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112話

今回、主人公不在

「のぅ・・・お主たちの中で、我がマスター・・・・ジャックに対する思いはどうなのじゃ?」



「「「「「え?」」」」」


 クロのその質問に、風呂に浸かっていた女子一同はしばしあっけにとられた。


 てっきり何かふざけた質問とかしてくるかと思ったら、わりかし真面目な質問である。


「えっと・・・なんでいきなり聞くんですの?」

「それはのぅ・・・なんとなく思ったのじゃ」

「思ったってなにを?」


 クロがちょっとニヤケていた感じの表情から、何かを考えるような表情になった。


「いや、別にたいしたことではないが・・・・」

「結構長いこと皆さんとマスターがいるのに、浮ついた話が出てこないのが気になったんですよね」


 クロのどことなく歯切れの悪い言い方に、シロが代弁をした。




 学園から飛ばされて、結構な日数が立っている。


 その間に、ジャックたちはずっと過ごしてきているのだが、学園の寮とかそう言ったのとは違う環境で、今それぞれがどう思っているのかシロとクロは気になったのである。


 まあ、本音を言えばクロがこの間の一件でジャックを完全に意識し始めたのと、その様子からシロも触発されたのが原因であるのだが。



「ジャックに対する思いですか・・・」

「ジャックにね・・・・」

「ジャック・・・」

「・・・ジャックにぜよか・・」

「ジャックですのん・・・」


 しばし、全員考える。それぞれ、ここ最近過ごして気持ちの変化に気が付いてきているのだ。


(ジャックって・・・・聖剣魔剣所持者の?知らせないと・・・)


 と、風呂場からこっそり出ていった小さい影には誰も気が付かなかった。





「・・・そうですわね、好きになってしまったというのがシンプルな答えかしら」

「・・・うーん、気にはなるけど、好きという感情ではないな。普通に友情よね」

「・・・再燃したかも」

「・・・純愛みたいなのが欲しいと思うぜよ・・・」

「・・・気になり始めた異性ですのん」


 全員の答えはこうであった。


(ですが、告白しようにも恥ずかしいですわ)

(昔、告白できなくてあきらめていたけど、再燃した)

(そういえば、勇者崇拝集団に引き込む予定がいつの間にか惹かれてしまっているぜよな・・・)

(魔王崇拝集団に引き込むために籠絡する予定でしたけど、いつの間にか・・・・ですのん)


 ジャックが好きな女子側は、それぞれ自身の思いに関して見つめ直した。


 ルナとしては、以前のデュラハンの時以来から好きであるのだが、告白するタイミングがつかめない。父親の皇帝が公認してはいるのだが、あと一歩でなかなか言えない。


 カレンは、昔村にいたときに告白しようとしていたが、他に好意を抱く人が多かったので、あきらめていた。だが、今こうして過ごしているうちに、再び再燃してきた。


 ミツは、勇者崇拝集団から引き込むように言われてきたけど・・・・元が剣士のせいか、今こうして質問されたことで、剣を扱うジャックに惹かれてしまっている自身の心に気が付いた。


 ヨナは、魔王崇拝集団からジャックを籠絡して連れてくると意気込んでいたが、いつの間にか好意を抱いていた。まあ、どちらにしろ籠絡したいという想いは変わらないが。




「となると、現在マスターに完全に好意を抱いているのは・・・」

「ルナ、カレン、ミツ、ヨナじゃな。リンは違うかのぅ?」

「違うかもね。気にはなるけど、そうはっきりとしたモノでないし・・・・」



 反応的にも、リンだけは違う。


 他4名は明らかにジャックに対しての好意が出てきたのだが、リンだけは別なようである。


「そもそも、旅についてきたのは友人としての心配から出し・・・」

「ロイスさんの方が相性良さそうですもんね」

「誰があのやろうと!!」


 シロのつぶやきに、リンがちょっと怒った。


「まあ、名物コンビでしたわね」

「怒りのリン、やられのロイス」

「はた目から見れば、虐殺にしか見えなかったような・・・」

「あれで何でロイスが生きているのか不思議でしたのん」


 リンとロイスの学園の様子を皆思い出した。


「私としては、別にあんな不死身野郎の事はどうでもいいからね!!」

(((((これがいわゆるツンデレってやつか)))))


 全員一致でそう思ったのであった。実際、リン自身としてはいまいちわかっていないのであるが。





 話を戻して・・・・


「にしても、マスターもなかなか罪なお方じゃ。ここまで好意を寄せる娘が出るとは」

「まあ、そのあたりはわかりますけどね・・・」

「というか、クロたちはどうなんですの?」

「シロもぜよ。拙者たちだけに聞くのはどうかと思うぜよ」

「聖剣・魔剣がどう思っているのかが気になりますのん」

「「え?」」


 ちょっと言ってしまって恥ずかしくなったので、ここぞとばかりにルナたちは反撃に出た。


「私は・・・まあ、愛しい人ですかね」

(わらわ)たちは武器。選ぶ人を好きになるのは当然と言えば、当然じゃな」


 シロは冷静に答え、クロも同様に答えていたが・・・ちょっとだけギクッとした感じになっていた。


 その後、女子トークへと発展していく・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「いいゆだったなー」


 対魔勇団所属のアストラルは、風呂から上がって部屋に戻っていた。


「いー(いる?アストラル)」

「どうしたんだラネット?」


 部屋の扉があき、同じく所属のラネットが入ってきた。ラネットは言葉を省略して話しているのだが、アストラルにはわかる。


「ジー!!(ジャックというやつがこの宿にいるみたいだよ!!)」

「なに!?聖剣・魔剣所持者のか!?」




 話を聞くと、女湯での会話を聞いたらしい。


「なるほど・・・」

「ぶー(武器とかが脱衣所にあったから、彼女たちが適正者なのは間違いないよ)」

「だが、一緒に行動しているとかそういう事はないのでは?」

「めー(宿泊名簿を覗き見したから間違いないって)」


 となると・・・


「え?ってことは・・・・対魔勇団での殺害対象がこの宿に本当にいるってことか」

「そー(そういっているじゃん)」


 やっと、アストラルはジャックがこの宿に泊まっていることを理解した。


 というか、先ほど風呂に入りに行ったときにいたのがジャック本人であるのだが。


「どー?(どうする?寝静まったころに殺しに行く?)」

「いや、その女の子たちが一緒に行動して、しかも適正者ならば危険だ。俺らも適正者で武器はあるが、多勢に無勢」

「じー?(じゃあ、上層部に発見連絡をする?)」

「むぅ・・・手柄をとられそうな気がするからちょっとな・・・・」


 対魔勇団上層部へ連絡すれば応援として駆けつけてきてくれる人が出るだろうが、せっかくのこの機会を奪われそうでちょっと迷った。


「この際、後をつけていって一人になったところで一気に襲撃を仕掛ける・・・・が一番いいか?」

「しー?(失敗のリスクは?)」

「超有る。そもそも、聖剣・魔剣所持の時点で相当な腕を持つだろうし、ついこの間、暗殺者を雇ったのに失敗したというのも聞くからな」


 だが、彼らの武器は少々特殊なものである。


 うまいこと行けば、意表をついて・・・・


 二人は、その後どうすべきか話し始めるのであった・・・・

自身の恋心などをしっかりと見つめ直していく乙女たち

一方で迫りくる対魔勇団の魔の手・・・

ジャックは、それに気が付けるのか?

次回に続く!!


・・・主人公、今回出番ないな。というか、この人たち気が付いていないけど、今この瞬間こそが一番の殺害チャンスだったような?

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