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 面白いことなど、日々毎日起きるわけではない。大抵が退屈な毎日の連続である。

 登校して、昼飯を食べて、下校するを繰り返し、気がつけば6月となっていた。6月と言えば、我が校きっての名物行事。体育祭がある。もともと、体育祭は10月にあったのに、「おいおい文化祭もあるのにそんなに行事ばっかりやってたら、ラチがあかないぜ!」と意味不明なことを校長が言ったとかないとかで、6月にお引っ越ししてきた体育祭。ちなみに3年は、毎年ムカデ競走をやるのが名物であった。



 ムカデ競走で優勝をするべく、朝のホームルームの前にクラスメイト全員が集まって作戦会議を行っていた。クラスメイトの一人の啄木鳥さんが「まずは、かけ声はなににしようか」といった。ちなみに、啄木鳥さんはわがクラスの体育祭実行員である。

「いち、に、さん、しーが良いー」

「わっせ、ほいせ、わっせ、ほいせ」

「焼き肉定食、焼き肉定食」

「チャーハン、チャーハン、チャーハン」


 途中から、今日のお昼の献立のようになっていったが、その中から啄木鳥さんは「よし、ががが、ががが、ががが、にしよう」と言った。とんだ、選択であった。


 次の日から、本格的なムカデ特訓が始まった。ちなみに、俺はムカデなんて見たことがない。都会に住むと、その存在すら知らないで生きているのだ。気になって、ムカデをネットで検索してみたが、趣味のいい生き物ではなかった。どうやったらあんな生き物がこの世に誕生するのかと思ったくらいだった。


 あるとき、俺の後ろで日向ぼっこをしていた殿が俺のズボンの裾を加えて引っ張った。なにか、俺に合図をしているようだった。俺は、たまごボーロが欲しいのかと思って、おもむろに机の下の引き出しから、朝コンビニで買ってきた新品のたまごボーロを取り出し、彼の口元へと持っていた。

「そんなもんいらん」

 俺は、どこからか聞こえた声に驚いた。辺りを見回してみると、華奢な女の子たちしかおらず、そんな野太い声を発しそうなガタイの良い奴はいなかった。

 目の間にいるリクガメがしゃべったことに気がつくのにそう、時間はかからなかったのだった。

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