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黒月の真の姿

ロイたちは黒い龍を倒したが、依然として周囲は不穏な空気に包まれていた。黒月の力が完全に消えたわけではなく、どこかにその暗い力が息づいている。ロイはその感覚をしっかりと胸に刻みながら、仲間たちと共に進むことを決めた。


「これで終わったわけじゃない」


ロイが小さく呟くと、エファトは無言で頷く。彼の不老の眼差しは、どこまでも冷徹で、目の前の危機を一切見逃すことなく注視している。


「問題は、あの龍が何かの兆しに過ぎないということだ」


リリィが言った。その顔には少しの緊張が浮かんでいる。


「黒月の力は、こんなものでは済まないだろう。次の試練が待っている」


「それに、まだどこかに黒月の本体がいるはずだ」


カイルの言葉に、全員が黙って頷いた。今のロイたちの力では、黒月の真の姿を完全に打ち倒すには足りないのではないかという不安が心の中で渦巻いていた。


その時、ふと空気が変わった。大地が震え、耳をつんざくような音が響き渡る。突然、遠くの地平線が歪み、巨大な影が現れた。


「来るぞ!」


エファトの言葉が空気を切り裂き、ロイたちは一斉に剣を抜き、魔法を構えた。


巨大な影がゆっくりと近づいてきた。黒月の力を宿した、巨大な黒い建物のようなものだった。その姿は、まるで不死鳥のように巨大で、全身から黒い煙が立ち上っている。


「これは…まさか」


リリィが呆然と呟く。


「黒月の本体か?」


ロイが眉をひそめて呟くと、その影から冷徹な声が響いた。


「ようこそ、我が拠点へ。お前たちが来るのを待っていた」


その声は、まるで天から降り注ぐような響きだった。ロイたちの全身に震えが走る。


「お前は一体…?」


ロイが声を震わせて尋ねると、黒月の力を宿す建物からさらに大きな影が現れた。その影は、黒月の使徒の中でも最も強大な存在――黒月そのものの化身だった。


「私は、黒月。お前たちの世界を飲み込む存在だ」


黒月の姿は、まるで巨大な人型の影のようだった。無数の闇の触手がその周囲を取り巻き、膨大なエネルギーが爆発しそうな勢いで放たれている。


「お前たちがいくら戦おうと、無駄だ。私の力は、この世界を支配する力そのもの」


その言葉に、ロイは一瞬の隙を見せる。しかしすぐにその瞳は鋭くなり、呪装適応カースリンクの力を全開に引き出した。


「無駄だなんて言わせない」


ロイはその力を全身に集め、全速力で黒月に向かって突進した。瞬間、無数の闇の触手がロイに襲いかかるが、彼はそれを全てかわし、さらに攻撃を加えていく。


「みんな、後ろから支援を!」


エファトがその命令を出し、カイルとリリィが後ろで魔法や防御の準備を始める。


「これで終わりだ」


エファトは一閃の速さで剣を振るい、黒月の触手を切り裂く。その剣の一撃は、まるで時間を止めたかのように鋭く、触手を一刀両断した。


「お前がどれだけ強くても、俺たちの力を止めることはできない!」


カイルが力強く叫び、盾を構えてロイを守りつつ、黒月の攻撃を防ぐ。リリィもその隙間を縫って強力な魔法を放つ。


だが、黒月の力はやはり想像を超えていた。どれだけ攻撃を繰り出しても、その傷は一瞬で癒され、攻撃が効かないかのように感じられる。


「なぜ…なぜ効かない!」


ロイが息を切らしながら叫ぶ。黒月は冷酷にその姿を揺らしながら答えた。


「私の力は、次元を越えるものだ。お前たちの攻撃など、私の意志一つで無駄にできる」


その言葉に、ロイたちは一瞬の戸惑いを感じた。だが、ここで諦めるわけにはいかない。彼らの前には、まだ希望が残っている。


「みんな、まだだ!最後の力を振り絞ろう!」


ロイが叫び、仲間たちもその言葉に応えるように、再び立ち上がる。


そして、エファトが言った。


「お前たちが諦めたら、何も残らない。だが、俺たちはまだ戦うんだ」


その言葉に、ロイたちは再び戦う力を振り絞り、黒月の化身に立ち向かっていった。

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