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蒼剣の騎士、アスフィル

王都から離れた空中庭園《セレスティア緑塔》。

その頂にある転移門が、青白い光を放った。


転移陣から姿を現したのは、一人の青年。


長い黒髪を後ろでまとめ、無駄のない銀装束を身にまとった彼──

その背には、左右非対称の巨大な双剣が交差するように背負われていた。


「……ここがスレイブレーンか。噂通りの亡者の街だな」


アスフィル・グリード。

王国直轄第三階位祝福者《蒼剣の印章》保持者にして、現王の私兵筆頭。


彼の瞳は冷たく、けれどどこか退屈そうだった。


「王の命令は『調査と排除』。……まあ、“どこまで遊べるか”ってところか」


彼の足元に、風のように現れた女が膝をつく。

灰色のヴェールを纏ったその女は、《王都影使シャドウ》と呼ばれる諜報部の一員だった。


「報告を。標的ロイは現在、呪装兵団を結成し、スレイブレーン地下に根を張りつつあります」


「確認された装備数、呪装装備28。適応者23名。うち3名が“適応特異型”に該当──」


「へぇ。面白くなってきたな。まるで“ゲーム”だ」


アスフィルは薄く笑い、双剣の片方──蒼く輝く大剣を背から引き抜いた。


「さあ、“祝福の意味”ってやつを教えてやるとしようか、ロイ」



スレイブレーン地下、第七区画。


新設された訓練所には、呪装を装備した訓練兵たちの掛け声が響いていた。


「うっ、重い……でも……ッ!」


「うわッ、腕が勝手に震える!? これ……痛ッ、いや、違う……強くなってる!」


試作段階の呪装は、まだ制御が難しく、使用者の精神と肉体に大きな負荷をかける。

それでも、若者たちは“前に進む力”を掴みかけていた。


「呪いを道具として扱うには、“覚悟”が必要だ」


ロイは静かにそう呟く。


「だがその先にある力は、祝福の上をも越える。……俺が証明する」



その夜。


スレイブレーン第七区画の地上入口──その扉が爆風で吹き飛んだ。


灰塵の中、ゆっくりと歩み出る一人の騎士。


「誰──ッ!? 侵入者ッ!?」


見張りの兵が警戒態勢を取るも、次の瞬間──彼の前に立っていた五人が、一瞬にして倒れ伏した。


「剣が……見えなかった……」


呟くように言った兵の目は、既に白目を剥いていた。


「挨拶代わりだ。名乗ろう」


アスフィルは淡々と名を告げる。


「王国直属、第三階位祝福《蒼剣の印章》保持者、アスフィル・グリード──」


「ロイ。貴様に“宣戦布告”をしに来た」



その報せは、即座にロイのもとへ届いた。


「……とうとう来やがったな、王直属」


レムが険しい顔で言う。


「ヤツは強い。祝福の中でも別格だ。“無詠唱連斬”、“超速加護”──あらゆる戦場で一人軍隊と呼ばれている」


「どれくらい強いんだ?」


「前線騎士50名を、たった10秒で壊滅させたという記録がある」


「おいおい……それ、笑えないぞ」


ロイが苦笑いを浮かべながらも、眼は鋭さを増していた。


「……よし、迎え撃つ。地下には避難を」


「無謀だぞ! まだ兵団も発展途上──!」


「だからこそ、今ここで“勝つ意味”がある」


ロイはゆっくりと、《呪装適応カースリンク》のスキルを展開する。


「この“呪い”が、祝福を打ち倒す未来を見せるために──!」



地上にて。


ロイとアスフィル、ついに対面。


沈黙の中、互いの距離を測るように睨み合う。


「お前がロイか。見た目は……案外普通だな」


「お前がアスフィル。祝福を信じきったバカ面ってのは、やっぱり本当にあるんだな」


「……気に入った」


アスフィルがゆっくりと双剣を構えた。


「さあ、呪いと祝福。どちらが“真に世界を導く力”か、試してみよう──」


青白い光が迸る。


その瞬間、地上の戦いが始まった。



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