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06 ご渡海

 06 ご渡海




 翌朝、再び難民たちの所で粥を配り、腹を一杯に満たした第1次移民団を引き連れて船に乗った。

 渡海と新領地に必要な物資は、村長たちが積み終えている。

 殆ど徹夜だったかもしれない。

 農機具だけは少し足りないが、寄港地で買えるかもしれないと言われていた。


 難民たちは、俺の個人奴隷として現れた美しいモルの姿に驚いているようだった。

 美しい短衣を3枚重ねで着ており、下半身にはクズ伯爵の紋章を真っ赤に色づかせているモルは、確かに昨日とは別人のようだった。

 別に、恥ずかしくはないみたいだった。

 一応、ユキナと同格であり、伯爵夫人待遇?になるらしい。

 俺に正妻がいないからから、まあ、そうなるのだろう。

 このまま人間族の妻は迎えない方が良さそうである。

 て言うか、既に妻がふたりとか、いいのだろうか?


 昨日までモルと同じ難民キャンプに住んでいた者たちも、モルに対してユキナと同様に平伏して挨拶している。

 村長たち領民も同じだった。


「クズ伯爵様ー、ごとかーいー」


 船員のひとりが良く通る大声で、出航の合図を出す。

 汽笛などないから、これが通例なのだろう。

 桟橋や海岸には大勢の見送りがいた。

 桟橋の方にいるのは正式な領民で、主に船員の家族達だろう。

 海岸には難民たちがいる。

 特に第二次移民団が多く集まっているようだった。

 やはり、女の子が多い。

 手を振るのは習慣ではなく、自然な行為のようだ。

 女の子と手を振って別れるような経験がない俺でも、この雰囲気は何となく納得できた。


 船は陸風が吹いているうちに四角い帆と男たちの手漕ぎで沖に出て、東へ向かった。

 帆は短冊のように細くなったものを幾つも繋げてあり、風で千切れないよう竹などで補強する工夫をしてあったが、要するに満帆という形には耐えられないようだった。


 三本マストの巨大帆船などは、絶対に千年後だろう。

 帆船が発達するのは10世紀のイスラム圏だったような気がする。

 こっちでは、三角帆も発明されていないのだ。

 小さな帆を補助に使うのもまだまだ先だろう。

 原始的なジャンク船であるから仕方がない。

 確か、巨大帆船はマストに巨大な帆を張るのではなく、何枚もの帆を張ったのではなかったっけ?


 まあ、こっちの帆は、風が強い時にはすぐに降ろしてしまうようだ。

 沖に流されないように潮や風を読み、必要な時にはオールで漕ぐシステムのようだった。

 沿岸船なので、基本的には陸地が見えるところを航行する。

 外洋には出ないようにしながら、浅瀬に注意して進むのが最大の安全航路らしい。

 先端部にはベテランの見張りが常駐している。


 極めて原始的な海図があるようで、今回は伯爵の渡海と言うことなのか、特別に船長になった村長が部下たちに甲板で説明していた。

 やがて帆は下ろされ、外洋に流されないよう男たちはオールで漕いでいる。

 奴隷船みたいだったが、正式な船員たちも交代して漕いでいるから差別はしていない。

 亜人を領民扱いにするというアイデアは受け入れてはくれていないが、船旅の間は運命共同体として受け入れてくれたようだった。

 女たちは夕食の用意をしていたり、部屋の掃除をしている。

 ユキナは料理の指揮を執り、モルは伯爵専用室の掃除と洗濯をしていた。


 俺は木工職人の牛族『ギイ』と息子たちを使って木箱を作り、2種類の実験を始めた。

 ギイは無口なところが凄くいい。

 息子たちも気を利かせてか、あまりしゃべらないようだ。


 1つは、木箱に綿わたを敷き真水を入れてスプラウトを育てる実験で、大根と芥子菜の種を発芽させる。


 もう一つは木箱に海水を汲み上げ、日光によって水分を蒸発させていき、最終的には塩を作り出す実験である。


 これらは非常に上手くいき、スプラウトは新鮮な野菜類が腐ってしまう4日目には唯一の野菜となり、塩の方は最後に焼き塩として取れるようになった。

 1日が12日の効果だろうと思う。


 塩味のスープとユキナの作り出した無発酵パンも良い出来であり、更にスプラウトと軽くアルコールに漬けておいたユズだかスダチだかの柑橘類の皮と果汁を合わせたサラダも好評だった。


