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第三章_王都潜入

――王都セレスティア


それは、神に選ばれた者たちが集う聖地。

中心には巨大な神殿がそびえ立ち、空に浮かぶ《神託の塔》は、選別された者にのみ“祝福”を与えるとされる。


そこに、ひとりの青年が足を踏み入れた。


「……さて、呪われた庶民が王都に入るなんて、前代未聞だろうな」


ロイ・フレイ。


呪い装備による限界突破スキル《呪装適応カースリンク》を持ち、

聖騎士団を倒した“最凶の異端”である。



王都への侵入は容易ではなかった。


街の出入り口には、祝福を受けた“白銀の守護兵”たちが立ち並び、魔力感知と神聖検査が行われている。


だが――ロイの呪いは、感知を“反転させる”。


「祝福反応、異常なし。……入れ」

兵士は無表情に通した。


(“祝福の検知に反応しない”ってのが、呪装の強みだな……)


呪いが“存在しないもの”として扱われる限り、ロイは堂々と、敵の中心に入り込める。



王都に入ったロイは、まず“異端狩り”の実態を探った。


「呪い持ちがいるって? そんな奴、神託の塔が見逃すわけないだろ」

「そもそも祝福のない奴はここじゃ生きていけない。最低でも《庇護の加護》を持ってないと、職すら無いよ」


――噂の通り、この街は祝福なしでは生きていけない構造になっていた。


それだけでなく、“庶民”という言葉すら廃れていた。

今や、民は「祝福者」「未選者」「異端者」に分けられ、

“未選者”でさえ、限られた年齢までに祝福を得られなければ強制追放される。


「……徹底してやがるな」

ロイはつぶやいた。


ここにこそ、“この世界の病”がある。


祝福こそ正義。

選ばれし者こそ価値がある。

神の言葉に背く者は、存在してはならない。


それがこの街の“常識”だった。



夜。

ロイは王都の地下――古文書の隠された“異端者の避難所”へ向かう。


そこには、かつて神託に抗った者たちの記録が眠っていた。


「ようこそ、異端の英雄殿」


暗がりから声がした。


現れたのは、片目を包帯で覆った男――

名前は《リィド・ガラム》。

元・神殿騎士であり、現在は王都の地下で反体制活動を続けるレジスタンスのリーダーだった。


「聞いてるぞ。聖騎士団を呪いで沈めたってな」

「……話が早そうだな」ロイは目を細めた。


「協力してくれるか?」

「もちろん。だが――ひとつだけ忠告を」


リィドは神託の塔を指差す。


「あの塔には、“神の代行者”がいる。

名を、《祝福王子ヴィゼル》」


「彼は、祝福を授ける存在じゃない。

“祝福の定義そのもの”を操れる、異形の化け物だ」


ロイは、その言葉にわずかに目を細めた。


祝福の“定義”を操る――つまり、“祝福と呪いの境界を壊す存在”。


(それが本当なら……そいつは、俺の“呪装適応”を無効化できる……)


「おもしれえ」

ロイは笑った。


「神だろうが、祝福の本体だろうが――この呪いで、ぶっ壊してやるよ」



こうして、ロイの“王都侵入作戦”は幕を開けた。


だが彼の知らぬところで、

神託の塔はすでに“異常な呪いの波動”を感知し、最上位兵《神代兵》の召喚を始めていた。


そしてその中には、“呪いに適応する者”を抹殺するために生まれた、

【対カース特化兵:カースバニッシャー】の姿が――



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