171話
1年生時には書いていなかった訓練の様子も今回は紹介しますね。
合宿二日目。
『ゴドゥルウ山』についた初日は自由にできるため、とりあえず体を温めたり、空気のうすさに慣れるためにも軽く雪合戦で遊んだ。
まあ、皆適正者ということもあり、身体能力も高くすぐにこの状態になれたのだが・・・・
「ロイス、その状態でしゃべれるか?」
「ひゃいじょうふやで!!(大丈夫だぜ)」
「顔面がぼっこぼこに腫れているなぁ・・・」
昨夜、女子が入浴中の事であった。
ここの合宿場は旅館であり、露天風呂形式でもある。
先に入った男子であるジャックたちは部屋で互いに適当に遊んでいたのだが、男子の数名がふざけて外で格闘の手合わせをして、そのときにロイスが投げられた方向がね・・・・ま、ロイスにとっては幸福なのか不幸なのかはわからない。
一応、偶然の事故ということもあって、社会的に死ぬようなことも、学園長からのお咎めも軽い説教程度で済んだのだが、まあロイスがどうなったのかはよくわかるであろう。
というか、何時もより治りが悪いのはおそらくここの環境がいつもと違うのが原因ではないだろうか?
あれ一応地上限定回復なのか・・・・・。
ともかく、合宿二日目から訓練があるのだが今回は学園長が来ている。
そして、学園長は無茶苦茶な訓練を行うので・・・・
「まさかこの訓練をするとはな・・・」
「これを魔法で作るのは大変そうじゃがのぅ、あの学園長ならなぜか納得できるのじゃ」
「かといって、訓練で『壁垂直駆けあがり』ってどこの修行だよ!!」
現在、ジャックたちは垂直な土壁を足で武器を使いながら登っていた。
いわゆるロッククライミングとも言えそうだが、そもそも武器はそれ用ではない。
落ちたときの安全対策は一応しているようだが、かなりきつい。
というか、この土壁自体学園長が魔法で作り出した物であった。
「とは言ってもね、元からある土を上に引き伸ばしただけよ。ある程度硬くなるように調節もするのが大変なのよね」
「それを涼しい顔で行える学園長が怖いですよ・・」
学園長はその壁のてっぺんにある特設スペースで魔法で皆の様子を見ていた。
シロもその場におり、ジャックの様子を見ているのである。
そもそも、シロは聖剣であり、ジャックの武器なので本来ならば帯刀されているのだが、「白き翼」とかいう飛行できる技を使えるようにしてしまうので、学園長に没収されている身であった。
まあ、一応魔剣・・・クロはその芸当はないので没収されずに帯刀されており、シロの代わりの似たような木刀も使用されていた。
「というか、これって訓練なんですか?」
「訓練よ。足腰、武器の臨機応変な扱いを鍛えるのにはいいでしょう?」
「流石に垂直な壁を登らされるのはむしろ拷問なような気がするんですが・・・・」
「本来なら、ここに上から魔法で攻撃して、それをよけてもらうってのも考えたのだけれどもね」
「それは本当にに没にしてくれてよかったですよ・・・」
己のマスターに余計過酷な訓練の可能性があったのかと思い、それが没になっていたことに心から安堵をするシロであった。
「まあ、ここは水を上から流して滝登りにでも変更しようかしら?」
「流石にそれはこの寒いところでやったらシャレにならないですよ!!」
学園長のやりすぎ防止役としての責任も背負わされているようであった。
なお、他に教官などもいたが彼らも「ついでにあなたたちも鍛えようかしら?」という学園長の一言と、その言葉を聞いた生徒たちからの道連れの視線により同様に訓練させられているのであった。
なお、学園長が創り出した土壁の高さは約2キロである。
なお、訓練終了後には土壁を元通りなかったことにするのであった。
学園長、本当にすごすぎるような気がする。なのに、いまだに独身とはこれいかに。
ん?なんか背後に・・・




