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限界突破・ロイVSユーベルトの決着

「――これが、祝福四柱の一角……!」


ロイは、噴き上がる光の奔流を前に、歯を食いしばった。

ユーベルトの槍は今や“神の意思”を宿すかの如く、空間そのものを支配している。


「《神槍顕現しんそうけんげん》――その力は、神託そのもの」


ユーベルトの声が天から降るように響いた。


「この槍が穿つもの、それは世界の“誤り”。すなわち――呪いで強くなったお前の存在だ」


「……ああ、そうかよ。けどな――」


ロイは、黒き呪装を握りしめ、地を蹴る。


「お前らが“選ばれた”とか、“正しい”とか、関係ねえんだよ!」


その瞬間、ロイの全身から膨大な呪詛が噴き出した。


「《呪装最終適応フルリンク》――限界突破《第七段階》!」


呪いが形を成し、装備の“意志”が目覚める。

肩から背へ、鎧が骨のように隆起し、漆黒の羽根のような意匠が広がった。


「いくぞ、神槍の騎士……」


ロイの叫びとともに、戦場が――変わる。



「《神断穿・天照閃テンショウセン》ッ!」


ユーベルトが放った光槍は、天を割る閃光となって、ロイの頭上へと落下した。


「《呪返・空蝕壁アビスガード》!」


ロイは瞬時に呪いの障壁を展開。

だが、光槍はその防壁を容易く貫き、肩口を裂いた。


「ぐっ……!」


血飛沫が舞い、ロイはよろめく。


だが、その目は、揺るがない。


「貫かれようが、裂かれようが……!」


呪装が唸りを上げる。


「まだ……動ける!」


ロイは呪気を収束させ、拳に叩き込んだ。


「《呪拳・奈落穿ならくうがち》ッ!!」


渾身の一撃が、空間ごと歪ませる。


ユーベルトはそれを、正面から受け止める。


「――《裁槍・審断界シンダンカイ》!」


神槍と呪拳がぶつかり、世界が、悲鳴を上げた。


地平が割れ、空がねじれ、祝福と呪いが爆ぜ合う。

その中で――


ロイとユーベルト、ふたりの姿が、光と闇の中心に浮かび上がっていた。



――時間が止まったかのような静寂の中。


先に、崩れたのは――ユーベルトだった。


「……見事、でした」


膝をつき、神槍が崩れ、ただの光へと還っていく。


「僕は、祝福四柱の誇りとして……あなたを“倒す”つもりだった。でも、今は違う」


ユーベルトは微笑み、血の滴る口元をぬぐう。


「あなたの力を見て、思いました。祝福とは、“選ばれた者の特権”ではないのかもしれない、と」


「……アンタがそれを言うのか?」


ロイは、満身創痍の身体で立ち尽くす。


「アンタみたいな“選ばれし側”が……」


「ええ。だからこそ、気づけたのです」


ユーベルトは静かに言った。


「あなたは、呪いで限界を超え、誰よりも“人間らしく”強くなった。祝福に頼るだけの僕では、そこに届かなかった」


「……それでも」


ロイは、目を伏せる。


「俺の力は“呪い”だ。多くの奴を不幸にしてきたし、これからもそうだ」


「それでも、あなたは守ってきた」


ユーベルトは、手を伸ばす。


「だから、あなたは――“英雄”だ」


ロイの目が、揺れた。



遠くから、エリシアとレナが駆け寄ってくる。


「ロイ――!!」


「大丈夫っ……?」


ロイは苦笑して、二人に手を振る。


「なんとか、な」


その時だった。


上空から、静かに、ひとつの人影が降りてきた。


――漆黒の外套。金の瞳。見た目は18歳程度の少年。


だが、佇まいは異質だった。


「……誰?」


エリシアが問う。


その人物は、ロイに視線を向け、僅かに微笑んだ。


「戦、見てた。良かったよ。特に――君の“呪いの使い方”が」


「……誰だ、アンタ」


ロイが身構える。


だが、相手は肩をすくめ、名乗った。


「俺の名は、エファト・ストライヴ。通りすがりの、不老の騎士さ」


その名前を聞いた瞬間――ユーベルトが目を見開いた。


「あなたは……“永遠の剣士”……神代の時代の……!」


ロイたちの前に現れた、伝説の存在。


その男は、静かに呟く。


「この戦い、少しだけ手を貸させてもらうよ。“この先”は、もっと厄介な奴が出てくるみたいだから」



そして――


物語は、新たなる局面へと進む。


神をも凌駕する存在。

祝福と呪いを超えた、“真なる敵”の気配が、確かに世界を蝕み始めていた。

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