99話
本日3話目
作者として、過激なものは控えめにしている主義なので・・・・
「うわっ!?」
あたり一面がピンクの靄に覆われ、ジャックたちはまともにその靄の中に入ってしまった。
「・・・あれ?なんともないぞ?」
息を止める間もなく吸い込んでしまったのだが、ジャックの体調にはまったく異常がない。
「どうやら、毒ガスではないようです」
「何者かが薬か何かを霧状、もしくはお香なんかにして焚いた可能性があるのぅ・・・」
シロとクロの二人は聖剣・魔剣状態なので異常がない。
人の姿になったら何らかの影響がありそうなのでそのままにしておく。
「みんな無事か!!」
あたりにいる他の皆にジャックは呼びかけた。
「だ、大丈夫です・・・・わっ!?」
ルナが大丈夫だと言おうとしたら、いきなりその場に倒れ込んだ。
「大丈夫かルナ!!」
慌ててジャックはルナのところに駆け寄った。
様子を見て見ると、体が溶けているとかそういったグロいことにはなっていないようだが、なんとなく肌が赤みを帯びて、息が荒い。
「はぁっ、はあっ・・・・体が熱いですわ」
「・・・これってもしかして」
イヤーな予感にジャックは襲われた。
こういう人って、良く街中にいるような・・・・
「泥酔状態・・・・か?」
「さ、酒に酔ってもないし、飲んでもいませんわ!!・・・・はあっ、はあっ」
ツッコミを入れたルナだが、すぐに息が荒くなり、どことなく目が潤んでいる。
(これって、どう見ても酒に酔ってしまった状態にしか見えないんだけど・・・・)
どう考えても、赤みを帯びた肌、ふらつく感じ、呼吸が荒いのは酒に酔った人にしかジャックは見えなかった。というか、それ以外の状態は思いつかなかっただけである。
「ん?・・・・マスター、これ泥酔状態ではありませんよ」
と、シロが何やら気が付いたようである。
「泥酔じゃないならなんなんだ?」
「それは、その・・・えっと」
「なんというか、言いにくいのぅ・・・」
珍しく、二人が言いよどんでいる。剣の姿のままだけど、人の姿の状態であれば明らかに目をそらしているというか、恥ずかしがっているというか。
「いったいなん、うわっ!?」
と、ジャックはいきなり押し倒された。
「いたた・・何すんだよルナ」
みると、ルナがジャックの上にのしかかっていた。
両手に着けているガントレットのせいかちょっと重い。決して体重のせいとは口が裂けても言えない。
「なんか体が・・火照って・・・」
「ちょっとルナ!?」
いきなり上着を脱ぎだしたので、ジャックは慌てた。
上着、シャツと脱いでいく。このままでは確実に全裸に・・
というか、他の方向から嫌な予感が。
「せ、拙者も・・・」
「私もですのん・・」
他の女子組が全員ルナと同じような感じで近づいてきているのが見えた。同じように皆、衣服を脱ぎ始めている。
というか、ミツさらし巻いていたのか。一番このなかで大きいことが判明した。
(って、考えている場合じゃないじゃん!!)
おそらく、人生最大級の精神的というか、何かの危機。
「どうなっているんだよ・・・」
「おそらくですが・・・あの・・・」
「び、媚薬的なものかもしれんのぅ・・」
シロとクロが言いよどんだ理由。今痛いほどジャックはよくわかった。
おそらく、このピンクの霧はあの、その、とりあえず18禁止な状態にするようなものの様だ。
ジャックが平気ということは、おそらく男性には効果なしの・・・・
「ぐえっふっふっふっふ!!」
と、いきなり気味の悪い声が聞こえた。
「そんなやつよりも!!こっちのほうがいいでふよ!!」
「気持ち悪ッツ!?」
いきなり誰かが近づいてきたようで、見ると、全裸の貫禄のいい・・・というよりも怠惰で太った巨漢が走ってきていた。
確実にあの化け物みたいな巨漢の男が原因だろう。全裸って、気持ち悪すぎる。目が腐りそう。
「さーーーっ!!抑えきれぬその欲情をこちらに存分に!!」
そのまま走ってきて、勢いよくとびかかってくるかと思った次の瞬間であった。
「ぶもぁぁぁぁぁぁぁっつ!!」
「ほぐえぇぇぇばっ!?」
何かが茂みから飛び出したかと思うと、その巨漢の男の上にのしかかった。
その姿を見た瞬間、ジャックは理解した。
このピンクの霧は、おそらく男性以外を完全に発情させる薬の様なものであろう。
そして、その効果はメスのモンスターにも・・・・・
「ひ、ひぃぃぃっつ!?なんでふかこいつは!!」
「ぶもぁぁぁぁぁぁぁっつ!!」
「・・・く、『クイーンオーク』!?」
そのモンスターの名前をジャックは授業で聞いたことがあった。
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「クイーンオーク」
オスしかいないと言われているオークだが、物凄く極稀にメスのオークが出現することがある。それがクイーンオーク。オスの方は全ての女性の敵といわれているが、クイーンオークは全ての男性の敵である。
