とある中学生の禁断症状
ステータス
俺 レベル1 備考
腕力 8 『島谷流暗殺術』創始者。
体力 12 水泳部に所属しており、将来の夢は海パンで
素早さ 7 『宇宙の海』を泳ぐこと。
性欲 ?
姉貴 レベル98 備考
腕力 999 自称『町内一の美少女』
体力 999 愛称『血塗れの堕天使』
素早さ 999 最強の姉貴、それ以上でもそれ以下でも無い。
食欲 測定不可
ダックが求めているものは、俺が今まさに捜し求めているそれだった。
「そんな物手に入れてどうするの? クンクン匂いでも嗅ぐわけ? いい趣味ね」
「その通り、クンクン匂いを嗅いでウハウハするのだ……って、んなわけねだろ! 第一私はマトモな女子中学生だぞ!!」
マトモな女子中学生がプラスチック爆弾贈りつけたり、拳銃で脅すとかしないだろ、フツー。
それにしても、ダックは一体何者なのだ?
「冥土の土産にイイ事を教えてやろう」
俺は冥土の土産より、メイドが土産の方がいいと抗議しかけたが、貴重な情報をここで聞き逃すわけにも行かない。
「私はある秘密組織『ブラッドスコーピオン』の一員なのだ。ググったらヒットするから、ウソだと思うなら調べてみるがいい!」
ググれる秘密組織なんて聞いた事が無い、バカなのだろうか?
「ブラッドスコーピオンの開発した、新型ミサイル……そのプロテクトコードを、お前の母親がスーパーの特売の帰りに偶然手に入れた」
おいおい、セキュリティー甘すぎだろ。
専業主婦にミサイル握られたら、近所のスーパー0円均一セール強要されて、涙目だぜ?
「我々は血眼になって探した。お前の弟の机の引き出しも! お前の弟の下着入れも! お前の弟のベッドの下も!」
そんなとこ探したって、『人妻24時』とか『放課後倶楽部』のDVDしか出てこないんだけどナー。
「そして、我々はついに見つけた、2枚のDVDを! ちょっといかがわしいパッケージに偽装していようとも、我がブラッドスコーピオンの情報技術部をなめてもらってはこまる」
そういや、あの二枚いつの間にかなくなってたっけ。
「だが、迂闊だった……あろう事か、情報技術部は全員鼻血を出して、倒れていた。ブービートラップを用意するとは流石だな、島谷家!」
どんだけ純情なんだよ……てか、DVD返せよ。
「それからかくかくしかじかで、お前の母親のブラジャーに、プロテクトコードにまつわる秘密が隠されていると情報を掴んだのだ!」
頑張ったんだな、ダック……えらいえらい。
「というわけで、出してもらうぞ! ブラジャーを!」
閑静な住宅街のど真ん中で、マトモな女子中学生がそう叫んだのだった。
「伏せろ!」
突然の声に俺は驚いたが、地面に落ちている500円玉を偶然見つけたので『島谷流暗殺術』極みの一『メテオドライブ』を使って高速かつ最小の動きでゲットした。
すると、俺の頭上でばきゅんばきゅんと銃声が鳴り響いているではないか。
頭を上げると、黒いスーツに身を包み、金髪をオールバックに纏めたいかつい白人の男が銃を構えていた。
「無事でよかった、ユウコ」
グラサンの奥からは、何やら只者ではない気配を感じる。
俺をユウコと呼ぶ辺り、姉貴の事を知っているようだが……姉貴の新しい彼氏だろうか?
「チ! あんた、何者よ!?」
どうやって避けたのかはわからないが、ダックが銃を構え、白人の男に狙いを付けた。
「CIAのエージェント……ジョニー・サンダースだ」
もう、何がなんだか……。