閑話 ナニワ=サイカン
本日2話目
コメントから希望された閑話です
学園一の情報通、ナニワ=サイカンの一日は、自室でハリセンを100回降って目を覚ましてから始まる。
毎朝の日課にしており、これをやらねばどうもすっきりしないのだ。
「ほな、今日も元気にやってきまっせ!!」
朝食の時間、学園の寮の食堂はナニワにとっては重要な場所である。
人のうわさ話などが流れ、そこでひそかに心のメモ帳にメモしていくのだ。
信憑性が高いものはなるべく多く、低そうなものは少なくしておく。
寮から出て、学園の教室に移る合間に、その心のメモを本物のメモに移す。
この情報に対する記憶力とどん欲さが情報通にとっては命なのだ。
「ふむ・・・皆の関心ごとはこれとこれと・・・」
書き出したメモを改めて見て、今皆が欲しがっている情報は何かとチェックを入れる。
こうして最新の情報を探し出し、お客様にお届けする情報を選別して収集してくるのだ。
心の中の当て字が漏れるのは仕方がないことである。
別に、ナニワの生活は貧しいわけでもない。
こうして他者が欲しがるような情報を集め、売り払うのが趣味なのである。
ナニワの武器はハリセン。このハリセンを見たときから、彼は適正者として働くと同時に、こうして皆が望む情報を仕入れ、時折その針戦でツッコミを入れて販売する情報屋になりたいと心の中で決めたのである。
ハリセンと言えども、バカにはできない。
ただの紙のハリセンならあっという間にボロボロになるが、ナニワのは適正者が持つ武器であるハリセンなのだ。
「なんでやねーん!!」
ズバァシッツ!!
ツッコミと同時に、岩が割れる。
「なんでこのハリセンで岩がわれるんかいな?」
「やっぱり鋼鉄製とか?」
「オリハルコン製じゃないの?」
「ああ、焼いてもよし、ポップコーンにしていいあれか」
「それはコーン違いやろうが!!」
授業中でも、教師のしゃべっている言葉や、周囲で受けている人たちの隠れてしているおしゃべりなどを聞き逃さない。
こういった中身には、なにかしらの面白い情報があるのだ。
(ふむふむ・・・やはりジャックはんの色恋沙汰の情報が気になる人が多いでんな・・・)
どうやら、今一番気になっている情報は、聖剣・魔剣所持者のジャックを取り巻く色恋沙汰についてのようである。
もともと、聖剣・魔剣所持者というだけでもかなりの情報だが、どうやらジャックが現在数人の女子とお付き合いをしているようである。
(普通なら○股かけている男になるやろうが、この場合、ならないんやな・・・。この方面で調べるのはなしとして、おすすめのデートスポットとかの情報を・・・)
ジャックの周囲の女子・・・ルナやカレンあたりが聞いてきそうな情報にナニワは狙いを定めた。
こういった恋とかそういう話題によって、学園内に他にカップルができる可能性を見通しての行動である。
情報を売るには、その周囲が欲しがっている情報のつねに先の先をよんでいかねばならない。
まあ、さすがにおすすめ結婚式会場などは早すぎると判断してそれは調べないことにしたが。
放課後、街にくり出して情報を収集する。
寮の門限までに帰宅はするが、そのギリギリまで彼は情報を集める。
「ケーキ屋は限定品が3店舗っと・・・」
店の最新情報なども常に更新していき、皆の欲しがる情報を最新の情報に記録し直していく。
途中、情報が欲しい人には、金でその情報を売る。特売品を求めるおばちゃんたちからの需要もあるのだ。安く買いたいために、お金を使用するのは本末転倒のような気がするが、ナニワは決して相手が損になるような情報は売らないのであった。
寮に戻り、入浴するときになる。
メモを心のメモに切り替えて、風呂場で耳を傾ける。
こういった場所では、人はいつもより警戒を緩める。
ついうっかり情報を出すのを待つのだ。のぼせ過ぎないようにするのも大切である。
自室に戻り、編集作業をする。
皆が求めている情報を整理して、わかりやすくするのだ。
この作業中に、ナニワの部屋に訪れてくる人が多い。
そして、本日は予想通りにデートスポットを聞いてくる人が多かった。
「23448から478引いて、390かけて・・・・」
今日の売上金をまずはいったん統計し、その情報を得られるまでにかかった労力などを算出して、この情報は明日はいくらかと計算もする。
そして、深夜遅く彼は眠りにつくのであった。
こうして、彼の地道な努力によって情報は集められ、欲しい人に売り渡すのである。
普段から何もしないわけではなく、こうやって己の全能力を稼働させて情報を集める・・・
それがナニワ=サイカンだ!!
・・・適正者として、実は結構強い方でもある。ハリセンでもかなりの武器となれるのだ!!
ただ、ハリセンと言いながらそこまで威力がある物をハリセンと呼んでいいのだろうか?鉄扇とかでもないのだが・・・




