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反逆者、聖騎士団を撃退す

光が降り注ぐ。

まるで神の怒りが世界を照らすかのように、聖騎士団が展開する陣は完璧だった。


「呪装者、確認。深淵汚染指数:SS。脅威認定:討滅対象」

「各部隊、即時展開。神聖結界・第三層、展開!」


白銀の鎧に身を包んだ精鋭たちが次々と空から降り立ち、ロイを包囲する。

彼らは全員、祝福を授かりし“選ばれた者”――王国最強戦力、聖騎士団リング・オブ・セラフ


対するロイは、ひとり。

身に纏うは、世界最凶の呪装具《深淵王の黒鎧》。

全ステータスマイナス9999という死に装備……だったはずのもの。


しかし今、その呪いはロイの力となり、黒く脈動している。


《呪装適応・超臨カースリンク・オーバードライブ


限界突破による負値の反転処理


虚無因子による現実干渉を開始


ロイが一歩、前へ出た瞬間。

地面が「溶けた」。


「なっ……!? 結界が……空間そのものが喰われている……!?」


虚無の力。それは“属性”ですらない。

祝福も、魔法も、物理も。全てのルールを喰らい尽くす。


「射撃班、呪浄の矢を放て! 固定陣形を保て!」


上空から聖騎士たちが放ったのは、祝福魔術によって精製された光の矢。

呪いに特化した対策兵装――だが、それはロイに届くことなく、彼の周囲で霧散した。


「意味がない……!」


ロイは言葉を発することなく、ただ片手を横に薙いだ。

するとその“空振り”の一撃が、騎士団の前列五名を跡形もなく消し飛ばした。


「な、何が起きた……っ!?」


「……ただの空間削除だ。俺にはもう、祝福の法則が効かない」


それは、かつて“落ちこぼれ”と蔑まれていた男の声だったとは思えない。

圧倒的な重圧。周囲の空気ごと、支配している。


セルディアは剣を構え、命令を叫んだ。


「後衛は下がれ! 魔力再循環を封印しろ! これは……もう人間じゃない!」


だが遅い。ロイの身体が、歪みに包まれたかと思うと――


「“虚無斬界”」


次の瞬間、空間ごと真っ二つに裂かれた。

祝福結界も、聖剣の障壁も、何もかもが機能しない。

二十人いた騎士団の半数が、一撃で無に還った。


「ふざけるなあああああああああああっ!!!」


セルディアが吠えた。

その怒りは、かつての親友が自分たち“選ばれし者”を超えていった事実への、魂の叫びだった。


「お前は! 俺と共に戦うはずだった……!」

「祝福を受けられなかった? だから呪いに堕ちた? ……それで、すべてを壊す気か!」


ロイの目は、どこまでも静かだった。


「違うさ、セルディア。俺は“堕ちた”んじゃない」

「最初から、選ばれなかっただけだ。祝福を得られなかった庶民が、ただ生き残るために呪いに適応した。……それだけだ」


「貴様あああっ!!」


セルディアが神剣を振り下ろした。

神の力を宿す《セラフィムブレード》。あらゆる呪いを祓う、聖なる一撃。


だが。


ロイの剣と交差した瞬間――


神剣は、折れた。


「な……ッ!!」


「俺の呪いは、祝福を喰う。もう、“選ばれた者”が上に立つ時代は終わりだ」


セルディアの膝が崩れ落ちる。彼は全身から力を失い、立つことすらできなかった。


その場に残ったのは、ロイただ一人。

そして、彼の背に揺らめく漆黒の瘴気。

それはまるで、世界に“新しい秩序”を告げるかのようだった。


こうして、ロイは“最初の勝利”を手にする。

祝福のエリートたちを退け、呪いの力で世界に宣戦布告したのだ。


「これは反逆だ。だが同時に、革命でもある」

「呪われし者の名において、俺は……この世界を壊す」

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