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103話

剣の腰にあたる部分ってやっぱそこか・・・


(ぬぐぐぐ・・・「腰砕き」めが・・・)

(まだ駄目なんですか?)

(剣の姿で受けたのじゃが、人の姿の時の感覚とリンクされておる様な感じじゃ)


 聖剣・魔剣の姿でシロとクロはひそひそ話をしていた。



 「腰砕き」と呼ばれるものにクロが被害を受けて1時間ほど・・・


 まだ、腰から下の部分にいまいち力が入らないような感じである。


 この状態で触られたらまずいのは間違いなかった。


 クロにも魔剣としてのプライドがある。「ひゃぁっつ」みたいな声を上げるのは嫌であった。


 ジャックたちは、宿の風呂に今浸かっており、本来ならクロたちも風呂に入りたいが、お魔の状態ではまともに動けない感じなので剣の姿のままで耐えていた。


 だが、冷静になって考えてくると「腰砕き」が何者かが見えてくる。


(あの感じ・・・おそらくじゃが幽霊みたいなものじゃ)

(魔力などは感知しませんでしたし、幽霊さんなら納得できますね)


 モンスターや魔族がいるのだ。この世界に幽霊がいてもおかしくないのである。


 ただ、この世界で言う幽霊とは、いわば思いが固まってできた思念体みたいなものを指す。


(男女関係なく、更には(わらわ)のような魔剣にも・・・おそらく、「腰砕け」とやらは偶々あった波長の者にのみ腰砕けさせるのかもしれん)

(なるほど・・・・それは納得です。ですが、私たちのような剣の者たちまで感じさせるような幽霊って・・・)

(常識では、考えられないじゃろうな)


 シロとクロは人の姿をとったりする。だが、人の姿といっても人と同じわけではないのだ。


 だが、それでも街中で被害にあった人のようにクロも腰砕けに合ったということは、その幽霊は只者ではないことを示す。・・・ただの変態野郎の可能性も否定できないが。


(おそらくじゃが、相当強い思念で生まれた・・・・適正者みたいなものであろう)

(迷惑極まりないですよね)

(まったくじゃ。どうやら感度もアップしてしまうようじゃし、本来なら剣の姿では感じることもない感覚を人の姿になっているのと同じ感覚で味わうようになっておるようじゃし・・・・・この状態でマスターに触れられたら・・・・)

(人の姿だと、モザイク必要ですよね)

(18禁止レベルじゃな)


 さすがにまずい。それはひっじょーにまずい。


(じゃが・・・なぜ「腰砕き」はこのようなことをする?波長が合ったものにこのようなことをするということは、何か警告でも伝えようとしておるのか?)

(もしくは、ただの犯罪者の可能性がありますけどね)

(それじゃったらマスターに持ってもらってぶった切ってやるのじゃ!!・・・あ、今触れられたらまずいんじゃった)


 とにもかくにも、「腰砕け」は許せないとクロは思えた。


 魔剣としてのプライドというよりも、どっちかというと女としてのプライドであろうか?


(こうなったら、なんとしてでもその正体を暴いてやるのじゃ!!)

(先にマスターに触れられる前に何とか治したほうが良いと思うんだけど・・・・)


 人の姿ならふっとこぶしを握りしめていたであろうクロに対し、シロはその「腰砕け」の状態を治したほうが良いと思っていたのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あー、いい湯だった」


 ジャックは風呂から上がり、寝巻に着替えた。


 この宿は寝間着も用意してくれる宿のようだし、なかなかいい感じである。


 宿代などの経費は後で国が出してくれるようだけど・・・・それって一応税金からだしね。



「にしても、早く壊滅しないかな『対魔勇団』とやら」


 この組織が無くならぬ限り、学園には戻れないからである。


 というか、暗殺などの心配から旅をする羽目になっているのだが。


「そういえば、クロ。お前なんか今日はおとなしくないか?」

(ギクゥ!!)

「マスター、クロはすでに寝ているんですよ」

「そうか?」

「私たちだって、剣とは言っても寝ないわけではありませんし」


 まあ、聖剣・魔剣が寝るってのは変な話だが・・・いまさらか。


 気にしないことにジャックは決めた。


「にしても、『腰砕け』とか物騒なのか物騒じゃないのかよくわからない事件が起きているよなこの都市・・・」


 昼間聞いたその話に、ジャックが考え込んでいた時である。


・・・・ズズズズズズズズズズズズズズ


「地震!?」


 いきなり地面が揺れ出した。


 宿自体も揺れ、立てかけておいた武器も倒れる。


(みゃーーーーっ!!)


 倒れたショックでクロはびくりと動いたが、その叫び声は根性で出さなかった。


「いや、地震にしては揺れ方が・・・」


 王国内で地震が起きたことはある。だが、この揺れは地震ではない様にジャックは思えた。


 長く続き、まるで何かが張って移動しているかのようなそんな感じ・・・・


「地下の方に何かあるのか?」


 揺れが収まったが、ジャックは警戒した。


 なお、ルナたちはまだ入浴中で、今の揺れでまだ風呂から出られていない。


「・・・ちょっと外出て確かめてみるか」


 ぎゅっと聖剣・魔剣を両手でそれぞれ握ったときである。


ビクン!!


「うわっ、クロどうしたんだ?」


 剣の柄を握った瞬間、魔剣が震えた。


「ね、寝ておったからびっくりしただけじゃ」


 魔剣の姿のままクロの声が聞こえる。ちょっと声が弱く震えているところを見ると、脅かしてしまっただけのようである。


「ごめん、でも今はとりあえず外に出て様子を確かめてみよう」


 部屋に素早く紙に走り書きをし、ジャックは聖剣・魔剣を構えたまま外に飛び出したのであった・・・・



(ちょ、まだ腰砕けが治っておらぬのに・・・着替えたい・・・・マスター、できるだけ早く離してくれなのじゃ!!)

(あ、今の掴まれたショックでいっきに来たんですねクロ・・・・もし、モンスターとかがいて、戦闘で何とかするために魔力を流されたら、今のクロの状態だと・・・・・・・ご愁傷様ですね)


 クロの様子に、シロはとりあえず憐れむしかなかった。というか、人の姿でないだけまだましか。




怪き地響き・・・

腰砕きの原因の主なのか?

羞恥と怒りで燃えるクロにぼっこぼこにされる未来しか見えない。

次回に続く‼︎


・・・今回珍しくクロにスポットがあてられたな

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