154話
悲しみの、間違って削除、戻らない。
・・・上書き保存って大事ですよ(いやもう本当に)
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっつ!!こうして道端でばたっと愛しの妹に出会えるなんて思えなかったよおぉすんはふぁはふぁ!!」
「お、落ち着いてくださいミヤゲ姉様!!」
「とりあえず、落ち着いてください!!」
ジャックとルナのデート中に突然突撃してきて、現在進行形でルナをがっしりと抱きしめて物凄く危ない人のように頬を擦りつけたり臭いを嗅いだりしているこの女性・・・どうやら、ルナの姉のようである。
とにもかくにも、まずは落ち着かせてどこかの店で話を聞くことにした。
このままだと不審者扱いされかねないし。
「ふぅっ、ひっさびさの妹成分をほじゅうできてよかったわぁぁぁぁ・・」
「何かを抜き取られたような脱力感があるのですわ・・・・」
適当な店の席にて、ルナが机にうつ伏し、ルナの姉はなんか肌がてかてかしているようにも見えた。
見た目は大体20代前半ほどで、ルナの姉ということもあるらしくルナの顔立ちと似ていた。
・・・・唯一の違いとすれば、その変態的な行為では?
「さてと、そこの少年・・・・ルナの彼氏のジャックとかいうやつかい?」
いきなり神妙な顔になって、尋ねられた。
「なぜ名前を?」
「噂になっているもん。聖剣と魔剣を所持し、何人もの女性を侍らせているという色欲家のような全男性の敵とも言われ、」
「後半で物凄い曲解が入っているんですけど!!」
人聞きが怖ろしく悪い。
「あっはっはっは、まあこうして直接会ってみてわかるけどさすがにそこまでのものまでとは思えないね。まあ、妹に手を出そうとしているという点を覗いては」
・・・少しづつ、いやもうすでに理解できたことが一つジャックにの脳裏にはあった。
目の前のルナの姉という人物・・・・・シスコンというかどことなくあの皇帝を彷彿させるのだ。
「そういえば名乗っていなかったね。あたしの名前はミヤゲ=ギアス。ギアス帝国の第2皇女さ!」
びしっと自信を指さしてどや顔をするミヤゲさん。
見た目がルナに似てはいるけど、どことなくあの皇帝がダブって見えそうである。
残念な人とはこういう人をいう物だろうか・・・・・・?
「それにしてもミヤゲ姉様がなぜここに・・・・」
ルナがやっと回復して話にはいってきた。
「ん?妹の噂を聞いてだよ!なんでも彼氏ができたとかそういう噂を旅の途中で聞いて、いてもたってもいられずに会いに来たんだよ!!」
「旅?ミヤゲさんって第2皇女って言ってましたよね?」
皇女がこう旅に出るものだろうか?見たところ一人旅のようだし、あの皇帝の性格からして許さないような・・・?
「ミヤゲ姉様はですね・・・」
と、ルナが何やら複雑な顔をして事情を話した。
ルナが13歳のころ、ミヤゲさんが15歳になって水晶の儀を受けて、適正者ではないことは判明していたのだとか。
まあ、それ以前から城での習い事とかがたんまりあったらしい。
だけど、ミヤゲさんはある日その習い事が嫌になって城から逃亡もとい家出をしたそうだ。
第2皇女で、適正者というわけでもないから世間の荒波にもまれてひどい目に遭う可能性があったので捜索隊が結成されて、あちこち探したそうだ。
だけど、見つからなくてどこかで奴隷にでもされたのではないかと思われていたらしいんだけど・・・・・。
「それから3カ月後、姉様から絵ハガキが届きまして・・・・」
なんでも、襲って来た盗賊たちを返り討ちにしたり、逆に襲ったりして資金を稼いで旅路に出ていたのだとか。
「・・・ちょっとまって、そこ何かツッコミを入れたいんだけど」
無茶苦茶すぎる。
だが、原因は判明していた。
もともと、あの皇帝自身も適正者ではないのにかなり強い。
それがおそらくミヤゲさんに遺伝していたらしく、さらに習い事の中にある護身術とかそういう物はしっかりと学んでいたらしい。
・・・・そこから規格外な第2皇女としての旅を始めていたのか。
「だけどねぇ、妹が可愛くて、その噂を聞いていてもたってもいられずにこうして強襲、ゴホン尋ねてきたんだよ」
「いま強襲って言いかけませんでしたか?」
何だろう、物凄く危ない人のオーラが見える気がする。
「で、ミヤゲ姉様はこの後すぐにまた旅に出ますよね?私の顔を見れて充分でしょう?」
ルナが「早く帰ってください」みたいなオーラを出している。まあ、デートを無理やり肉親に終わらされているようなものだしね・・・・。同意だけど。
「ん?いやしばらくこの国に滞在するわよ」
「「はあっ!?」」
その一言に、ジャックとルナの二人は素っ頓狂な驚きの声を上げたのであった・・・・・。
どう考えてもシスコンの臭いが・・・・・
普段は真面目そうだけど、振り切れると変態化ですかね




