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閑話 シロとクロの風呂場での話し合い

本日2話目

105~106話の間ぐらいかな?

「・・・・・ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「まだ悶えているんですかクロ?」


 ゴーレムを倒した後、宿の女湯でシロとクロの二人・・・もとい二剣が浸かっていた。


 だが、クロの方は顔を物凄く赤くして両手で隠してずっと悶えていた。


「じゃって、じゃって・・・あのような醜態は・・・・あああああああああああああああああ」

「・・・・同情しますよ」


 ゴーレムを倒す際に、装甲が分厚い感じがしたのでシロはマスター(ジャック)に魔力をそれぞれに流して切れ味を挙げてから切るように助言した。


 だが、ここで失念していたのがクロの状態である。


 「腰砕き」・・・あのゴーレムがやっていたことのようだが、その被害の副産物として一時的にだが、クロの今の人の姿での感覚と、魔剣時の感覚がつながった。


 柄の部分を持たれるだけでかなり危うかったのだが、ここで思いっきり魔力を流し込まれた。


 本来ならば、魔剣時の感覚でならただぎゅわっと衝撃が来る感じだけである。例えで言うなれば、水を一気に飲まされる感じであろうか?


 だが、「腰砕き」の影響により、その感覚は人の姿の時のものに変わっていて・・・



 まあ、とりあえず物凄いことになっていた。


 で、体を癒すために風呂に浸かっているのだが、クロはずっとこの状態のままであった。


 下手すれば、シロも似たような状態になっていたかもしれないと思うと、シロとしても他人事・・・もとい他剣事とは言えないのである。


「マスターにはばれていませんけど・・・プライド的なものも砕けましたか?」

「そりゃそうじゃろ!!魔剣なのに!!」


 人とは違う感覚なのが聖剣・魔剣の二人。


 なので、他人に聞かれても共感できないことではこの二人の間では共感できることがあるのであった。


「マスターにどういう顔で接すればよいのかもわからんくなったし!!(わらわ)の心はずたずたじゃぁぁぁぁぁぁっつ!!」


 本気で号泣しているクロ。ふろに浸かっているため、その涙は湯船にたまっていく。


 ・・・・元は剣なのに、なんで涙が出るのかはわからないけど。


「とりあえず、落ち着きましょう。私たちがこのような状態だと、マスターに不安を抱かせますし」

「・・・ひっぐ、ひっぐ・・・そうじゃな」


 やっと何とかクロは落ち着いた。


 風呂の中で悶えに悶えたので髪を洗うことにした。


「・・・・すまんのぅシロ。妾の愚痴のようなものを聞いてくれて」

「いいえ、むしろクロも私と同じようなものだとよくわかりましたし」


 ぶっちゃけ、クロはどことなく大人びた雰囲気はあった。


 だが、今の号泣などから自分とはたいして変わらない存在だなとシロは思ったのである。


「まあ、そもそも私たちがこうして人の姿になれるからこそ得た感覚ですからね・・・」

「そうじゃな。なぜ妾たちが武器なのにこうして人に似た体になれるのかはわからぬが・・・その副産物じゃな」


 聖剣・魔剣である二人。どことなく共感できた。


「人の姿をとれなければ、勇者様(前の所持者)やマスターに話せなかったでしょうし・・・」

魔王様(前の所持者)やマスターに話せなかったじゃろうなぁ・・・」


 どちらも、なぜ自分がこのような姿になれるかはわからない。


 他の武器には同じような存在はいないし、力で言えば聖剣・魔剣以上の武器を見た事がない。


「・・私たちって、いったい何でしょうかね?」

「さあのぅ、わからんのじゃ」


 気持ちを切り替えて考えてみたが、その謎に答えが出ない。


 だが、こうして考えてみると自分で自分が不思議に思えてくるのであった。


「人の姿になれますけど、食べ物をとらなくてもいいですし・・・・」

「人の姿を模しただけ・・・・にしては、汗や涙が出るのもおかしいしのぅ」


 考えてもきりがない。


「だけど、こうして人の姿になれるからこそ、今の状況があるのでしょう」

「・・・そうじゃな。別に悪いことでもないし」




 髪をゆすぎ、風呂からあがって・・・・


「・・・今さらですけど、私たちの服ってどこにあるんでしょうか」

「・・・そういえば、そうじゃな」


 旅している今、衣服の関係で困ることは特にない。


 それぞれが自分の替えの洋服などを持っているけど・・・シロとクロの分は?


 学園の寮では、他の女子生徒たちによって管理されていた。


 まあ、男であるジャックに洗濯してほしいといっても困るだけだし。


 そして、今着ている服はいつの間にか普通に着ているものであった。


「・・・・ま、考えるだけ無駄じゃな」

「服を着れればいいですからね」


 それを考えるのはやめた。どことなく天から「考えないでくれ」というような声がしなくもない。



 部屋に戻り、いろいろ先ほどのゴーレムについて議論しているジャックたちの横で、二人は剣の姿にもどって横たわる。



「人というのも、魔族というのもあるが、いまだに自身のことが分からぬのはもどかしいのぅ」

「私たちがいつ、どこで、どのようにして、なにをもとにして創り出されて、こうして顕現できているのかっていうのもわかりませんけどね」

「まあ・・・そうじゃな。というかそれは他の武器にも言えるじゃろ」

「そうですよね。ですが、今こうしてマスターと共にいられるってのは・・・・幸せなことですよね」

「・・・・そうじゃな」



 クロはふと思う。魔王に仕えていた時と同じように、今のマスター・・・ジャックも自分たちを大切に扱ってくれている。


 こうして一緒に所持者と居られるのは幸せといっていいような気がした。


「まあ、さきほどマスターに持たれている時・・・」

「うわぁぁぁぁっ!!ぶりかえしたではないかぁぁぁぁぁっ!!」


 落ち着いてきていたところに、今のシロの一言で、先ほどの羞恥心が戻ってきた。シロはいつも悪戯をするようなクロに対して「してやったり」と思った。


 そして、羞恥心がぶり返したクロは結局一睡もできなくなったのであった。


 翌日、完全な寝不足となっていたが、まだ残っていたそうな・・・・・


後日、クロはシロにこの時の仕返しとしてやり返すのだが・・・・・それはまたのお話。


というか、そもそも適正者たちの武器って誰が生み出しているんだろうか?

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