黒月との最終決戦
ロイの目の前には、圧倒的な闇の力を持つ黒月の使徒の長が立ち尽くしていた。その姿はまるで世界そのもので、周囲の空間がその存在に引き寄せられているようだった。エファトが横に立ち、冷徹な眼差しで敵を見据えながら剣を構える。
「これが……黒月の使徒の本当の力か」
ロイはその言葉を心の中で反芻する。確かに、今までの使徒たちは単なる前触れに過ぎなかった。この使徒の長こそが黒月そのものを宿した、最強の存在なのだ。
「だが、俺たちは絶対に負けない」
ロイは拳を握りしめ、目の前の敵を見据えた。その瞳に宿るのは、もはや恐れではなく、確固たる決意だった。これまでの戦い、そして仲間たちとの絆が彼の中で確かな力を生んでいる。今こそ、その力を試す時だ。
「ロイ、行くぞ!」
エファトが声をかけ、先に剣を振るいながら敵に迫る。その動きはまさに流れるようで、どんな攻撃も無駄なくかわしながら敵に一撃を加えていく。
「しっかりとついてこい!」
カイルが盾を構え、ロイに呼びかける。後ろからリリィが支援魔法を唱え、彼の背中を守る。ロイはその仲間たちを見て、覚悟を新たにした。
「任せてくれ!」
ロイの叫びと共に、呪装適応の力が全身を貫く。その力はかつての呪いとは比べ物にならないほど強大で、ロイを包み込んだそのエネルギーは、まるで大地そのものを引き裂くような威圧感を放った。
使徒の長が呪いの力を放つと、その空間全体が歪み、闇が広がった。だが、ロイはその圧力をものともせず、強く踏み込む。そのまま一気に剣を振るい、長の攻撃を防いだ。
「……その程度か」
ロイは冷笑を浮かべながら、使徒の長に向かって言い放った。その瞬間、呪装の力がさらに強くなり、ロイの周囲に巨大な闇の刃が現れる。
「みんな、行くぞ!」
ロイの一言で、仲間たちが動き出す。エファトは剣を振るいながら前進し、カイルは盾を構えてその攻撃を受け止める。リリィはさらに強力な支援魔法を唱え、ロイの力をサポートする。
使徒の長がその力を高め、再び全身を闇に包み込む。その目から放たれる光は、ロイたちの心を震わせるほどの威圧感を放っていた。しかし、ロイはその目をしっかりと見つめ返す。
「負けるわけにはいかない」
その一言を発すると、ロイは再び剣を握り直し、長に向かって突撃する。彼の周囲に広がる呪装の力が、敵の闇に食い込んでいく。
「……行け!」
エファトが声をあげ、長の攻撃を巧みにかわしながら剣を振るう。その一閃が、使徒の長に深く刻み込まれる。
「くっ!」
使徒の長がその深手に苦しむが、すぐに立ち上がり、再び強力な闇の力を放つ。その力は、ロイたちを一瞬で包み込むかのように広がった。
「ロイ!」
リリィが叫び、その魔力でロイを守ろうとするが、闇の波動があまりにも強力で、なかなか手が届かない。
「くそっ!」
ロイは全力でその攻撃を受け止め、身を挺して仲間たちを守る。その時、彼の中で何かが弾けた。呪装適応が完全に制御され、ロイの体はすべての呪いの力を一身に吸収するようになった。
「……これが、俺の力だ!」
ロイの中で爆発的なエネルギーが放たれ、その力がすべての呪いを圧倒する。彼の剣がそのエネルギーを宿し、使徒の長に向かって振り下ろされる。
その瞬間、周囲の空間が震え、黒月の使徒の長が崩れ落ちるように倒れた。
「……やったか?」
ロイは疲れた体を支えながら、その場に立ち尽くしていた。仲間たちも同様にその戦いを終え、安堵の表情を浮かべる。
「やったな、ロイ」
カイルが微笑みながら言うと、エファトも静かに頷く。
「だが、戦いはまだ終わったわけではない」
リリィが冷静に周囲を見渡し、少しだけ警戒するように言った。その言葉通り、黒月の使徒の長が完全に死んだわけではないことを彼らは感じ取っていた。
「次の戦いに備えろ、みんな」
ロイは剣を再び構え、しっかりと仲間たちに向き直った。次に待っているのは、さらに強大な敵かもしれない。しかし、彼はそれを恐れることはなかった。
「俺たちなら、どんな敵でも倒せる」
その言葉を胸に、ロイたちは次の戦いへと歩みを進めるのであった。




