◆ 第158話 ──止まっていた一週間
ロイの灰剣と、Ωの白光が衝突する――
その直前。
世界が、止まった。
音が消える。
風が止まる。
灰も、光も、宙に固定される。
完全な静止。
アークの瞬きが途中で止まり、
リリィの祈りの唇が半開きのまま固まり、
バルドルの踏み込みも、
空中で凍りついた。
――だが。
ロイの指先だけが、わずかに動いた。
「……あ?」
ロイは、ゆっくりと周囲を見回した。
「……止まってるな、これ。」
祝福の塔。
仲間。
瓦礫。
空気。
全部、止まっている。
だがロイの思考は止まらない。
(速度じゃねぇ……
これは……)
ロイの視線の先で、
Ωだけが――普通に歩いていた。
カツン……カツン……
白い足音だけが、
静止した世界に響く。
Ωはロイの前に立ち、
静かに告げる。
「気づいたか、灰王。」
ロイは眉をひそめる。
「……時間、止めてんのか?」
Ωは微笑んだ。
「正確には、
祝福時間支配」
ロイ
「ネーミングはさておき……
やっぱそうか。」
Ωはロイの周囲を歩きながら語る。
「祝福は“速度”を極め、
やがて“時間”に到達する。」
ロイ
「で、世界を一週間ほどフリーズ、と。」
Ωの視線がわずかに鋭くなる。
「……妙だな。
“体感時間”の誤差に気づいたか。」
ロイは鼻で笑った。
「悪いな。
俺、止まってる時間ってのが
どうにも肌に合わねぇ。」
Ω
「通常、人間は認識すらできない。
止まった世界では“存在できない”。」
ロイ
「呪いのおかげだろ。」
Ω
「……そうだろうな。」
Ωはロイの背後に回り、
首元に指を添える。
「この状態なら、
君を殺すことは容易い。」
ロイ
「……やってみろよ。」
Ωの指が、わずかに止まった。
「……本当に不思議だ。
君は“祝福時間”の中で
完全には止まらない。」
ロイは、にやりと笑った。
「世界に嫌われてるからな。
時間にすら、混ぜてもらえねぇ。」
Ω
「……欠陥。
だが──」
Ωは一歩下がる。
「その欠陥こそが、
君を“敵として成立させている”。」
次の瞬間。
カチッ
という音と共に、
世界が再起動した。
轟音。
風。
灰。
光。
すべてが一斉に動き出す。
アーク
「――え!?
い、今……何が……!?」
リリィ
「……?
……あれ……?」
バルドル
「……ロイ。
今……“間”がなかったか……?」
ロイは灰剣を構え直し、
Ωを睨んだ。
「今のは……
次は効かねぇぞ。」
Ωは静かに告げる。
「当然だ。
“時間停止”は切り札だ。」
ロイ
「一週間分も止めるからだろ。」
Ω
「……祝福には“準備”が要る。」
ロイは口角を上げた。
「じゃあ次は、
止める前に殴る。」
Ωの瞳が、はっきりと笑った。
「できるものなら。」
灰と祝福が、再び激突する。
速度の次は、時間。
だがロイは――
時間にすら、従わない。
体調不良になりまして。
もしかすると今後休む事多くなるかもです。




