◆ 第152話 ──塔の静寂、最終祝福体Ω
祝福の塔・外縁。
ロイたちが塔の入口に足を踏み入れた瞬間、
アークが息を呑む。
「……音が……しない……?」
リリィが小さく頷く。
「まるで……塔そのものが“死んで”いるような……」
バルドルが剣を握る。
「騎士団も審問官もいない……?
何があった……?」
ロイは柱の影を指差した。
「……血痕もない。
死体もない。
戦闘の痕跡すらねぇな。」
エファトが床に触れ、目を細める。
「祝福の流れが……全部、奪われてる。」
アーク
「奪われてる……?」
バルドル
「まさか、塔そのものが“何者か”に……?」
ロイが歩を進める。
その先には──
“白い粉末”のような残滓。
リリィ
「これ……人の……形……?」
アークが震える声で言う。
「これ……鎧……?
もしかして塔の守護騎士……?」
ロイは黙って跪き、残滓を指で払う。
鎧が、あるべき形のまま崩れ落ちて固まったように見える。
バルドルは真っ青になった。
「これは……間違いない。
祝福塔最強の守護者、
《白鎧》の……ルーガス……!」
皆が息を飲んだ。
アーク
「最強の騎士が……こんな……!」
ロイはゆっくり立ち上がる。
「誰にやられたか……
もうわかってる。」
その言葉と同時に──
塔の奥から、
白い光が“歩いてくる”音が響いた。
コン……コン……コン……
白銀の青年が姿を現す。
Ω。
全身から祝福が漏れ出し、
世界そのものから掌握されている気配があった。
Ω
「来たか……灰王。」
ロイ
「お前が……ここの皆を喰った張本人か。」
Ωは微笑む。
「喰ったのではない。
“統合”だ。
祝福の理に従い、
不要な個体は処分した。」
アークが叫ぶ。
「ルーガスさんまで……!?」
Ω
「強者だった。
だが“器”としての容量が足りなかった。」
アーク
「人を“器”って……!」
Ω
「祝福世界において、個体に価値はない。」
ロイは灰剣を肩に乗せた。
「そうか。
なら……俺がここで、お前を否定する。」
Ωの瞳が鋭く光る。
「呪いの王──灰王ロイ。
君を討つことで、祝福は完全体となる。」
二人の“視線”がぶつかった瞬間──
塔の空気が震えた。




