決戦の刻
ロイたちの前に立ちはだかる黒月。その姿は、かつて見たものではないほどに巨大で圧倒的だった。闇の触手が無数にうねり、空気を切り裂くような異様な音が響く。その力に押し潰されそうになりながらも、ロイは仲間たちと共に立ち向かうことを決して諦めなかった。
「これで終わりじゃない!」
ロイは呪装適応を全開にし、その力を完全に引き出す。呪いの力が全身を駆け巡り、彼の体がまるで黒い煙のように揺らめきながら、黒月の触手を切り裂いていく。
「やれる、絶対にやれる!」
ロイはその手で黒月の触手を払いのけながら叫んだ。しかし、黒月はまるでその攻撃を気にする様子もなく、ゆっくりとした動きで全身を震わせる。
「お前たちの力など、私の前では無に等しい」
黒月の声は冷たく響き、その目はロイたちを見下ろしている。
だが、ロイは一歩も引かなかった。その瞳には、決して諦めないという強い意志が宿っている。
「そんなことない!俺たちには、希望がある!」
その言葉を合図に、リリィが魔法の詠唱を始め、カイルが防御のための盾を構える。エファトもその鋭い目で黒月を見据え、無言で剣を構えた。
「今までの戦いは、無駄じゃなかった!」
ロイの叫びに、仲間たちが力を合わせる。黒月の力が暴れる中で、彼らはそれぞれが持つ力を最大限に引き出し、全てをかけて黒月に立ち向かっていく。
「だが、力の差は歴然だ」
黒月がその巨体を一振りで揺らし、闇の触手を何本もロイたちに向けて放つ。その速度はあまりに速く、誰も避けられないような気がした。
「これで終わりだ!」
黒月の宣告が響くと、ロイたちは一瞬の隙を見せる。しかし、エファトがその動きを止めた。
「まだだ!絶対に諦めるな!」
エファトの声が響くと、彼の剣が閃光のように黒月の触手を切り裂く。彼はまるで何千年もの鍛錬で得た剣術をもって、この一瞬に全てを注いだようだった。その一撃が触手を断ち切り、黒月の体にわずかなひびが入る。
「それだ、エファト!」
ロイがその光景を見逃すことなく、さらに攻撃を続ける。彼の呪装適応の力が爆発的に強化され、その一撃で黒月の巨体に深い傷をつける。
だが、黒月はその傷を瞬時に癒やし、また元通りになる。ロイたちはその度に新たな戦術を編み出し、全力で挑む。
「こいつ…」
カイルがその様子を見て、無理矢理冷静さを保ちながら言った。
「完全に不死だな…。でも、俺たちはまだ負けてない!」
「その通りだ!」
リリィが言うと、今度は彼女が全力で攻撃魔法を放つ。魔法の光が黒月に直撃し、その周囲に巨大な爆発を巻き起こす。しかし、その魔法も黒月の力によって反射され、逆にロイたちに向かって跳ね返ってくる。
「何だと…!」
ロイはその反射をぎりぎりで避け、エファトも彼を守るように盾を広げて攻撃を防ぐ。
「諦めるな、ロイ。お前にはまだ勝機がある」
エファトの言葉に、ロイは一瞬の隙を見せる。だが、その瞬間、何かがロイの心の中で閃いた。
「勝機…?」
ロイは再び黒月を見つめ、その目の前に立つ決意を固めた。
「黒月、お前は、ただ力を振るっているだけだな。だが、俺たちは違う。俺たちは、仲間と共に生きる力を持っている!」
その言葉を聞いた瞬間、ロイは感じた。自分の中で何かが目覚めたような感覚が走る。
「俺たちの力は、ただの力じゃない。仲間と共に戦う力なんだ!」
その瞬間、ロイの呪装適応が限界を超え、全身から黒い力が爆発的に放出された。彼の目は鋭く輝き、黒月の影を切り裂くように進む。
その瞬間、黒月の体に大きなひびが入り、黒月の声が苦しそうに響いた。
「お前たち…!」
黒月はついにその姿を崩し、闇の力が炸裂した。ロイの力が、ついに黒月を打ち破ったのだ。
「やったか…?」
ロイが疲れた声を出しながら問いかける。黒月の力が消え、周囲は静まり返った。
「…終わったのか?」
エファトも呆然とその光景を見つめる。しかし、答えはすぐに出なかった。黒月の消えた空間に、依然として不穏な気配が漂っていた。




