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神槍ユーベルト VS 呪装適応ロイ

乾いた荒野を裂くように、白銀の槍が唸りを上げる。


「――《裁槍:天罰穿テンバツセン》」


ユーベルトが放った光槍は、雷光を伴い、空間ごと貫くようにロイへと突き立つ。


対するロイは――


「……《呪装適応カースリンク》、発動。負荷限界、突破状態」


その体に宿る装備は、呪いまみれの忌まわしき鎧。


まともな者なら即死すらあり得る負荷――それをロイは、“適応”しきっている。


「《呪解:収斂ノ檻》!」


空間が歪み、呪気が収束。

光の槍と呪いの波動が真正面から衝突した。


――轟音。


その瞬間、大地が抉れ、地平線の先まで砂煙が吹き上がった。



「……やりますね、呪装使い」


白槍を構え直し、ユーベルトが言う。


「呪いによる限界突破……その存在は、我々“祝福”にとって反逆そのもの。だが、あなたの力は……純粋に“美しい”と思える」


「……アンタ、面倒な性格してんな」


ロイは呟く。


「敵対してるのに礼儀正しいし、無駄に人格者っぽい。だけど、芯は祝福主義ってわけか」


「そうです。祝福は、“神より授かる力”。ゆえに選ばれた者だけが持つ資格がある」


ユーベルトの声には迷いがない。


「しかし……あなたのような“例外”が現れれば、世界の秩序は揺らぐ。だから、今この手であなたを討たねばならない」


「だったら――来いよ、全力でな!」


ロイが地を蹴った。

重い呪装が信じられない速度で加速する。


「《呪走・深度四デス・ドライヴ》!」


呪装適応によって制御可能になった“呪いの高速移動技術”。

黒い残像を描きながら、ロイはユーベルトへ肉薄した。


「……見切りました」


ユーベルトが槍を横に振る。


「《裁槍・回天陣カイテンジン》」


空中に放たれた数十の光槍が、空間を旋回する。

その軌跡は絶対回避不能の陣形――


「なら、ぶっ壊すまでだっ!!」


ロイが叫んだ瞬間、呪装の右腕が膨れ上がる。


「《呪撃・崩掌》!!」


呪いによって強化された打撃は、光の陣を力業で突破した。


ユーベルトの槍が辛うじて受け止めるが、その衝撃に地面が割れ、ユーベルトは後方へ数メートル飛ばされる。


「はっ……やはり、強い……!」


砂塵の中で、ユーベルトは微笑んでいた。



――遠くから、レナとエリシアが戦いを見守っていた。


「……ロイ、すごすぎる。あの人、祝福四柱の一角でしょ?」


「でも、まだ終わってない。……あの騎士、まだ本気じゃない」


エリシアの目は鋭く光る。


「ロイも気づいてるはず。――これからが“本番”よ」



「見事です、呪装使い。ですが……」


ユーベルトが槍を掲げる。


「ここから先は、“祝福の奥義”の領域。あなたがそれを見て生き残れるかは分からない」


白槍が天を突く。


「《最終形態――祝解・神槍顕現シンソウケンゲン》」


空が裂け、神々しい光の柱が降り注ぐ。


ユーベルトの体に宿る祝福が、槍そのものと融合を始めた。


鎧が砕け、光が肉体に刻まれる。


神槍リュミエール、真の姿を――今こそ!」


槍が形を変え、巨大な光の矛へと変貌する。


――これが、祝福四柱の“真価”。


「さあ、呪装使いロイ。これが我が“全力”だ」



ロイは構えを取り直した。


「……こっちも、“全力”でいかせてもらうぜ」


《呪装適応》がさらに深度を増す。


鎧の各部が黒紫の光を放ち、全身が“呪詛の器”と化す。


「《呪装最深・反刻カウンターギア》――呪いの限界、超えさせてもらう!」


ふたりの異能が、今、真正面からぶつかり合う。


光と闇――祝福と呪い。


神話にすら残されぬ戦いが、ここに始まった。

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