「こんなに身体の調子が良い航海は初めてです。病人もまったく出ていません」


 5日目に、船長が嬉しそうに報告に来た。

 1年が30日の世界では2ヶ月相当である。

 風任せというよりは運任せかもしれない。


「今後は野菜の種と柑橘類は、必ず積んだ方がいいですよ」


 返事をするのも会話をするのも、未だにユキナの役割である。

 

「まるで魔法か何かのようです。これらのことは、箝口令を敷いた方がいいのでしょうか?」

「態々《わざわざ》、外国に知らせることはないですよね」

「貿易という点では益もありますが、外国船が出没するようになると周王国に損も出るかもしれませんです。王が知るまで黙っていましょうか?」

「それが一番でしょう」


 船長が認めてくれたので、やはり事前に考えていた壊血病の仮説が、あながち間違っていたわけではないと思った。

 イスラムのキャラバンはドライフルーツを持っていたような気がする。

 陸上交通でも大事だったのだ。

 何故だろう?

 そのイスラムとは何かが思い出せないのだが。

 クズ頭だから仕方がないのだ。


 一方でギイと息子たちに貴族と同じように1日3食を試してみると、一度に食いだめするような2食の生活より身体が動き、体調も良いことを確認した。

 食べる量は3食に平均化しても3割増しといったところだが、1回の食事時間は短くなり、身体も良く動くようだ。

 特に息子たちには30分ほど昼寝をさせて、おやつをやると、それまで常に飢えてやせていた体格が男らしく変わっていき、労働時間も延びたので、俺は少しだけこの世界の法則に触れたような気がした。


 それで、モルに頼んで1日に1回は炒り豆のおやつを全員に配るようにした。

 全員が凄く元気になったようである。


 モルは1日2食の生活が長かったせいか、食生活の変更により元々色っぽかった身体が更にナイスバディに変化し、積極的になって、3食でもスレンダーボディだったユキナをイライラさせるようだった。


「モルとの時間がユキナの3倍になってます」

「ごめん。でも、モルは水が溜まりやすくて」

「ユキナだって溜まります! 毎日毎日沢山溜まります。溜まりまくりです!」

「そう言われても……」

「もう! クズ兄様はユキナが一番ですよね」

「も、勿論だよ」

「クズの言うことは何だか嘘っぽいです」


 とは言え、王族の娘らしく寝付きが良いユキナがキスだけで満足して寝てしまうと、モルが抱きついてきてキスだけではなく、両方のおっぱいを満足させるまで寝てくれないから、天国のような地獄にいるような状態はずっと続くのだった。

 その先は、まだ駄目よ。

 領地に着いてからね。


「伯爵様は、女心がわかっていません!」


 いや、それは女心と言うよりは生理現象だと思うよ、モルさん。


 とは言え、俺は人にものを伝えるというか、意見するのも感想も全部ユキナ任せだから、何故モルが好意的なのかもわからない。

 見たままだとクズ男にしか見えないのだ。


 実際にクズなんだけど。


 モルに『好きだ』の一言も言えないまま、毎晩キスしている。

 これではモルに怒られるのは仕方がないと思う。

 対人スキルゼロというのは、困ったものである。


 子宮こころが破裂するのは本当らしく、女は10歳ぐらいから活動が始まり、12歳ぐらいになると大抵好きな男を想って子宮こころがざわついて落ち着かなくなり、14歳まで処女を続けると水が溜まり続けて痛みに変化してくるそうだ。

