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新たな敵、祝福四柱

地上へ戻ったロイたちは、再び“呪都アトラグナ”の廃墟を歩いていた。


空は灰色、街は崩れ、息づく者はわずか。

かつて繁栄を極めたこの都市も、呪いと祝福の戦火の中で滅びた。


「ロイ、さっきの戦い……無理しすぎ。体、大丈夫なの?」


エリシアが心配そうに覗き込む。


ロイは頷く。


「ギリギリだが、まだ動ける。グレイヴの呪装書……あれに書かれてる技術、すげえよ」


その手には、呪装王から託された《呪装書・深淵篇》。


呪具の精製・融合・進化、その理論の全てが記されている、いわば“呪いの聖典”。


「祝福に頼らない力……俺たちの道具として、呪いを徹底的に利用するための技術だ」


「でも、それだけじゃ足りないよ」


そう言ったのは、レナだった。


「聖騎士団は、動いてる。……もう、“あたしたちだけでどうにかなる”って段階じゃない」


「……動いてる?」


ロイが聞き返すと、レナは一枚の報告紙を広げた。

それは地下の協力者たちから送られた暗号通信。


「これを解読したの。そこには、“祝福四柱”が動いたって書かれてた」


「祝福四柱……?」


レナは頷く。


「聖騎士団の中でも、最上位。四人の“祝福の頂点”。

つまり、奴らの本当のエリート部隊よ」



その頃――遥か北方、《天頂聖城カリオン》。


煌びやかな白の大聖堂にて、祝福の光に包まれた者たちが集っていた。


「呪装の芽が膨らんでいる。それは即ち、我らの秩序に対する反逆だ」


そう言ったのは、白銀の甲冑に身を包んだ男――《第一柱・グレリウス》。


彼の背には翼のように輝く光剣が浮遊している。


「“選ばれし祝福”の外に、力を求めるなど……不敬。裁かれねばならぬ」


「どこまで暴れるのか、愚かな呪詛者たちは」


続けて言葉を発したのは、紅いローブを纏った女性――《第二柱・ラヴァルティナ》。


彼女の瞳は閉ざされている。

視えぬはずのその目で、すべての真実を見通しているかのように。


「グレリウス、貴様が行くのか?」


「いや、俺は“王城”の守護がある。動くのは――」



その声に答えたのは、若き騎士だった。


白銀の槍を担ぎ、まっすぐな瞳を持つ青年。


「……では、僕が行きます。《第四柱》たる身として、裁きを執行する」


《第四柱・ユーベルト=シリウス》。

歴代最年少にして、柱の座に就いた“神槍の祝福者”。


呪装者ロイ。その者の首を、我ら祝福の誇りに捧げましょう」



そして数日後。


荒野を進むロイたちの前に、一人の騎士が立ちはだかった。


「――お初にお目にかかります、呪装使い殿」


白銀の鎧。槍と礼儀を携えた青年――ユーベルトだった。


その気配は、恐ろしく静謐。まるで“祝福の神威”そのもの。


「祝福四柱、ユーベルト=シリウス……か」


ロイは呟きながら剣を抜いた。


「来るなら、受けて立つぜ。俺は、ここで止まる気なんかねえ」


「……ええ、それでこそ。こちらも全力で臨む理由になります」


ユーベルトの白槍が、月光のような光を帯びる。


「これは“裁き”です。呪われし者よ、清めの光のもとに――沈め」


――戦端、再び開かれる。

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