153話表
裏もある話
退院した後、ジャックは校門前でルナと待ち合わせしていたので向かい、そこから街中にデートしに出かけた。
「今日晴れてよかったよねー」
「そうですわね、デート日和というか、そんな感じですわ」
ルンルンと歩くジャックたち。
一応、適正者であるので聖剣と魔剣をジャックは帯刀し、ルナはガントレットを束ねて背負っていた。
武器を持っているので適正者であると周りから見ればわかるのだが、今の二人の様子は普通の成り立てカップルにしか見えなかった。
ちなみに、ルナの今日の服装は白い清楚なワンピースである。
シロとクロは剣の姿のまま黙っていたが、これは一応マスターであるジャックへの配慮である。
「それにしても、こうして二人きりで歩き回るのって久し振りかもね」
「そうですわね。ここ最近は皆で歩き回っていましたからね」
普段はロイスやリン、カレンらとつるんで歩いていたが、今日はデートなのでジャックはルナと二人きりである。
ロイスはシラタマのエサを買いに出かけ、リンはメイスの整備に費やすとかで部屋にこもり、カレン、ミツ、ヨナの三人は何処かへ遊びに行くのだとか。
くぅぅぅぅ・・・
「あ、ちょっと小腹がすいたかも」
「なら、あそこのカフェで食事にしません?」
ルナが指さしたのは、最近この首都に出店してきた他国のカフェらしい。
人気はそこそこあるようだったが、テラス席が空いていたのでそこで軽めの食事をとることにしたのだけど・・・
「あの、これって・・・」
「はい、カップルが来店された場合には、こちらのドリンクが無料で提供されます!!」
サンドイッチとかを頼んだのだが、特別サービスとかで出されたのはでかいグラスに入ったジュースと、カップル用のつながっているストロー・・・・。
さすがに公衆の面前でもあり、二人とも顔を真っ赤にさせた。
「えっと・・・二人で片方づつ飲む?」
「いえ、どうもこの構造は二人ですわないとできないような感じですわ・・・」
つまり、同時にストローを吸わねば飲めないような仕掛けである。
顔を互いに恥ずかしさで真っ赤にしつつも、何とかそのドリンクを飲み切った。
ふと、ジャックが気が付くと周囲の他の男性たちからの怨嗟の目線が。
みると、同じようなドリンクが置かれており、全員男性同士のペア。
どうやらこのカフェ、性別にかかわらずカップルで来た場合はこのドリンクを渡されるらしい。
そして、男同士でも・・・やめよう。考えてもだれも幸せに離れない。
ジャックは考えるのを止めて、さっさと食べて二人はカフェを出た。
「さっきのカフェちょっと恥ずかしかったよね・・・」
「そうですわよね・・・・」
まだ恥ずかしさの余韻が残りつつも、ジャックとルナはふと服屋の前で止まった。
「そういえば、この服とか結構来ているんだよね」
「だったら、せっかくですしここで買い物しましょう」
服屋の中に入り、様々な物を試着してみる。
互いに試着して、お互いに似合うと言いあって最終的には数着ほど買うことにした。
「いい買い物をしたよね」
「ええ、次のデートの時にも来ましょうか」
互いに笑いあっている時であった。
「ん?」
ふと、何かの視線をジャックは感じた。
「どうしたんですの?」
「いや、今何か視線を感じたような・・・・・んんん?」
視線の方角を見ると、何か土煙を立てて向かってきている。
どうやら女性のようだが、物凄い速さで・・・・
「ル――――――――――――――――――――ナ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!」
何やらルナの事を叫んでいるようだけど・・・・あれ?どこかで見たような・・・・?
「この声・・・・お姉様!?」
ルナがその正体に気が付いたようである。
どうやら、今現在ジャックたちに向かって走ってきている人物はルナの姉のようだが・・・
「会いたかったよ愛しの私の可愛い妹のルナぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「のわぁぁぁぁぁぁ!!」
どかぁぁぁぁぁあん!と勢いよく体当たりをされ、その日のデートの終わりを告げられたような気が二人ともしたのであった・・・・・。