 そのまま放っておくと16歳になる頃には、殆どの女は水が溜まり過ぎて破裂し死ぬらしい。


 水を出すためには男を選ばなくてはならず、きちんとした男を選ばないと妻にはなれないどころか、奴隷になってしまう。

 最も、大体の亜人は奴隷しか選べない。


 モルは痛みと性欲に良く耐えていたのだが、流石に15歳では限界だったようだ。

 ユキナが助けようと思うのも不思議ではないほどつらいのだという。

 今は逆に積極的で困るのだが、可愛いから許す。

 というか、モルの立場につけ込んだ気がして仕方がない。

 そう見えるだろうな、きっと。


 女としての機能は、身分に直接的には関係無いのだが、契るのには領主の許可がいる。

 無許可は野合となり、普通は奴隷身分の者がする行為だが、奴隷にも色々と種類があるようだった。

 個人奴隷は、領主の許可がなければなれない。

 それで、直領にも必ず代官がいるのだそうだ。

 

 まだ、結婚制度との区別が良くわからなかった。

 まあ、奴隷制度も良くわからないけど。


 亜人とか獣人とかは奴隷なので法による保護はなく、普通は野合して奴隷紋を身につける。

 獣人の国では、逆に人間族が奴隷にされるのだろう。


 だからこそ、女には過酷な世界だというのが良くわかる話である。


 性欲も痛みも、水が溜まるほどにひどくなると言うので、選ばないわけにはいかないらしい。

 選ばなければ、破裂して死ぬ。

 独身は必ず死ぬというのは、そういうことだったのだ。


 男とえっちしないと死ぬ?


 なんてひどい設定になっているのだろう。

 責任者だか神様は知っているのだろうか?


「領民の女が、男に選ばれないとどうなるの?」

「……」


 モルは黙って首を振るばかりだった。

 多分、性奴隷に関係しているのだろう。

 15歳まで耐え抜いたモルは、最後には性奴隷として立候補してきたではないか。

 王族でも駄目なのだ。

 これ以上我慢すれば、本当に子宮こころが裂けてしまったことだろう。


 男には縛りはないようだった。

 童貞を続けられるものなら、続けて見ろ、ということなのだと思う。

 性格悪いからな。


 うん、確か神様のだ。


 俺はクズだけど、できるだけ他人の迷惑にならない様にしている。

 人様の役には立たないし、今思えば両親には迷惑をかけっぱなしだったが、基本的には他人と係わらないように生きてきた。


 両親? うーん。


 クズだったから、罵られ罵倒され悪罵を投げつけられて生きるのがつらかった、という理由がメインだった気がする。


 まあ、女の子の方がやりたがる世界って、童貞のクズには夢のようだけどさ。

 でも、このルールはちょっと厳しいと思う。


 しかし、獣人だがモルは王女だから、相手選びが難しいのは何となくわかった。

 我慢できなくなるまで、ひっそりと暮らしていたのだろう。

 栗鼠族の男が現れる確率は、多分、相当低いのだ。

 仮に現れたとしても、女にしてもらえるかわからないだろうし。

 いや、可愛いモルを拒絶する男なんているのか?

 いるなら、それはクズ以下だろう。

 クズ以下って、鬼畜とか外道とかだろうか?

 クズで良かったよ。

 良くはないのか?


