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99回目の人生は異世界で  作者: 発狂シナモン
3/28

父と母

読んでくださった人がいる、というのはうれしいことですね。

 =アリアネ視点=




 産声を上げた我が子をみて私は涙した。


 「あぁ・・あたな・・・よかった・・!よかった・・!」


 夫であるイヴァンが手を握ってくれる。

 医者は目を見開いて信じられないという顔をしている。

 

 話は聞かされていた。

 死産かもしれない、と。


 兆候はあった。

 一週間くらい前だろうか、おなかの子があまり動かなくなったように感じた。

 イヴァンはすぐに医者を呼びに行ってくれた。

 医者は、まだわからない。生まれるまで待ちましょう、といった。

 

 そこから一週間。

 不安な気持ちで過ぎていった。


 不安は的中した。


 子供が生まれた。

 医者の顔は暗い。

 イヴァンは唇を噛みしめている。


 その顔をみてわかってしまった。

 (あぁ・・いやよ・・!いや・・!そんな・・・!)


 そんなはずないと。

 泣きながら首を振る。

 

 医者が口を開く。


 「残念ながら・・・」

 

 その時。


 「おんぎゃぁああああああ!!おんぎゃあああああああ!!」


 その場にいる全員が目を見張った。


 医者も、産婆さんも、お手伝いさんも、メイドも、イヴァンも。

 私も。


 奇跡だと思った。

 

 いや、奇跡だったのだろう。

 




 ただただ、感謝した。

 イヴァンに、この子に。


 ここにいることを確かめるように赤子を抱く。

 

 さっきとは全く違う涙が流れた。


 赤子の髪を見てみると、金髪、というより白髪に近かった。

 色素が薄いのだろう。

 将来髪の色が違うことでいじめられるかもしれない。

 そんな考えが一瞬よぎる。

 何を考えているのか、私は。

 

 生きてくれて、生まれてきてくれた。

 それだけで私は、この上ない幸せだ。


 もし、いじめられたら私が守ろう。

 この子は大切に育てよう。


 私たちのかけがえのない宝なのだから。


 



 =イヴァン視点=


 

 信じられねぇ・・!!



 もうだめかと思った。

 神様を恨むとこだった。

 もし、神様ってやつがいるんなら死んでも許さねぇと誓うとこだった。

 

 ああ、本当によかった・・・!


 「ったくよぉ・・心配かけやがって・・・!」


 自然とそんな言葉が出た。

 まったくだ。

 だが、さすが俺とアリアネの子だ。


 妻のアリアネは汗と涙でそりゃひどい顔をしている。

 でもそんな顔も愛おしいと思う。

 

 よく頑張ってくれた。

 俺は手を握ってやることしかできなかった。

 強い女だ。


 「あなた・・男の子よ!」


 落ち着いたアリアネが聞いてきた。

 名前は事前に話し合って決めてある。


 「メルティア・・・この子はメルティア・ランスロッドだ!」


 メルティアはひとしきり泣いた後、寝てやがる。

 こっちの気も知らねーで・・・。

 いや、それでいい。

 自由に、強く育ってくれ。


 「よく、がんばったな・・・。」


 妻とメルティアを引き寄せる。

 

 今日は俺の人生で最高の日かもしれない。


 

 

おじいちゃんがはやくしゃべりたそうにしてます。

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