120話
本日3話目
前半は118話でカットしていたシーンをここで放映するため、甘酸っぱい青春の雰囲気や、リア充が嫌いな方は警戒することをお勧めいたしマス。
前話での次回予告と違う部分が出ていることを、ここでお詫び申し上げます。
「・・・ルナ落ち着いた?」
「ええ、何とか」
頭から湯気出して爆発したルナだったが、何とか落ち着きを取り戻したようである。
まだ顔を隠してはいるけど、何とかジャックをまともに見られるまで回復していた。
体がまだ痛いとはいえ、今の乙女心爆発によって忘れるほどである。
「眠り薬の副作用か?」
眠り薬の中には副作用がある物がある。
男の「金がない」という発言をジャックは思い出し、もしかして安物で副作用が出るやつかもとジャックは考えた。
「ちょっと失礼っと」
「へ?」
ルナのおでこにジャックは自身のでこをくっつけた。
熱が出ている可能性があったからである。湯気が出たのはそのせいではないのだが。
「うーん、やっぱ熱くないか?」
ジャックとしてこの方法はわかりやすいけど少し恥ずかしい。
だけど、仲間としてルナを見ているのでこのような行為をしたのである。
「ね、熱はありませんわ」
ルナはできるだけ冷静に答えようとしたが、顔が近くて完全にしどろもどろの内心乙女心オーバーヒート。
先ほど湯気が出たのに、さらに体が熱くなった。
(はわわわわわわわわわ!!)
・・・ルナは帝国の第3皇女で、適正者という立場である。
一応皇女という立場なのだが、今のルナは純情な女の子であった。
その状態で、好きな人に顔を近づけられては・・・・
(・・・これってもしかしてチャンスですの?)
現状、今ここにいるのはジャックと二人きり。
あたりはまだ暗く、戦闘音はまだ聞こえるので他の皆はまだ戻ってこない。
顔がものすごく近い。
・・・・ただ、ルナはこの時聖剣・魔剣・・・・シロとクロの存在を忘れていた。
まだその二剣はジャックの傍らに木に立てかけられている状態で、この今の状況を見ることができる。
だが、二剣はどちらも先ほどから毛虫を斬るという行為を思い出して震えており、気がジャックたちの方向へ向いていなかったのであった。
そして、暴走してもう止められぬ乙女心が下したのは・・・・
「・・・ジャック、ちょっと目を下に向けてくれません?」
「え?どうし」
チュッツ・・・・・・・・・
「どうしたんだ」と、ジャックは言葉をつなぎたかった。
だが、その言葉はジャックの口を防がれて出なかった。
防いだのは・・・
(え・・・・・!?)
ジャックは一瞬信じることができなかった。
自身の口をふさいだのは、今目の前にいる・・・ルナの唇。
第3皇女でかつ、今の旅の仲間でもある彼女からの口づけである。
しかも、してきたのはルナの方から。
(普通これって逆だよね!?なんでルナが!?というか何この状況!?夢!?現実!?何が起きてんの!?)
あまりにも突然だったので、ジャックは大混乱した。
だが、今そのことを考えることよりも、今のこの感触に思考を奪われていた。
「「・・・・ぷはぁっ」」
その口づけからどれだけ立ったのであろうか。
時間にしてみれば約数十秒だったかもしれない。
いつまでもし続けていたいという感覚もあったが、息が持たなくなるので互いに離れた。
そのまま沈黙が続く・・・
(も、物凄く気まずいような・・・・)
ジャックは物凄い冷や汗をかいていた。
というか、このことがもしあの親バカであるルナの父親・・・・ギアス帝国のレント皇帝にバレたら。
・・・よくて死刑、最悪生き地獄を喰らいそうである。
「・・・えっと、ルナなんでいきなり・・・」
「・・・・ですわ」
「え?」
「ジャックの事が好きなのですわ!!」
「・・・・はいっ!?」
ルナのその叫びに、ジャックは素っ頓狂な声が出た。
(え?え?え?・・・・・ルナが俺のことを・・・・!?)
物凄く驚愕するジャック。
乙女心に物凄く疎いジャックでも、こうまでドストレートに言われては気が付かされないはずがなかった。
「えっと・・・ルナ、俺の事が好きってことだよね」
「そうですわ」
「普通に好物の食べ物の好きとかではなくて、純粋に異性として?」
「そうですわよ!!」
「・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっつ!?」
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「とりあえず、捕らえたけど・・・」
「なんか物凄いことになっている」
ジャックが驚愕しているその近くで、殺しに来ていた二人をぶっ倒したリンたちはその二人を縛り上げてジャックたちの元に戻ってきていた。
で、声をかけようとした時に今のキスシーンを目撃。
つい体が動いて木の上に飛び乗って一部始終を見ていた。
「うわぁ・・・風呂場でのクロの発言に動かされたようね」
リンは純粋に驚いているのだが、他三人は・・・・
「さ、先を越された・・・・」
「はわわわわわわっ!!先に言われたぜよ!!」
「ルナが先とは・・・油断したですのん」
ぶっちゃけ、こういった状態になるとは三人とも思っていなかった。
よくてただ語るだけで、今すぐ告白まで踏み込まないかもと思っていたのである。
カレン、ミツ、ヨナの油断・・・それが、ルナがこうしてジャックに告白をいち早く出来た要因でもあった。
「こうしてはいられない!!」
「まけぬぜよ!!」
「早いもの勝ちとかそういうものではないですのん!!」
「あ、ちょっと!?」
リンが静止を言う前に、三人ともすでに木から降りてしまった。
「・・・・しょうがないわね。この二人は私が情報を引き出しておくわよ」
やれやれと肩をすくめて、リンは気絶している状態の少女と男性を引きずって、今は離れるのであった。
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「・・・つまり、告白ってことか」
「そういうことですわ」
やっと今の状況をジャックは飲みこめ賭けた時であった。
「ちょっとまって」
「拙者たちも!!」
「ですのーーーん!!」
「「へ?」」
ジャックとルナが振り向くと、いつのまにかカレン、ヨナ、ミツの三人がそばにいた。
言うなれば・・・・修羅場のような状況である。
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(あー・・・・・なんか気が付いたら物凄い状況になっていますね)
(・・妾が火をつけてしまったのかのぅ)
その状況の中、シロとクロは剣の姿のままその状況を黙って見るしかなかった。
気が付いたら、マスターであるジャックが告白されて、さらに他からも告白を受けている。
(これっていわゆる修羅場って状態ですよね・・・勇者様の時にも見たことがある光景ですよ)
(奇遇じゃな。魔王様の時にこちらも同様の状況を見たことがあるのあるのじゃ)
どうやら、勇者と魔王・・・どちらも女難の感じがあったようである。
そして、その両方の生まれかわりであるジャックもまた、どうやら女難に見舞われる運命にあったのであった。
突然の告白。
どこぞやの死亡フラグのような気もするが、別にそういう事ではない。
というわけで、次回予告風なのが書けないのだが・・・
次回に続く!!
・・・ラブシーン的な感じがしますけど、書いていると甘い。




