124話
ロイスもそろそろ帰還させる予定
学園に戻ったその翌日、ジャックたちは再び学園長室に集められていた。
「さて、今日は本格的にこれからのことについて話しましょうか」
「「「「「「はい」」」」」
昨日は帰還報告などだけで、対魔勇団に対する詳しい話などはしなかった。
「まず、もう言ってはいるけど、対魔勇団のトップの人達・・・リーダー的存在などはまだ壊滅できていない。あっちの場所、こっちの場所と行き来しているために、中々その存在を捕らえることができないのよ」
「そこで、俺をおとりにしてトップの人達をおびき寄せるという事ですよね」
「ええ。組織が雇った暗殺者などが来るでしょうけれども・・・対魔勇団が殺したい相手のに関することならば、必ずその人たちは動くはずなのよね。そこから何とか居所とかをつかんで、一挙制圧できればベストよ」
「海外に逃亡という可能性はないのかぜよ?」
「それがね、昨日これが届いたのよね」
ミツの質問に対し、学園長が取り出したのはなにやら絵葉書のようである。
「差出人はロイスよ。どうやら、海外の対魔勇団をぶっ潰したらしいのよ」
「「「「「・・・えええ!?」」」」」
全員驚いた。
ここ最近・・・というか、何処にいるのかもわからなかったロイスからの久し振りの連絡で、海外の対魔勇団をつぶしたことに衝撃を受けたのである。
「あのロイスがか・・・」
「意外ですわね」
「ふふふふ、大剣の専門家の弟子となって、今各地をその人と共に回っているのよ。確実に、この学園にいた時よりも強くなっているわよ」
よく読んでみると、確かにあちこち回っているようである。
(砂漠、雪国、海底都市・・・どこに行っているんだあいつは)
無茶苦茶な旅の様子にジャックは呆れるとともに、友の無事を聞いて心から安堵した。
一応、親友でもあるからね。見捨てることがあるけど、リン関連の事なので別にいいだろう。
・・・ただ、これ結構変な場所に行っているようだしちょっと不安である。
案外、幻と言われているような場所とかにいくのではないかと全員思ったのであった。
その後、とりあえず皆で打ち合わせした結果、ジャックが今この首都にいる情報を流して、何か動きがみられるまで様子を見て、相手の出方次第では全戦力で徹底抗戦をすることになった。
学園にいたままの状態だと、このようなことはできなかったのだが、旅に出ていろいろ経験したために、ジャックたちの腕前の上昇も考慮に入れたためである。
自分達ではそこまで強くはなっているとは思わなかったが、学園長がジャックたちの武器を見て判断。
その使いこまれ具合から腕が上がっていると言われたのであった。
聖剣・魔剣の方もこの旅の間に勇者や魔王が使用していたころの力を戻してきているみたいだとか。
シロとクロに聞くと、その通りだと言われた。
「さて、ここからが本題よ・・・」
一通り確認した後で、学園長が重い空気を出す。少し魔法で物理的に重くしているようだけど・・・。
ごくりと全員つばを飲み込んだ。
「ジャック、あなた彼女たちから告白を受けているわよね」
「はい」
「その告白の返事・・・どうするのかしら?」
学園長に改めて言われ、振り返るとルナたちが神妙な顔になっていた。
「学園長・・・質問いいですか?」
「なにかしら?」
昨日の学園長が言った・・・「全員Okでもいい」という発言。
ジャックは気が付いたのだ。
「ルナと結婚して、正妻にすれば他に妻を持ってもおかしくはないんですか?」
ルナの皇女の地位は第3皇女。
今はこの学園に留学生としてきており、適正者として動いているのでそこまで地位が高いわけではない。
だが、ジャックがルナと結婚すれば一応皇族の仲間に入るので・・・一応妻を複数持ってもおかしくはないのである。
学園長と同じ結論にジャックは昨日の晩考えてたどり着いたのであった。
そのジャックの言葉に、全員驚いた。
