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175話

シリアスって難しいと本当に思える。

よくダークな感じに書ける人とかいるけど、本当に尊敬したくなる。

*ご指摘により、一部加筆しました。

ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・



「ゴドゥルウ山がものすごく震えているな」

「もう噴火間近ってところですわね」




 なんとか下山してある程度の距離まで離れたジャックたちはその場から山が震えている様子を見ていた。


 大地が揺れ、地面が裂け、頂上付近から物凄く真っ黒な煙が噴き出してきている。


そして、一瞬だけ静かになったと思うと・・・・


どがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあん!!


 一気に噴火して、噴石があたりに飛び散った。


 頂上からどろどろの溶岩が流れ出し、ゆっくりと山肌を伝わっていく。


「モンスターが原因なのは間違いないでしょうね」


 ゴドゥルウ山は噴火の可能性を考慮して、万が一に備えて噴火用の部分が作られていたらしい。


 だが、今の噴火はその部分からではないので、マグマ内部に出現したモンスターの影響だろうと予測が付いた。


 あたりに噴石が落ちてきて、皆それぞれの武器で怪我をしないように対処していく。


 切り裂き、砕き、はたき、飛んでくる大きな岩も真っ二つにしていく。



 幸いにして、溶岩が流れる向きはジャックたちがいる場所とは正反対の方角へ行っているようだった。



「さて、この規模の噴火があったし、当然モンスターも出てくるだろうな」


 噴火に紛れて、そのマグマ内部にいたモンスターも同時に排出されたはずである。


 モンスターが上から降ってくるのを予想し、それぞれ身構えた。



 学園長も杖を懐から取り出し、何か呪文を唱え始める。



「きたぞ!!」


 上空を観察していた一人が叫び、その方向を見る。


 空から大きな何かが落ちてきて、一気に地面に激突してきた。


どがぁぁぁぁぁん!!





 地面に激突し、重量がものすごいのか地面が揺れ、物凄い土煙がたつ。



 転ばないように踏ん張り、それに向かいあって、土煙がはれていく。


「これは・・・・・・」

「でっかい塊?」


 落ちてきたのは、物凄く大きな玉のような塊である。


 何かが溶岩に包まれて、噴火した後に一気に球形上に冷えて固まったのであろうか?


 だが、ただの岩ではないとその雰囲気から全員が察する。



 間違いなく、モンスターである雰囲気がその塊からダダ漏れなのだ。


「中にモンスターがいるのか?」

「溶岩内にいて、固まって出られなくなったとかいう物でしょうか?」

「ロックゴーレムなどの類かもしれん」



 油断せずに、ごくりと全員がつばを飲み込みいつでも動けるようにした次の瞬間であった。


ピシィッ・・・・



 その球体にひびが入り始める。


 まるで、その球体自体が卵であったかのような、そんな感じだ。



「岩でできた卵だったのか・・?」

「いや、あれは卵じゃなくて、内部にモンスターがいる感じだろう」

「あのサイズだと、どれだけでかいんだと言いたいぜ・・・・」


ビキッツ・・・・・バキッツ・・・・・・メキッツ・・・・


 どんどん亀裂が走っていき、ボロボロと細かい破片が落ち始める。


 だが、その岩の部分のすぐ裏側に何か巨大なモンスターがいるのかと思いきや、そのようなものではないらしい。


「まだまだ崩れていくぞ・・・・?」



 いくつもの層で形成されていたのか、徐々に岩が剥がれ落ちていき、また中の岩が剥がれ落ちていく。



 もしかすると、サイズの小さなモンスターが内部にいて、その周囲を冷えた溶岩が覆っていただけではないだろうか?



 ふと、その様子を見ていた学園長はそう思ったのだが、それと同時に剥がれ落ちていく岩に違和感を覚える。


 ただ溶岩が固まっただけならば、あのような感じにはならないだろう。


 何か他の物も混じって溶けていたかのようなものに近いことに気が付いたのだ。


(・・・・もしかして、内部のモンスター自体が溶けたのかしら?)