 毎朝、モルが嬉しそうに手拭いを干している姿を見て、ユキナがピリピリしてるのは少し心臓に良くなかったが、俺は何となく嬉しかった。

 もう、痛みはないらしい。



 航海の方は順調で、8日目にはツバメ国の港に入った。

 簡単な海図によれば、周王国と地続きの大陸から半島のように飛び出して、倭国に最も近い港があるところだった。

 名前は思い出せそうで、思い出せない。


「めぐるこーくー、クズ伯爵様、ごとうちゃーくー」


 船員が港に入って桟橋に着くまで、声を張り上げていた。

 まだ、手旗信号とかはないのだろう。

 国籍を表す記号マークは帆に描いてあるので、敵とかではないことは伝わっているようだ。

 クズ伯爵の記号はないし、あっても誰も知らないだろうから、周王国の記号だけ揚げてもらっている。

 もっとも、船を持っているような盗賊や海賊は、まだいないだろう。


 燕国は200年ほど前に周王朝の高官だったマモルという人が作った国で、周王国側は冊封として燕国と呼び、燕王国側は衛王朝と呼び、朝貢国として認識している。

 まあ、実体は両方である。

 都合がいい時は衛王朝であり、都合が悪い時は燕国とか燕州とかになるだけだ。


 だが、この国には鋳物だが鉄器が存在した。

 鉄は、銅や青銅より軽く硬い。

 今後、数千年の文化を支える大事な戦略物資である。

 熱で鍛えたり、微量の物質を混ぜると鋼になったりで、その用途は計り知れない。


 それは相手も知っているのか、丁寧に出迎えてくれた港街の代官は交渉しても、どれだけ製品化が進んでいるのかは教えてくれなかった。


 金貨2枚を掴ませて、やっと燕国の代官は妥協し、お茶用の鉄瓶と少し大きめの中華鍋のようなものだけは提供してくれた。

 紹介だけで、実費負担である。

 どう考えても割に合わなかったが、交渉したのが船長とユキナだったので(俺は後ろで偉そうにしていたのだ。無能そうにかな?)、不満顔を見せずに、丁寧にありがたそうに幾つか買い取った。


 代官には、倭国で黄金が産出したら鉄瓶と鍋を取引したいと申し込んでおいた。


 黄金と聞いて、代官は驚いているようだった。

 金は何処もあまり産出せず、装飾品や貨幣としての需要も価値も上がるばかりのようだ。

 倭国は、まだまだ未知の領域であるから、金が産出すれば悪い話ではないだろう。


 まあ、何処の国でも代官は優秀である。

 貴族階級は王族とその親戚とか部下とかの血族や一族で占められているが、男爵よりの下の騎士とか戦士とかが能力を認められて代官に任命されるからだ。

 代官は普通騎士で、男爵予備軍である。

 領地持ちになる実績を上げている最中だから、顔を繋いでおいても悪くはないだろう。


 いつの世でも、世襲と成り上がりなら、成り上がりの方が比率として優秀である。

 そこに気づかないで、血筋がどうのと始めるから家が滅んでいくのだ。

 将軍が代々、たおやかな姫様ばかり嫁にしていれば、戦闘に向かない将軍あととりになっていくに決まっている。


 伝統も家柄も大事だが、ほどほどにということである。


 既得権を悪いことしてまで守らなくてはならない段階で、滅びは始まっているのである

 国によって実情は違うかもしれないので、詳しくは勉強してからにしとこう。

 お前に言われたくないという声が聞こえるような気がするのだ。


 俺は、ユキナの後ろに隠れて代官を観察しながら、いつの日にか鍛えに鍛えた日本刀で攻め込んでやるとかクズな考えを弄んでいたが、現実には鉄器による農機具が最優先だと思っていた。


 倭国ではあまり鉄鉱石は期待できないのだが、その分金鉱が期待できるので、貿易には有利だろう。

 砂鉄はかなりあるだろうから、見本の鉄器が手に入ったのは、本当はラッキーなのである。

 そうなのか?


 その後、船長は水を積み込み、野菜類と干し肉を買い込んで嬉しそうだった。

 燕国は銅も産出するが銅銭は周王の許認可らしく、銅銭を作っているのだが、全部、周王国への輸出品みつぎものであり勝手にできないそうだ。

 燕国内で銅銭は逆輸入であり、2倍のレートで取引されていた。


 俺は銅銭を遣い、足りない農機具を追加購入した。

 ツルハシやナタやオノなど青銅器と、原始的なノコギリや、ノミやハンマーなどの真鍮製らしきものが手に入った。

 クギやカスガイなどの部品も買えた。

 包丁やナイフも鋳物の青銅器で、なまくらだったが購入した。

 もっとも、ツルハシだと思っていたものはすきであり、こっちはそれだけで畑を耕しているらしい。

 くわやスコップがないのだ。


 サッシやガラス窓も当然なくて、ドアノブやラッチボルトどころか、蝶番などもなかった。

 俺にとっての普通のドアや窓などは、2千年ぐらい経たないとテクノロジー的に無理だろう。

 ドアクローサーなどと言うものは普段は気にもしないが、考えてみれば恐ろしいほど先端的なテクノロジーの塊である。


 やはり、引き戸に閂だろうか?

