105話
本日3話目
何気に今回クロが不遇なような
「な、なんじゃこりゃ・・・・」
地中から現れたそれにジャックたちは驚いた。
一瞬シルエットだけなら、夏に現れたサイクロプスを思い出す。
だが、その姿はどう見てもサイクロプスではない。
「『ゴーレム』の一種みたいですが・・・・」
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「ゴーレム」
モンスターでも出る時があるが、ほとんどは人工的に作り出されたものである。
様々な種類があり、モンスターに対抗する適正者の代用として開発されていた時もあったが、生み出すときの材料費や維持費、整備費、燃料代などコストが高くて断念された。兵器として開発もされたことがあるが、同様の理由で断念。
水晶で作られた『ゴーレムコア』からの信号命令で動いている。魔力、モンスターから抜き取れる魔石、水、空気、燃える水、蒸気、何かしらの光線などを燃料として動く。
中には、人型のゴーレムを愛玩用として創り出そうとした猛者もいたが、小型化ができず断念したそうな。
勇者や魔王がいた時代には、より高度な作製技術があったらしいが今は滅んでしまい、失われた古代技術とも言われている。
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「なんでそんなものがこんなところにあるんだよ!!」
というか、これ明らかに人為的なものだと決定。
どう見たってモンスターのというよりも、人為的に作られた感がでかい。
推測12メートル、全身が青光りする装甲に覆われ、人型。
右腕はなにやら手首から先のあたりが平べったくなっており、ぎざぎざのようなものが見えることから、穴を掘るための魔道具と連結しているようである。
そして・・・
「何かよく見ると、左手をこっちに向けているような・・・」
どう考えても嫌な予感しかジャックはしなかった。
そして、それは的中した。
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!
「めっちゃくちゃに撃ってきたぁぁっ!!」
そこから機関銃のごとく、大量の銃弾らしきものがジャックに向かって撃たれた。
幸いに命中精度は低いようで何とか避けきれるのだが、さすがにこれはまずい。
全速力でジャックが逃げると、相手もおってきた。
「何で追いかけてくるんだこいつは!!」
「明らかにマスターを敵として認識しているようですよ!!」
「・・・・銃弾は魔力の様じゃが」
クロが冷静に解析したようだが、この弾幕では聖剣・魔剣で受け止めるということは確実に無理。
雨のように降り注ぐ弾幕から逃げながら、ジャックは走った。
ゴーレムも無茶苦茶に撃ちながら追いかけてきて、道路がハチの巣と化していく。
「た、体力切れで負ける可能性の方が大きいんだけど!!」
幸いなことに、先ほどからの地響きと今の発砲音のおかげで路上に出てくる人はいないようだが、それでもかなり危険な状態である。
「いつか弾切れになる可能性があります!!その時にあの手を切り落とせれば!!」
「いつかって、いつだよ!!」
ズダダダダダダダダダダダダダダダダプスン!!
「今かよ!!」
話している間にいきなり止まった。
ツッコミを入れつつ、とにかくここで決めたほうが良い。
方向転換して、攻撃に転じようとした時であった。
シュルルルルルルルッツ!!
「なっ!?」
いきなりゴーレムから細い何かが飛び出してきた。
そしてそれはあっという間に巻き付いてきた。
「っぐ!?」
巻き付かれた瞬間、ジャックは体の力が抜けそうになった。
慌てて切り落として逃れたが・・・・
「な、なんだ今のは・・」
「魔力を吸収しようとしたようです。多分、補給のためかと。ですが、マスターの魔力が大きすぎて逆につまって吸えなかったようです」
「・・・この感じ・・・もしや」
と、クロが何か言った。
「どうしたんだクロ?」
「マスター、妾は勘違いしておったかもしれん」
「は?」
何を言われているのか掴めずに、ジャックは困惑した。だが、シロの方はわかったようである。
「『腰砕き』の元凶は、幽霊みたいなものかと思っておった・・・・じゃが、今のではっきりとしたのじゃ」
「このゴーレムがその正体だと?」
この都市で起きている怪事件「腰砕き」。いきなりクロがその元凶は目の前のこのゴーレムだと言ったのである。
手短にクロは説明した。
おそらくこのゴーレムがこの地下にある時から、今の触手のようなものが街中に出てきた。
とても細くて見えにくく、短時間で吸収した後はすぐに引っ込むためにその姿は目撃できなかったのである。