何もかも搾り取り、最終的に襲われた男性は残りかすしか残らない。現れたら全力で討伐推奨。
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たぶん、いや確実にこのピンク色の霧のせいで森中の男性・・・オス以外の者たちは発情しているのであろう。
そして、偶々出現したクイーンオークにも効果があって・・・・
「ひ、ひぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
その巨漢は、クイーンオークに襲われた。
その光景はひどすぎて、もうなんといえばいいのやら・・・・。同じ男としては少し同情するわー。
とにかく、あれが枯れたら今度はこっちの番となってしまう。
逃げたいんだけど・・・
「ジャック・・・お願いですの・・」
「いつの間に全部脱いでいるんですか!?」
よく見ると、ルナ、ミツ、ヨナ、リン、カレン全員が裸になってまとわりついてきていた。
この霧のせいでこのような状態となっているんだろうけど、このままではひっじょうにまずい。
あちこちから手をつかまれ、服を脱がされかけ、柔らかい物が当てられる。目のやりどころにも非常に困る。
据え膳喰わねば男の恥じという言葉もあると聞くが、ジャックとしては互いにまあまあいい関係になっていないといけないことだと思っている。
「と、とりあえずごめん!!」
「きゃっ!!」
すばやくルナのをはねのける。
近くでは、クイーンオークに現在進行中で絞られている巨漢がいるが、あれは見捨てよう。
「『疾風斬り』!!」
相手を素早く気絶させるだけのジャックのもはや十八番な特技で、火事場の馬鹿力も相まっているのかいつも以上の超高速で全員気絶させた後、全員を一気に担いでジャックはその場を離れた。
衣服の回収とかもしないといけないだろうけど、あのクイーンオークがこっちに来ないとも限らない。
もはや無我夢中でジャックは全員の身体の柔らかさとかそういうのを気にする間もなく、人生最高速度でその場を離れるのであった・・・・。
一応、武器は全員分持ってきているけどね。あ、シロとクロの二人に人の姿になってもらって持ってきてもらえばよかった・・・けど、人の姿になったらこの二人も同様になるのかな?
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「・・・ざまぁ!!」
森全体が見渡せる丘の上からヤプソンはそう言い放った。
先ほどまでいたマーレイは現在進行形でクイーンオークに襲われていた。性的な意味でも、身体的な意味でも。
予想では、あの剣を持った適正者とみられる少年に切り捨てられると思っていたのだが・・・
「まさか、このタイミングであのモンスターが出るとはなぁ!!」
モンスターはどこにでも出現するらしいが、何かまではわからない。
世界そのものが、人々を襲うためにだけ出現させているというが・・・・まさにいいタイミングで現れた。
とりあえず、モンスターなので適正者たちに討伐の連絡をしようとは思うのだが、もうすこしだけあのゲテモノ野郎が搾り取られているところを見ていようと彼は思った。
一応、残りかすの部分は残るらしいが、以降はもう二度と女性の身体を楽しめない廃人になるらしい。
前当主には悪いとは思うが、いままでの罪がやっとあの野郎に降りかかったのだと思えてこれまでにないぐらい、ヤプソンの心はスカッとしたのであった。
「あの豚野郎はいいとして、あの少年たちはこちらで助けるか。ゲッスル家もこれで終わってしまうだろうけど・・・まあ、いいだろうな!!」
一応、あのマーレイはあの少女たちを楽しんだ後に服とかも与える予定だったらしく、馬車には替えの衣服がたくさん入っている。
届けるために、少々惜しいけどジャックたちのところにヤプソンは馬車を走らせるのであった。
いきなり出たら怪しまれるだろうから、ちゃんと説明するつもりである。
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ジャックたちが去った後、森ではこの世の終わりともいえるような断末魔が響き渡っていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」
「ぶもぁぁぁぁぁっつ!!」
「もう、だれかたすけてくれーーーー!!金ならいくらでも払うから!!だから!!」
「ぶもぁぁぁぁっつ!!」
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
のちに、その悲鳴をたまたま聞いた人たちは、「森の断末魔」としての噂を広めたのであった。
何とか人生最大のピンチを乗り切ったジャック。
そんな彼の前に、衣服を持ったヤプソンが現れる。
そして、むさぼられているマーレイの運命は!!
次回に続く!!
・・・次回で100話達成!!ご愛読ありがとうございます!!




