190話
本日3話目
ひっさびさに1日に3話も公開できたな
キィン!!
「せいっつ!!」
「やっ!!」
金属音が鳴り、ぶつかり合うたびに火花が飛ぶ。
帝国に訪れて3日、ジャックは4日後に行われるルナを賭けた戦いのために自身の研鑽をしていた。
相手となっているのはルナと・・・・
「ギュウゥゥゥッツ!!」
「おっと!!」
飛んできたブレスを剣で薙ぎ払い、拡散させる。
「見た目に寄らず、ブレスを吐いて攻撃するとはな」
「元はやっぱり火炎龍という事ですわね」
「ギュウッツ!」
返事をするかのように鳴くスカーレット。
一応、様々な相手を想定して、スカーレットにもジャックとの戦闘に参加してもらっていたのだが、彼女がブレスを吐けることがその最中にわかった。
「相手がどう出るかはわからないけど、こういう想定もしても損はないだろう」
一応、魔道具の中にはそういう攻撃ができるものがあるらしく、それを利用するような輩が出てもおかしくはない。
「火ヲハク、ジャックノ訓練、手伝ウ!!」
「ありがとう、スカーレット」
まだまだ片言言葉とは言え、そこそこ話せるようになってきているスカーレット。
その実力も、申し分ないほどあり、弱くもないのでそれなりに相手としてはいいだろう。
「というか、ここまでの実力があるならあの時命乞いしなくても大丈夫だったのでは?」
「無理、死ヌ」
速攻で言い切ったスカーレットに、ジャックとルナは苦笑した。
「にしても、ルナもだいぶ強くなっているよな。ガントレットの一撃が重いよ」
「ええ、ジャックに守られてばかりではなく、私も強くあるべきだと思うのですから、特訓を真剣にやっているんですよ」
ガキィンッツ!!とガントレットと剣がぶつかり合い、そのぶつかり合いのすさまじさが他者から見てもすごいと思えるものがある。
「・・・お、マスター、右後方上40度じゃ」
「わかったよっと」
魔剣・・・クロが気が付いたようで、その言われたところに向かってジャックは軽めの魔力を込めて『斬撃衝撃波』を放った。
殺傷性は低くしてあり、軽く腹パンされた程度になるように調節しているのだが直撃喰らった方はたまらず地面に落ちた。
ごきっつと痛そうな音がするが、慈悲はない。
「また、こういう人か」
皇帝からの通達を受け取った貴族の誰かが差し向けた者であろう。
ジャックの情報をより集めるためか、それとも試合に出られないように何かする気なのかなどの目的は不明だが、相手が悪い。
「ふむ、こやつは魔族『獣人(猫)』じゃな」
ぶっちゃけ言って、シロとクロの探知能力があまり知られていないというのが大きいのであろう。
シロは人間、クロは魔族をそれぞれ感じ取ることができ、今もこうして接近してくる相手を感じ取ったのである。
まあともかく、城に忍び込んだ不届き者はそのまま連行されて、誰によって雇われたのかなどの話をされるであろう。
一応証拠物件なども集めており、4日後に控えた試合終了時に開示して裁くようである。
それまでどんどん不穏分子をおびき寄せろという皇帝の意図がどことなくジャックには見えたのであった。
とりあえず、連行していった後、ジャックとルナ、スカーレットは再び一緒の特訓を再開した。
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ギアス帝国のとある路地裏にて・・・・・
「これが目的の物です」
「ほう、これさえあれば確実に適正者が相手でも倒せるのか?」
「ええ、超強化してくれ、あなたの潜在能力を底上げしてくれるドーピング薬のようなものです」
何か取引が行われており、その様子を陰から探る者がいた・・・・・・・
ギアス城、レント皇帝の前に黒装束で包み込んだ人物が突如現れた。
だが、レント皇帝は慌てない。
その者は、諜報部隊の一人であった。
「・・・皇帝陛下、本日怪しげな取引をしたものを確認しました」
「ふむ、その取引で出てきていたのは?」
「王国でも以前現れたモンスター化するような薬です。ですが、販売をしていた人物は『強化薬】などと言って見事にだましていました」
「やはり、このあたりにも出て来たか・・・」
皇帝が手に入れた情報では、先日モンスター化した人間が出たらしく、そいつは帝国の元貴族だったが、なぜそうなったかの原因は薬によるものだということであった。
その薬を販売する者はいつどこに出てもおかしくはなかったが、ついに現れたようである。
「追跡は?」
「残念ながら、途中で気づかれたようです。相当な実力も持っているものだと思われます」
諜報部隊を撒けるとなると、その薬の販売主は相当な実力者と見ても間違いはない。
「一応薬についてですが、すでにこっそりすり替えており、当日使われる可能性は低いでしょう」
薬によってモンスターになった者の危険性は高いらしく、あらかじめ何も起きないように細工をしっかりと施していった。
「証拠としての証文などもすでにつかんでおり、いつでも突き出せます」
「試合後に公開しておこう。一応、その販売員も捕縛できないかなど検討しておけ」
「はっ、仰せのままに」
そういい、黒装束の者はその場を去った。
「王国の方にも連絡をしておくか。このような薬を販売する輩はどの国にとっても危険だからな・・・」
あちこちの国で、薬によってモンスターとなった者たちが出現して襲い掛かってくる・・・・・考えるだけでも悪夢のような光景である。
万が一の対策も念入りにレント皇帝は行うのであった。
怪しげな薬は諜報部隊が無害なものにすり替えていき、危険性を排除していく。
ジャックはルナたちと特訓し、自身の強化をしていく。
このまま何事もなく、無事に戦いへと挑めるのであろうか・・・・・
次回に続く!
・・・・諜報部隊の皆さん、本当に優秀です。人間魔族問わず、皇帝自らその能力を見て定めて任命をし、あちこちで皇帝の目となり足となり情報を集め回る。
そう言えば、皇子も一応いることはいるけど、まだ作中で出ていないな。出番あるかな?