 いや、かんなが発明されていないのだ。

 木材は表面を叩いて整形しているっぽい。

 ひょっとするとやすりもないのかも?

 領地にたどり着いたら、工夫してみようかな。


 周と燕の関係は、銅銭が2倍のレートで取引されている事実が雄弁に物語っていた。

 不平等貿易のような気がしたが、2倍の貨幣価値で食料品なども買えたので、俺には文句などなかった。

 鍛冶だか鋳掛け屋だかの職人たちも、銅銭が手に入って喜んでいるようだった。


 燕国は山国であり人間族の支配する国だが、村がやっと100前後なので、周王朝の大きな公爵領の半分ぐらいの国力である。

 工業力は鉄器と青銅器で、文化は周王朝を凌ぐのではないかと思われた。

 多分、食料生産力が低くて朝貢国に甘んじているのだろう。

 農業は、焼き畑を作った後は、耕して種をまいて神頼みである。

 土が死ぬと別の畑に期待するだけなのだ。

 5反から7反の畑を回して1石生産するような農業なのである。

 まあ、何処でもそんなものらしい。

 無駄に働いているという意識がないのだ。


 船長は妊娠した性奴隷を2人も船から降ろし、新しい性奴隷を3人も乗船させ出港した。

 船旅にも係わらずツヤの良い妊婦二人は、やせ細った少女3人より高く売れたそうである。


 やっぱり、売買できるのね。

 ああ、俺はモルを助けられたのかな?

 王女から伯爵夫人じゃ、格下げかな?


 何処の国も食料を増産するために人手が欲しいのに、奴隷や難民を粗末にしている。

 だが、まだ良く理解が及ばないので、俺は口を挟まないことにした。

 人の残酷さや理不尽さは、クズだけに解説されなくても実感していたので、伯爵領を開発するまでは我慢しようと決めている。


 それから、この旅の難所である外洋越えだったが、早ければ3日ほどと言われていたのに、途中嵐が来て流され、伯爵領首府があるはずの能登(倭国名)ではなく、多分、新潟(倭国名、越)に漂着し、誰もいない平野に移民団と住み着くことになった。

 神風は健在らしい。

 お約束か?


 もっとも、嵐の最中に船長が性奴隷をひとり生贄に捧げると言い出す本当の『お約束』もあり、俺はユキナに言って蒸かし饅頭を作ってもらい、難を乗り切るという一幕もあった。

 助かった燕国の性奴隷は、その後は俺専用になり、ユキナとモルは機嫌を悪くした。


 これも、お約束か?


 彼女はサリと言う名の12歳の少女で、牛族系の亜人だった。

 まだ、性奴隷風の派手さは獲得していないので、普通の可愛い少女に見える。


 しかし、俺とユキナとモルがイチャイチャするばかりで肝心なことをしないまま夜を過ごしているのが不満らしく、『お手本を見せます』とか言ってきたので、同じ牛族であるギイに預けてしまった。


 こうした時に、奴隷の立場は凄く弱いことを実感した。


 サリの涙目を見て、俺は卑怯者に成り下がったことを自覚したが、罪悪感にまみれていても取り消すことなどできなかった。

 しかし、ギイには息子も二人いることだし、わきまえている者だから、何とかなるだろうと思っていた。


 まあ、その時は本当にそれどころではなかったので、そのまま忘れてしまった。

 いや、俺が童貞でなければ、我慢しなかったかもしれない。

 でも、最初だけはユキナと、心に誓っているのである。


 クズでも譲れないところはあるのだ。




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