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神翼覚醒

天光の神殿――最上階。


神の象徴とも言われる白き大理石の祭壇が砕け散る。


その中心に立つのは、一対の“神翼”を背負ったハインリヒ。


「これが……祝福ルシフェルトの真解放。

神に選ばれし者の、最終到達域だ」


金と白が渦巻く空間。

あまりの神々しさに、空間そのものが圧迫されるような錯覚すら覚える。


だが――


「で?」


不老騎士エファトは、構えを崩さない。


「……それだけか? 神に選ばれたって割にゃ、派手な羽根だな」


「愚弄か。だがいい、最後の一撃で黙らせてやろう」


ハインリヒが天を指差す。

神殿の天蓋が砕け、空そのものが白銀に染まる。


そこから降り注ぐのは――光の剣。

無数の剣が、空間そのものを刺し貫いてくる。


「……“神の剣雨セラフィック・スウォーム”か」


エファトが静かに息を吐く。


「じゃあ、こっちは――“千年分の踏み込み”だ」


瞬間、彼の足元が爆ぜた。


風が悲鳴を上げ、視界そのものがぶれる。


そして――


「――不老剣式・終破《零の太刀》」


世界が、斬られた。


ただ一閃。

目には映らず、音すら届かない。

だが確かに、空も光も、神の剣雨さえも――“すべてが斬り裂かれていた”。


「――っ……な、に……?」


ハインリヒの瞳が見開かれる。


その身体に、傷ひとつ……否、“存在そのものの欠落”が刻まれていた。


「そんな……これは、“神の祝福”だぞ……!」


「そうだな」


エファトが背を向ける。


「だがな、“選ばれた力”なんてのは、裏を返せば、“選ばれなかった奴を見下す”言い訳にすぎねぇ」


ハインリヒの身体が、崩れ落ちる。


その瞬間、彼の神翼が霧散し、静かに光も消えた。



神殿・地下。


ロイたちは“聖名碑”の奥にあった隠し区画で、石版の封印を解除しようとしていた。


「この紋章……“ルシフェルト”と同じ系統の印だわ」


エリシアが言う。


「でもこれは……“もう一つの祝福”?」


「いや……“呪いの始祖”かもしれない」


ロイが、じっと手にした石版を見つめる。


そこに記されていたのは――


『祝福と呪いは、神の双子の贈り物である。

祝福が力を与えるなら、呪いは力を喰らう。

だが、喰らい尽くせば、神をも超える。』


「……呪いを極めれば、祝福を超える?」


そのとき、神殿全体が揺れた。


天井の崩落。そして光の翼が消えていくのが遠くに見える。


「エファト……!」


ロイが呟いた。


その名に、エリシアもレナも顔を上げる。


「彼が、時間を稼いでくれたんだ……」


ロイはゆっくりと立ち上がる。


「俺たちの戦いも、こっからだ。

“祝福に選ばれなかったすべての者たち”のために――この真実を世界に叩きつけよう」



神殿・崩落直後


「ふぅ……ちょっとは動いたな」


エファトは、崩れた神殿の外壁に腰を下ろし、空を見上げる。


「さて、次はどこを旅しようか……。

千年ぶりに、少し“若者たち”に賭けてみるのも悪くないな」


そして彼は、不老の剣を背に、ひとり歩き出す。


その背中には、どこまでも続く“物語の余白”が広がっていた。

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