・・・皆すっかりルナが第3皇女だったということを忘れていたのである。
なにせ、ずっと一緒に旅していて・・・
「皇女らしいというところがねぇ・・」
「気安く接していたから忘れていた」
「そうだったのかぜよ・・・」
「まったく意識していなかったですのん」
「ひどくないですか!?」
皆の反応に、ルナはちょっと怒った。まあ、ルナ自身皇女の立場を忘れかけてはいたが。
可愛いと思えるのは、ジャックが皆を意識し始めたからであろう。
・・・ちなみに、全員気が付いていないことだったが、実は旅の間中レント皇帝がこっそりルナたちの様子を探らせていたりしている。
前回はルナにバレていたが、今回は大丈夫だった。
ただ、ルナがついにジャックに告白したところでは、物凄い葛藤が生まれたのだとか。
娘が男と付き合うのは親としては嫌だったのだが、ジャックの事を皇帝は帝国にジャックが訪れた際にどんな人物なのかよく知っていた目に、任せられる人物として信じることができた。
しかし、やはりいつまでもこのままでいてほしいという心もあり、その葛藤で熱が出て倒れたので、一時期帝国内で騒ぎとなっていた・・・。現在は回復したが、今この瞬間も見張っている人がいる。
ちょっと落ち着きまして・・・
「ふふふふ、やっぱりそのことに気が付けたのね」
学園長としては、もう少し悩むかなと思っていたが、まさかこんなにジャックが早く気が付くとは思わなかった。
「そのことに早く気が付くなんて・・・・ジャックとしては、全員受け入れたかったのね」
「・・・はい」
学園長がニヤニヤした顔で言ってきたので、ジャックは恥ずかしくなって顔を赤くした。
ルナたちはうれしかったので喜んだ笑みになったが・・・・
「でもね、別にルナと結婚すれば彼女が正妻でなくても皇族に入ることになるから、複数の結婚は可能よ?」
学園長が女性陣に爆弾発言を落としました。
その瞬間、先ほどの喜色満面ムードからルナたちの空気が変わった。
(ん?ということは・・)
(わたくしが正妻でなくてもいいってことですの!?)
(ほほう、それはつまり・・・)
(正妻になる機会が全員にあるってことですのん)
この瞬間、全員の目線が合うと火花が散った。
比喩ではなく、本当にである。
空気がややおかしくなりかけたので、とりあえず今日の話はここでお終いになり、ジャックたちは旅に出ていた間分の補習授業を受けることになったのだが、ミツとヨナだけが学園長室にのこるようにいわれた。
ジャックたちが退出し、部屋に残ったのはミツ、ヨナ、学園長だけである。
「あの・・・なにがあるんぜよ?」
「何かあるんですのん?」
ここで出来れば出遅れをとりたくない二人。
と、学園長が先ほどより真剣な顔をした。
「いきなり単刀直入に尋ねるけどね・・・あなた達、それぞれ勇者崇拝・魔王崇拝集団からきた子でしょう?」
「「!?」」
学園長の言葉に、二人は驚愕した。
「ふふふふ・・・別に敵対とかそういう事をするわけではないわ。ジャックの彼女のようなものだしね」
「のようなものって・・・」
「そのものですのん」
学園長の言い方には不満があったが、とりあえず問題はないようで二人とも安堵した。
「どちらも本当ならジャックを引き込むつもりだったのでしょうけど・・・逆にやられたのね」
「うう・・言い返せないぜよ」
「籠絡するつもりが、逆にされていたですものん・・・」
学園長のどこか生暖かい目線に、二人は顔を赤くした。
「でも、このままジャックの彼女になれてもその集団が邪魔になるわよね。ついでにつぶさないかしら?」
「「はい?」」
学園長が自然にそう尋ねてきたので、ヨナとミツは一瞬ぽかんとするのであった・・・。
学園長のその言葉にぽかんとするミツとヨナ
そして、ジャックの正妻の座を狙う者たち
そんな中、やつが戻ってくる!!
次回に続く!!
・・・こういうのってある意味修羅場?




