選別の門(アセス・ゲート)
──封絶領域・エントラ。
その最深部、《奈落の門》と呼ばれる巨大な空間の前。
ロイたちは、世界にただひとつ存在する“呪いの根”への入り口に辿り着いていた。
門はまるで心臓のように脈打ち、瘴気と共に呻き声を漏らしている。
「これが……“大呪核”への道……」
ルミアが呟いた。
その目の前に立つ、呪いで作られた“門”には、こう刻まれていた。
『祝福を捨て、呪いに適応した者よ。ここより先は、《存在の価値》が問われる』
ロイが一歩、足を踏み出そうとした時──
「その先に進むには、“選別”を受けてもらう必要がある」
虚空から声が響いた。
現れたのは、白の法衣をまとった男。
その背中には純白と漆黒の翼を併せ持ち、顔は仮面で隠されている。
「貴様……白き虚神教……!」
ルミアが睨みつける。
男は名乗った。
「我が名は《ルシファ=コード》。祝福と呪いを統一せし最初の使徒。
虚神エイヴァの意思の代行者だ」
彼の足元から、再祝福兵が次々と現れる。
「ここはただの道ではない。世界の“意思”が選びし者しか、大呪核には触れられぬ。
その資格があるか──“戦いによって”証明してもらおう」
ロイは呪装を展開した。
《呪装適応:完全展開──フェイズⅢ》
《装備:デスペリアの鎖/憤怒の涙/黒の牙環》
《効果:自身の最大HPに応じて攻撃力倍率上昇+呪属性耐性貫通》
「じゃあ──いつもの通り、殴り合いで答え出すだけだろ」
そして、ルシファ=コードとロイの“呪いと祝福の融合戦”が始まる。
◆激戦の中で、リリィが目を覚ます
そのとき、気絶していたリリィが、ラムダの影を宿したまま目を覚ました。
「……また、お兄ちゃんが一人で背負ってる……」
彼女の手が震える。
「でも、私も……“適応”してるんだ。
だったら、私だって……行けるはず──!」
《スキル起動:カースリンク・サクリファイス》
《効果:自分の魂の一部を代償に、他者の呪装適応を強制強化》
ラムダが警告する。
「それ以上進めば、もう元には戻れない」
リリィは笑った。
「それでも、“お兄ちゃんの背中”を見ていたいの」
そしてリリィが放った力により、ロイの呪装が進化する。
《超適応形態・深紅鎖装》
《効果:失ったHPに応じて、攻撃・速度・抵抗が指数関数的に上昇》
「うおおおおおおおおッ!!!」
爆発的な力と共に、ロイがルシファを叩き潰す。
その一撃で、虚神の使徒は仮面を砕かれ、地面に膝をつく。
◆敗北と“真実の一端”
「……面白い。これが、呪いの……進化……」
ルシファ=コードはなおも笑っていた。
「この程度では終わらぬ。我らの本命は“適応者の深層”。
……貴様の妹は、その器に過ぎん」
そう言い残し、彼は虚空へと消えた。
リリィは崩れるように倒れ、ロイがすぐさま抱き上げた。
「大丈夫だ、リリィ。絶対に、お前だけは失わねぇ」
そのとき、《奈落の門》が、静かに開いた。
扉の向こうには、無数の“呪われた記憶”が渦巻いていた。
『ようこそ、“大呪核”の前へ。ここは、全ての始まりであり、終焉の地』
ロイの旅は、いよいよ“真実”の核心へと足を踏み入れる。