そして、吸収する魔力はできるだけ質が良いものを選んでいた。なので、男女関わらずに被害に遭ったのは濃い魔力を求めたからだ。
(クロが被害に遭ったのは、魔剣だけどその中に残存していたマスターの魔力に反応したんですね・・・・)
シロはその話から、なぜ魔剣であるクロにも被害があったのか推測ができた。
聖剣・魔剣にジャックが魔力を流した際に、わずかにだがその時の魔力が蓄積される。
聖剣・魔剣の力が回復してきている今はその魔力は徐々に排出される。
だが、それでもわずかに残っていた魔力にゴーレムの触手が反応してクロからその微弱な魔力を抜き取ったのだ。
街中で変な声が出たり、クロが敏感になったりしたのは、いきなり体内の魔力を抜かれたが、微妙な分だけだったのでそうなったのであろう。
また、クロは魔剣で人とは体の構造自体が違うので、敏感になったりしたのであろう。
だが、魔力の残存具合なら聖剣のシロも同じ。ここから考えられるとしたら・・・偶然だろう。
下手したら、二剣とも被害になっていたかもしれない。
クロの様子を見て、シロは内心ほっとしたのと同時に、なんとなく残念にも思えた。
「でじゃ、腰砕けの被害があったのは、こやつがここの地下に穴を掘るための魔力を蓄えておったからであろう」
「だけど、今魔力の銃弾を考えもいなく撃ちまくって魔力切れになったから吸おうとしたというわけか」
ゴーレムの様子を見ると、いきなり触手が斬られた上に、もう魔力が無くなってきているのであろう。明らかに動きがものすごく鈍くなっていた。
「後先考えずに乱射したのは・・・・そこまで高性能な頭じゃなかったという事か」
「おそらくですが、いきなり現れたのはマスターの魔力に反応したからだと思われます。戦闘態勢になったときに、マスターは魔力が自覚されぬほどやや出されますので・・・」
つまり、出てきた原因はジャック自身であろう。
「・・・・今はとりあえず、ここでこのゴーレムを止めないとな」
殴り掛かるかのようにゴーレムが右腕をこちらに向ける。
「ここで一気に壊したほうが良いかも」
「マスター、おそらくですが装甲は魔力を一気に流した状態できりさ、あ」
ここでシロは自分の失言に気が付いた。
自分はまだいい。だが、腰砕きの被害の影響がまだ残っているクロが、今の状態で一気に魔力を流されたら・・・・。
クロもそのことに気が付いたのであろう。人の姿であったら、顔を青くさせていた。
「シロだけできれるじゃろ、なので、こっちにはながさ」
「両方で一気に切るよ!!」
ぐわっつ!!と、一気に聖剣・魔剣両方に魔力が流され、一時的なパワーアップをする。
本来なら、魔力を流されることによって勇者や魔王が使っていたころの力を一時的に戻せる。
だが、「腰砕き」の影響を受けて回復し切っていないクロに魔力が一気に来ると・・・
「----------------------------------------------------------------------------------っつ!?」
声にもならなかった。普段なら感覚としてはぐっとくるだけなのだが、今の状態では・・・・・。
なので、ジャックに聞こえることはなかったが、一気に来た。
「一気に斬る!!」
クロのその状態に気が付かず、ジャックは一気にゴーレムの両腕と胴体、足を斬り、その場に倒れさせた。
ずずぅぅぅぅん
ゴーレムが崩れた音がして、魔力を止める。
「ふうっ、案外あっさり言ったな」
「なにがこのゴーレムの目的だったかは知りませんが・・・・とりあえず宿の皆さんに報告と、この都市の領主などの関係者事情を」
「わかったよ・・・・ところで、クロがなんかさっきから微妙に震えているんだが・・・・」
「・・・・マスター、とりあえず宿に早く戻ってください。別に大丈夫ですよ」
シロの声が若干怖くなったので、ジャックは今回の事を話すために急いで宿に戻った。
話している間に、シロが風呂場に入ってきますと言って、部屋から魔剣の姿のままのクロを連れて行ったが・・・。なんか替えの服とかも持っていった。
ゴーレムの事を話し、取りあえずその場に放置はまずいので全員で運んで夜中だがこの都市の領主の館に向かうのであった。
シロとクロは風呂から上がってきて剣の姿になったけど、クロが両手で顔をふさいでいたのはなんでだろう・・・。シロは「シャンプーが目に染みただけですよ」とか言っていたけど、顔も赤かったような・・・。
ゴーレムをバラバラにして都市の領主に説明するジャックたち
このゴーレムはいったい何のために動いていて、誰が制作したのであろうか
あまり目立ちたくはないけど、何かと巻き込まれているような気もしなくはない
次回に続く!!
・・・クロは今回若干不遇だったから、できればいい話を閑話で書けると良いな・・・。