 なんとなくグロそうな想像をしたが、おそらく違うだろうと勘が叫ぶ。


 


 そのまま一枚、また一枚とどんどんひびが入っては崩れ落ちていく岩。


「なんか玉ねぎを連想したのは俺だけか・・・・?」

「いや、違うよな?」


 ロイスのその緊張感を変にそぐようなつぶやきにツッコミが入りつつも、目の前で岩がどんどん剥がれ落ちていき・・・・。



「おい!!手のようなものが見えるぞ!!」



 最終的に人ほどのサイズまで岩が崩れたときに、変化が訪れた。


 岩がはがれると同時に、その内部に何やら人のような姿を見たのだ。


 

「中に人がいたってことか・・・?いや、明らかに人が入るのは無理か」

「人間ではありません。そもそも、あの塊から察するに溶岩の中にいたようですし・・・」

「魔族ってわけじゃないのじゃ。その気配も探知できぬ」


 誰かが入っているようだが、人間でも魔族でもないことはシロとクロがしっかりと感知していた。


 徐々にその容姿が明らかになっていき、最後の岩が崩れ落ちたところで全身がはっきりとあらわになった。



長く、太い大きな赤い尻尾。


頭頂部には綺麗な緩やかな曲線を描いた髪の色の赤色とは違う、まるで高温の炎のような青い角。


背中からは大きな翼が生えており、羽ばたいてはなくとも、その力強さがうかがえる。


身体には、いくつか深紅の鱗のようなものがあり・・・・一応、体の形が普通の女の子と酷似しているが、その鱗が大事なところを隠しているようなので、危うく真っ裸ではなかった。



「だけど、女の子そっくりだぞ・・・」

「リンと比べ物にならねぇものも、」


ごすっつ!!




 ・・・・・ある意味尊敬できるほど、こんな時でも姿勢を崩さないロイスはほおっておいて、その出てきた者は目立つ特徴を除けば、まるで人間の女の子のような容姿をしていた。



深紅のように赤い長い髪の毛(、、、)


鋭い爪が生えていながらも、ほっそりとした手と腕(、、、)を持っている。


目はつむっているが、顔立ちは綺麗な部類に入っており、まるで何かを考えて作られたような、繊細な感じ。


「『竜人ドラグニュート』ですのん・・・?」

「いや、その種の魔族とは違うし、その種族はあのような特徴もないのじゃ。そもそも、魔族の感じもせんのじゃ」

「それっぽい部分から『火炎龍ファイヤードラゴン』とも思えますが、あれはしっかりとドラゴンの姿をしたモンスターで、とんでもない部類に入りますし」



 近い見た目の魔族をヨナが思いついてつぶやくが、聞こえたクロが思いっきり否定をした。


・・・・・モンスターなのは間違いないようだが、このようなものは聞いたことがない。


 人でも、魔族でもない。


 で、感じられるとしたらモンスターの気配であるのだが、このようなものは見たことも聞いたこともない。


「・・・・・」


 と、考えていたら、そのモンスターというべきか、その少女は目を開いた。


 その目は髪の色同様、まるで燃え盛る炎のような、透き通るような赤色をしていた。



 全員が身構え、油断せずに警戒をする。


 見た目が人に近くても、相手はモンスターであるのは間違いないだろう。


 思考とかそういう部分までもが人ではないだろうし、いつ襲って来るかもわからない恐怖が周囲を包み込む。


 のどの渇きが激しくなり、緊張感が増した時であった。



 その少女はあたりを見渡していたかと思うと、ふとジャックの方を向いた。


 そして、少しの間見つめていたかと思うと・・・・・・



「・・・・・・」

「ん?」


 ジャックの方に歩み寄ってきた。


 聖剣・魔剣に手をかけて、万が一に備えるジャック。


 次の瞬間、


「は・・・・・・?」


 目の前で、少女が膝をつき、まるで懇願するかのような体勢を取った。



 その予想外の行動に、周囲は唖然としたのであった・・・・・・・・・。


目の前で膝をつき、懇願するかのような姿勢をとる少女。

気配的にはモンスターのようだが、余りにも予想外だったので周囲はしばし凍り付く。

絵面てきにジャックが悪者のように見えそうな気がするが、どう対応すればいいのだろうか?

次回に続く!!


・・・いや、懇願している少女の目の前で、剣に手をかけている人って絵面的にどうなんだろうか?

今回はロイスにシリアスがちょいちょい壊されているような気もする。

さて、ついでにちょっと復習してみるならば、この世界の人たちが結論づけていたモンスターってどんな存在だっけ?

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