169話
本日2話目
1年生の時は海。
ならば2年生は?
「~~~~で、夏休みの始まりをここに宣言します」
学園長がそう言い切り、その場にいた全員は夏休みとなったことに歓喜した。
去年に比べて、アンド学園長が生き生きしているのだが、今年は結婚式の招待状が届かなかったためであろう。
そのことに、去年からこの学園にいた一同はそう思い、今年は夏休みの終わりの学園長の暗さを見なくて済むと安堵の息を吐くのであった。
新入生はそのことは知らないが、ジャック含む2年生以上の生徒全員周知の事である。
「3日後に合宿か・・・」
去年も似たようなことを言ったようなとジャックは思う。
学園では、夏休みに入ってから3日後に集団での合宿が一旦ある。
1週間ほどの日程で、初日と最終日は遊んで良し、だけどそのほかは訓練が待ち受けているのだ。
去年、ジャックたちは海であったがクラーケンに強襲された嫌な思い出もある。
「今年は、どうやら山ごもりみたいになるようでっせー!!情報が欲しいなら金をもってきなんし!!」
クラスの情報通、ナニワが情報をすでにつかんでいるらしく、一応詳しく聞きたい人たちは列に並んでその情報を買った。
一応金はかかるが、ナニワの情報の正確さは確実なのだ。
よく見ると、他の学年の適正者まで買いに来ている。
「山ごもりの場所は、どうやら温泉で有名な『ゴドゥルウ山』って場所らしい。西の方で、俺らの故郷とは正反対の位置だな」
ロイスが金を払って情報を買ったようである。
コイツだけが買って、後は皆で共有状態。
(まあ、金を払うほど知りたいとは思ってないからね)
(ここは金を使う人にまかせるのよね)
(要は利用)
(しっ、こういうのは黙っておいたほうが良いのですわ)
(バカも使いようですのん)
(実力はあるのに、残念な奴ぜよな)
この場にいる一同で、ロイスに聞こえないようなアイコンタクトによる会話であった。
「温泉で有名って言うけど、今の時期的には微妙ね」
「冬の方がいい」
夏に温泉に入りたいだろうか?そこは風呂好きな人もいるので答えは出ないであろう。
「ふっふっふっふっふ、だがな、どうもこの『ゴドゥルウ山』は標高が高い山でな、頂上の方に温泉があるのだよ!!雪もどうやら万年雪とか言って、その頂上の気温は寒いと来た!!」
「なるほど・・・寒いのなら温泉があっても別にいいか」
「いや、頂上ってことはもしかして・・・」
ふと、リンが嫌な予想を思いついた。
「おお、さすが寝転がっても抵抗なく転がれ、
どごぉぅ!!
「ぎぇうきゅべ!?」
「けなしているわよね・・・・・」
ロイス・・・・またあほなことを言って、リンのメイスに沈んだ。
こいつはもはや、いちいちそのことに関して言って体がぐっちゃぐちゃにならないといけないぐらいになっているのか?
3分後、ロイスが復活した。この回復力はもはやなんというか人離れしてきたような気がする。
「気を取り直してだ、どうやら標高が高い山で行う訓練で、空気が薄くても動けるようにするのが目的だってさ」
「結構きつい訓練になりそうだな」
動きが激しい人にとっては、かなりつらい訓練になるかもしれない。
だが、辛くならないように呼吸の仕方を変えたり、無駄な動きを減らす世に出来るとすればなかなかいいかもしれないのだ。
「ついでにどうも罰則もあるらしくてさ」
「罰則?」
去年は特になかったような・・・
「温泉はどうも混浴形式だったらしくて、男湯と女湯の時間を入れ替えることで解決しているらしいが、もし、女湯の時間に男子が、男湯の時間に女子が入ってきた場合、学園長直々の物凄くきついお仕置きがあるんだとか」
「学園長直々って・・・・さすがにそんなことをする輩はいないよな」
確実に死の未来しか見えないような感じがある。というか、男湯の時間に潜り込む女子はないだろう。
そのきついお仕置きも二通りあり、肉体的か精神的かと選ばされることはあるらしいが。
「ちなみに、覗きの方は特に罰則はなし。除いた場合、措置はそっちでやばいからだとか」
まあ、それはそれで死しかないよな。ロイスなら死なないかもしれないが、その他の人からすれば死ぬ未来が待ち受けているだろう。
ともかく、阿呆なこともない限り何とか大丈夫そうなのでとりあえずジャックたちはその準備をするのであった。
(クロ・・・・少し思ったことがあったのですが)
(どうしたんじゃシロ?)
(いや、私たちってマスターの武器ですよね?私たちの場合、どうするんですか?)
(・・・・そのあたりは、つき次第考えるかのぅ)
適正者は、できるだけ自身の所持する武器を肌身離さずもつ。
学園の校則にあるのだが、この場合シロとクロはどのような扱いになるのだろうか・・・・・
なお、1年生たちは去年同様海らしいのだが、クラーケンの例があるので一応OBの適正者たちが今年から追加で加わる予定だとか。
3年生は・・・どこだろう?




