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危ない男、ジョニー・サンダース

              ~島谷家家訓~

1、石橋は叩き壊して、その上をヘリコプターで渡れ。

2、鳴かぬなら、鳴くまで拷問ホトトギス。

3、ジークおかん。

 ジョニーと名乗る男の介入で、事態はますますワケ解らん方向に進みつつあった。


「ユウコ・シマタニ。君の身柄を保護するよう、日本政府から打診があった。君の母親はブラッドスコーピオンの新兵器に関する機密情報を握っている。彼らは躍起になって、君達家族を暗殺、もしくは拉致しようとするだろう。あの兵器は、世界のミリタリーバランスを崩壊させかねない危険な代物なのだ」


 機密情報って……おかんのブラジャーが?


 姉貴の言うとおり、世界と同価値だったとでも?


 つーか、俺、正体明かしたほうがいいな。


「いや、俺は――」


 だが、結局俺は誤解を解くことは出来なかった……容赦ないダックの発砲が俺を襲う。


 幸い、俺はジョニーに抱きかかえられる形で凶弾から逃れることが出来た。


 その時だ。


 また一筋の風が吹いて、おかんのブラジャーがとんでいった。世界の運命を左右するキーアイテムが、風に揺られ駅前の方に飛んでゆく。


「む、あれは……!?」


 ダックもそれに気付いたらしく、上空で停滞していたヘリを呼び寄せこの場を去っていった。


「何だ、何故ヤツは撤退していったのだ」


 ジョニーが『理解できない』といった風に大げさに肩をすくめ、両手を挙げた。


 欧米かと突っ込んでやりたかったが、コイツは欧米人なので、突っ込む必要など無い。それよりも、先に片付けなければいけない問題がある。


 ――この爆弾だ。


「えーと、ジョニーさん? この爆弾どうにかならない?」


 ジョニーは薄く笑うと、爆弾をしげしげと見つめ、アメリカンに笑った。


「ユウコ、君は爆弾解除のスペシャリストと聞いているが、こんな爆弾も解除できないのか?」


 すげーな姉貴、あんた裏でなにやってたんだ?


「頭を使いたまえ」


 ジョニーは知的に笑うと、上着を脱いでカッターシャツも脱ぎ、ズボンを下ろした。あとに残ったパーツはグラサンと裸にネクタイと言ったいでたちで、俺は110番すべきか迷った。


 いや、頭にも問題ありそうだから、119番か?


 ジョニーはアスファルトの上にあぐらをかき、両の人差し指をぺろりと舐め、それを頭の上で円を描くようにくるくる回す。


 ぽく、ぽく、ぽく、ぽく、チーン!


 と、昔見た子供アニメ劇場かなんかの効果音がジョニーのスマホから聞こえて、ジョニーはむくりと立ち上がった。


「閃いた」


 爆弾の制御装置を手に取り、ジョニーは深く息を吸い込む。


「フォオオオオオオオオオオオオアアアアアアア!」


 気合と共にジョニーの頭突きが制御装置に直撃し、時限爆弾はその機能を00:01で停止した。


 うわ! てかこんな切羽詰まってたのかよ。確かに、頭を使って解除しやがった。


「ユウコ、頭を使うんだ」


 甘くセクシーにジョニーは笑う、その笑顔はまるでハリウッドスターの様だ。……首から下さえ見なければ。


「それにしても、何故彼女はこの場を離れた?」


「私の母親のブラジャーにミサイルのプロテクトコードが、どうのって言ってましたけど。そのブラジャーが、さっき駅前に飛んでいったんです」


「何!? それはまずい、早く追わねば!」


 と、ジョニーは裸にネクタイのまま走り出そうとした。


「ジョニーさん! これ、この服は!?」


 ジョニーは立ち止まり、爽やかな笑顔で俺に答えた。


「恵まれない子供達に寄付してやってくれ」


 俺は近くにあったペットボトル専用のゴミ箱にそれらを投げ捨てると、ジョニーの後を追った。


「ジョニーさん! うちの車使いましょうよ! 向こうはヘリなんですよ!?」


 つーか、こいつ本当にCIAか? 若手お笑い芸人のほうがしっくりくるんだが。


「なるほど、それは盲点だったな。では、ご好意に甘えるとしよう」


 ガレージに入って、ジョニーはさっそく運転席に着き、ペダルに足を乗せる。


「何をやっている、ユウコ? さあ、乗りたまえ!」


「それ、三輪車です」


 こいつ、アホだ。

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