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◆ 第162話 ──綻びを斬る。そして、灰王は縛られる

祝福が、乱れていた。


Ωの身体から噴き上がる白光は、

もはや制御でも純化でもない。


暴走した“正義そのもの”。


Ω

「排除……排除……

 祝福に不要な存在を……!」


ロイは、灰剣を低く構えた。


視界の端で、

アークが膝をついている。


息は荒く、

槍を支えにして、ようやく立っていた。


ロイ

「……無茶しやがって。」


アークは、顔を上げて笑った。


「……ロイさん……

 “盾”ですから……

 このくらい……」


祝福の波が、再び膨れ上がる。


だが――

ロイには、はっきりと見えていた。


祝福の奔流の中に、

アークが穿った“一点”。


祝福同士がぶつかり、

歪み、

ほころんだ場所。


(……あそこだ。)


ロイは、深く息を吸う。


(世界の外。

 祝福の内。

 その“境目”。)


灰が、静かに舞った。


ロイ

「終わらせる。」


Ωが、ロイを見る。


その瞳には、もはや余裕はない。


「灰王……

 なぜ……

 祝福に従わない……!」


ロイは、答えなかった。


ただ――

踏み込んだ。


灰反転《Re:Ash》


速度でも、時間でもない。


“綻び”にだけ、

存在を滑り込ませる。


灰剣が、

祝福の奔流を――縫うように進む。


Ω

「――ッ!?」


斬撃は派手ではなかった。


爆発も、閃光もない。


ただ、

布を裂くような音。


ズ……ッ


Ωの胸部。


祝福炉心を覆っていた“正義の層”が、

一直線に裂けた。


白光が、止まる。


Ωの身体が、

ゆっくりと崩れ落ちていく。


Ω

「……そうか……

 私は……

 祝福の“形”でしか……なかった……」


ロイは、剣を下ろした。


「形に縋るから、

 綻びができる。」


Ωは、かすかに笑った。


「……君は……

 本当に……

 厄介だ……」


次の瞬間。


Ωの身体が、

光となって弾けた。


祝福の塔を満たしていた圧力が、

一気に消える。


静寂。


戦いは――

終わった。



ロイは、ふっと息を吐いた。


「……勝った、か。」


だが、その直後。


ガクッ


膝が、崩れた。


アーク

「ロイさん!?」


バルドル

「ロイ!!」


ロイの身体から、

灰が――抜け落ちていく。


力が、急激に削がれていく感覚。


ロイ

「……っ……

 何だ……これ……」


そのとき。


祝福の塔の最深部から、

**最後の“祝福の意志”**が立ち上がった。


声とも、概念ともつかない響き。


『灰王ロイ。

 世界は、あなたを“危険”と判断した。』


ロイは、笑った。


「……今さらだろ。」


『ゆえに、完全消滅ではなく――

 封印を選択する。』


祝福の光が、

ロイの身体に絡みつく。


『あなたの力を、

 三つに分割し、

 三つの眷属に託す。』


ロイ

「……眷属?」


答えるように、

光が三つに分かれた。


一つは、

剣の形をした灰。


一つは、

獣の影。


一つは、

人の輪郭を持つ光。


それらは、

祝福の力に包まれ――


世界の各地へと、弾き飛ばされた。


アーク

「なっ……!

 ロイさんの力が……!」


ロイの身体から、

圧倒的だった力の大半が消えていく。


呼吸が重い。

視界が狭い。


ロイ

「……はは……」


それでも、

ロイは立ち上がった。


「全力……

 出せねぇ身体に……されたか。」


バルドル

「ロイ……!」


ロイは、空を見上げる。


「悪くねぇ。」


アーク

「え……?」


ロイは、にやっと笑った。


「探す理由ができた。」


拳を握る。


弱くなった。

確実に。


だが――

終わっていない。


「三つの封印。

 三つの眷属。」


ロイ

「全部、ぶっ壊して――

 取り戻す。」


祝福の塔が、

崩れ始める。


灰王連合は、

崩壊する塔から脱出する。


その背中は、

最強ではない。


だが――

再び強くなることを、約束された背中だった。


◆ 次章予告


灰王封印解放編


・世界各地に散った“三つの眷属”

・力を失ったロイの、ギリギリの戦い

・仲間の真価が問われる戦闘

・そして――

 “逆張りの力”が、本当の意味で牙を剥く

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