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光翼のレイファルド

神託の塔、第四層。

そこは静寂と神光に包まれた、《審光の回廊》。


空中を浮遊する無数の光輪が、訪れた者の“罪”を映し出すという試練の場。

ロイがその空間に足を踏み入れた瞬間、塔の天井から降り注ぐように一つの影が舞い降りた。


「……呪いの者よ。ここより先は、祝福に選ばれし者の領域だ」


まっすぐな声だった。

降り立ったのは、一人の青年――


銀髪、蒼瞳。背中には六枚の光の羽。


【祝福騎士団《七翼》・第二位《光翼こうよくのレイファルド》】


祝福を受けし者の中でも、神に最も近いと称される“純粋祝福体”――

彼は祝福の本質、「光そのもの」を宿した存在だった。


「ロイ・ヴァレス。君が“呪装適応”の所有者か。……お前の存在は、多くの神官にとって“許されざる異端”だ」


「……で? お前は“許す側”か?」


「否。裁く側だ」


言葉と同時に、レイファルドの背から“神光剣”が生成される。

それは聖なるエネルギーの凝縮、斬られれば呪いなど蒸発する一撃。


「俺は、呪いを否定したいんじゃねえ」

ロイは呟く。


「“選ばれなかった者は沈黙しろ”っていう、その構造そのものが気に入らねぇんだよ」


「……ならば、その思想ごと浄化しよう」


レイファルドが剣を振り上げ、戦いが始まった――!



神光と呪気が交差する。


バァァァン――!


剣と剣が衝突した瞬間、空間に光と闇が混ざり合い、爆発的な衝撃波が起こる。


レイファルドはその羽で空間を自在に飛び、神速で斬撃を放つ。

“祝福加護【光速歩法】”。速度は音をも超え、空気が歪む。


対するロイは、呪い装備【重呪靴バイティングシャドウ】を起動。

“全行動速度-90%”という呪いを逆利用し、相手の認識の方を遅くするという“反転効果”を発動。


(なるほど、“呪いの逆効果”か……!)


レイファルドが目を見開く。

自分の攻撃が“見切られた”ことを察した。


「祝福には、万能性がない。だが呪いには“創意”がある」


ロイが斬りかかる。


ガキィィィン!!


一撃、二撃、三撃……

互いに一歩も譲らぬ攻防が続く。


レイファルドの光剣は触れれば呪いを消滅させるが、ロイの呪装は一部“再生型”のため即死しない。

そして何より、“戦闘中に自分を強化していく”呪装適応の特性が少しずつ効き始めていた。



だが――


「その程度で、“祝福”に勝てると思うなよ!」


レイファルドが、両手で神光剣を天に掲げる。


彼の背後に浮かぶのは、巨大な光輪――

それは【祝福解放術式・光環ノこうかんのさい】。


「光よ、全ての呪いを焼き尽くせ!」


光の柱がロイに向かって降り注ぐ――!



ズドォォォォン!!!


塔の階層が崩れ落ちるほどの光撃。

空間が焦げ、呪いのエネルギーが蒸発していく。


「……終わったか?」


レイファルドが剣を下ろす。


だが――


「……甘ぇな、“祝福”」


爆煙の奥、ロイはまだ立っていた。


全身、ボロボロ。装備も剥がれかけ。

だが、その目だけは死んでいなかった。


「さっきの光柱、呪い装備【デスリバースマント】で逆吸収して、“反射蓄積”したよ」


「なに……?」


「お前の“祝福”は完璧だ。だが完璧だからこそ、逆転できる“隙”がある」


ロイの背から、真紅のエネルギーが噴き上がる。


「“呪い”ってのはな――雑草みたいなもんなんだよ。

踏みつければ踏みつけるほど、しぶとく伸びてくる」


反射エネルギーが、一点に収束する。


「――喰らえ。これは、“お前自身の祝福”だ」


放つは――【呪装反転・ヴェンデッタリバース】


真紅の槍となった光が、レイファルドを直撃する――!



爆風の後、回廊の壁は崩壊し、静寂が戻る。


レイファルドは倒れていた。


彼の剣は砕け、羽も失われていた。だがその目には、まだ正気が宿っている。


「……強いな。呪いでここまでの力を……」


「違うさ」ロイは背を向けながら言った。


「俺が強いんじゃない。呪いでしか“生きられなかった奴ら”の声が、力になってんだよ」



こうして、祝福騎士団《七翼》の一角――

第二位・レイファルドは、ロイに敗北した。


だが戦いは終わらない。

残る“六翼”が、次々に牙を剥く。


次の階には、より危険な存在が待ち受けていた――

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