・これ何十名いるのだろうか?



 雇っている貴族たちは、どうやら全員結託してこの人数を雇ったらしい。


(そういえば、皇帝の書いていた内容で人数は指定していなかったんだっけ)


 具体的な人数指定がされていなかったので、この競技場ギリギリの人数まで雇ったのであろう。


 全員適正者ではないようで、何処にでもいそうなごろつきとか、貴族についている騎士の様な人が多い。


 でも、人数差だけで言えば圧倒的にジャックが不利である。




 これを企んだ者たちは、この光景を見てほくそ笑んでいるだろう。


 適正者とはいえ、所詮は身体能力が常人よりも高いだけ。


 数の暴力には勝てないだろうと思っているのだろうか。


 


 けど、不思議とジャックはこの状況が不利なような気がしなかった。


 それは、シロとクロ(聖剣と魔剣)という仲間がそばにいて、観客席ではルナとスカーレットが応援しているので一人ではないと感じていたからか、それとも・・・・・



『さぁぁぁぁぁっ!!試合開始だぁぁぁっ!!』



明らかに数の差がひどいが、それでもジャックは負ける気はしなかった。

それは、仲間がいるからという感覚があるからなのか。

それとも、かつての勇者と魔王がそれぞれ大群との戦闘をした経験があるからなのか・・・・。

次回に続く!!


・・・というか、ミヤゲが一番の強敵だろうな。以前の模擬戦でも相当激しかったし。

モンスターを相手にして戦う適正者相手に、よくこれだけの人数を集めたモノだとそれはそれで感心する。

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