表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/203

神託の塔と祝福王子

王都セレスティア

その中央、空を貫くようにそびえ立つ巨大な塔――《神託の塔》。


祝福の源とされるその塔は、地上と天界を繋ぐ“神の通路”と伝えられていた。

だが今、ロイの前に立ちはだかる“最大の障壁”でもある。



ロイは王都の地下でレジスタンス《夜焔》の一員として動き始めていた。


「この塔の構造図……ざっと見ただけでも階層が十以上ある」

「その最上階に、祝福王子ヴィゼルがいるんだな?」


ロイの問いに、リィド・ガラムは頷いた。


「だが気をつけろ。神託の塔には“選別された者”しか入れない。

祝福を持たない者は、最下層で排除される仕組みだ」


「その選別ってのは?」

神意判定ディヴァインジャッジ。塔の入口で、神性反応を測定する儀式だ。……もちろん、呪い持ちは弾かれる」


「なるほど」

ロイは口元をゆがめて笑う。


「なら、“呪いを誤魔化す”んじゃなくて――“祝福と見なさせる”ようにしてやればいい」



そのために、ロイは《夜焔》の協力で特殊な装備を作り上げた。


それは、呪い装備の外殻を一時的に“祝福装備風”に偽装する外装甲冑《偽祝のフェイクセイント》。


外見は純白の聖衣。しかし中身は、“精神を蝕む呪い装備の塊”だ。


「祝福を模した呪いか……また無茶をするな、君は」

リィドが苦笑する。


「……俺はずっと、呪いなんて“足枷”だと思ってた。

でも違った。呪いは“本質”だ。力の、真実だ」


そう語るロイの瞳には、かつての迷いはなかった。


呪いは呪いとして受け入れる。

その上で、祝福の制度を壊す。それがロイの意思だった。



翌日。

神託の塔、第一層《選別の門》。


「次の者、進め」


銀白の装束を着た神官が呼ぶ。

ロイはゆっくりと前に出る。


(ここが、神性判定か)


祝福を持たぬ者は、この場で処刑される。

塔の内部には“神性の眼”が常駐し、虚偽の祝福も検知するという。


だが――ロイの装備には“カースリンク”がある。


呪いと魂を結びつけ、あらゆる効果を“逆転”させる最凶の適応スキル。


祝福の感知を“反転”すれば――“呪い”は“祝福”として検知される。


《……神性判定:結果、問題なし》


「通過を許可する」

神官は淡々と告げた。


(よし……入れた)


ロイは祝福者たちに紛れて、神託の塔へと足を踏み入れる。



一方その頃――神託の塔の最上層。


そこには、ひとりの青年がいた。


白金の髪。蒼き瞳。精緻な装飾が施された衣を纏い、

王座のような“浮遊する玉座”に座している。


その名は――


「ヴィゼル・セレストリア。祝福の代行者」


彼こそ、神託の塔の主。

すべての祝福を“操作する権限”を持つ、祝福王子だった。


「……来たか、“呪われし者”」


彼の前には、塔が感知した“異常な呪い波動”の報告書が浮かんでいた。


「この波動……あれと似ているな」


彼が言う「あれ」とは、かつて神に仇なした《呪詛王》の残滓。

人類史上、ただ一人神を殺しかけた存在だ。


「愉快だ。ならば試してみよう」


ヴィゼルは指を鳴らす。


瞬間、塔の深部から“異形の兵”が目を覚ました。


――【神代兵・カースバニッシャー】


呪いに適応する者を無条件で拒絶し、存在ごと“浄化”するために作られた究極兵装。


「異端には、異端の刃を」

「さあ、歓迎の準備をしようか。“呪いの勇者”よ」



一方ロイは、塔の第二層《試練の殿》へと足を踏み入れていた。


そこには、彼の“存在を否定するような力”が渦巻いていた。


「これは……」


響き渡るのは、浄化と祝福の波動。


目の前に現れたのは――人ならざる存在。

それは、祝福に“呪いの否定”を刻み込まれた最初の神代兵だった。


『対象:カースリンク所持者。抹消を開始します』


黒い甲冑に黄金の紋が輝く。

両手に装備された双剣からは、呪いを消し去る絶対反応が放たれていた。


「面白え……俺に“相性最悪”ってわけか」


ロイは笑う。


だが、その瞳に恐れはなかった。


(……俺はもう、呪いを否定しない。受け入れた上で超えてみせる)


「上等だ、化け物。……“祝福の偽神”どもに伝えろ」

「呪いは、もう――恐れる力じゃねえ」


ロイは、“呪いと共にある者”として、最悪の敵へと挑む。


第三章、熾烈な戦いの火蓋が切って落とされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