162話
本日2話目
シリアス?
「ブモヮァァァァァァァァァァァァッツ!!」
物凄い雄たけびを上げ、屋敷から出てきたのはまるで巨人のような牛頭の筋肉質な大きな怪物であった。
「あれがさっきの男なのか・・・・!?」
ジャックたちは驚き、その怪物を見る。
モンスターで言うところの「ミノタウロス」や「ベヒモス」のような外見だが、そのどちらでもない。
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「ミノタウロス」
牛頭の人型モンスター。成人男性の体つきをし、斧などを武器として持っているきわめて凶暴なモンスターである。身長は3メートルほどであり、5人ぐらいの集団で現れる。頑強な体で、毒などが効きにくく怪力で厄介である。
「ベヒモス」
巨大な牛のモンスター。山ほどの大きさで4本の角を持ち、そこから雷撃を放つモンスター。ただ、出現することはめったになく、過去に現れたのは4回ほどであり、そのうちの一回は勇者一人が倒し、もう一回は魔王が一人で倒したとも言われている。残りの二回は、適正者数十人がかりで倒したが、被害が多かったようだ。
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「見た目的にはミノタウロスとかに近いようですが・・・見積もって15メートルほどの大きさですわね」
「あの薬のせいなのか?」
先ほど、あの男が飲んだ薬・・・それによってあの姿になったという事ならばとんでもないことである。
人をモンスターの様に変質させてしまうというのは、明らかにやばい代物なのだ。
「とにかく、今はここから逃げたほうがいいな」
冷静に分析している場合ではなかった。というか、いつの間にかジャックとミヤゲは冷静さを戻していた。
現状、モンスターを討伐できるのは適正者のもつ武器だ。
あれが人からモンスターになったようにしか見えず、モンスターだとするとこの状況はかなりまずい。
ミヤゲは適正者ではないし、ルナの方はガントレットが今手元にない。
となると、この状況では聖剣・魔剣を持っているジャックにしか攻撃手段がないのである。
ただ、「ミノタウロス」にしろ「ベヒモス」にしろどちらも頑強な肉体を持っており、討伐が難しい。
あの男が変身したモンスター・・・・仮に名付けるならばそのままだが「牛男」としよう。
似たような姿を持ち、ならばその二体とも似た特徴を持っている可能性がある。
勇者や魔王がベヒモスを一人で討伐したという話はあるが、牛男は其のモンスターとも違うし、ジャックはその勇者や魔王の生まれ変わりであっても本人ではない。
強さが未知数の相手にそう簡単には出られない。
「とりあえず、ここは戦略的撤退だ」
単体で突っ込むのは得策ではない。
ここは他の適正者たちの助けを借りたほうが良いとジャックたちは判断し、その場から猛スピードで逃げた。
「ぶもぇぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぅう!!」
牛男はその場で雄たけびを上げる。
もはや自分が何者かまで忘れ、暴れまわることしか頭にはなかった。
そして、獲物の気配を感じ、ゆっくりと進撃し始めるのであった・・・・・・。
現在の状況:
ジャック:ルナを助けるまでに聖剣・魔剣を怒りでフルに使っていたため魔力がだいぶなくなっている。
ミヤゲ:爆弾や薬品を使い切ったので武器無し。そもそも適正者ではないのでモンスター相手には役に立たず。
ルナ:ガントレット紛失、薬の効果が抜けておらず、ジャックにお姫様抱っこで運ばれて心臓がやばい。
・・・まともに戦えそうなのは、学園の方にいる適正者たちかな。




