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◆ 第145話 ──戦場、再会の刃

反逆審問官の第三波が姿を現した。


先頭に立つのは、

白いマントを翻す一人の若き騎士。


その瞳が、アークを射抜いた。


「……アーク?」


アークの顔から血の気が引く。


「あ……っ……レオン……!」


バルドルが眉をひそめる。


「知り合いか?」


アークは震える声で、うなずいた。


「同期だ……訓練学校の……

 僕よりずっと優秀な……“祝福の騎士”だよ。」


レオンは静かに剣を抜いた。


その刃には祝福の光――

かつてアークが憧れた輝きが宿っていた。


「アーク。

 君が“灰王側に寝返った”と聞いたとき、

 信じられなかった。」


レオンの声は冷たくも、どこか悲しい。


「戻ってこい。

 君は議会に属すべき人間だ。

 ……こんな連中と一緒にいるべきじゃない。」


アークは歯を食いしばり、首を振る。


「違う……!

 僕は、もう“あっち側”には戻れない!」


レオンの表情が曇る。


「アーク……

 その選択は、死を意味する。」


アークは槍を構えた。


「それでも……僕は“盾”でありたい。

 守りたい人がいる……!

 それが、僕の居場所なんだ!!」



ロイは二人のやり取りを見て、ぼそりと言った。


「“盾”。

 やるじゃねぇか。」


アークの背筋が伸びる。


ロイは灰剣を肩に乗せ、

じろりとレオンを見た。


「で、お前がアークの昔の友達ってわけか。」


レオンは睨み返す。


「友達じゃない。

 こいつは“裏切り者”だ。」


ロイは大あくびをした。


「へぇ。

 裏切り者って言葉、安いよな。」


レオンの眉がぴくりと動く。


「黙れ、呪われし者……!」


レオンは聖光を纏い、前へ飛び出す。

速い――

アークよりも、バルドルよりも。


だがその刃は、ロイに届かない。


ロイが一歩踏み込み、

灰剣の柄でレオンの剣を弾く。


「“盾”、そいつはお前がやれ。

 昔を清算しろ。」


アークの目が大きく見開かれる。


「ロイさん……!」


ロイは背を向けた。


「俺は雑魚の群れを潰す。

 お前はお前の戦いをしろ。」


バルドルが笑う。


「“成長を見届ける”って態度だな。」


ロイは鼻で笑った。


「違うよ。

 俺は――仲間を信じてるだけだ。」



レオンがアークに向き直る。


「君が……僕と戦うというのか?」


アークは槍を握りしめる。


「うん。

 僕はもう逃げない。」


レオンの瞳が悲しげに揺れる。


「アーク……どうしてこんな道を選んだんだ……」


アークの声は震えていた。


「君と同じだよ、レオン。

 僕も“正しい”と思った道を選んだ。」


次の瞬間――

二人は同時に踏み込んだ。


刃と刃がぶつかり合い、

火花が戦場に散った。



ロイとバルドルは前線へ。


リリィとガブリエラはアークを見守り、

「信じてる」と小さく祈った。


灰王連合の戦いは、

また一つ新たな局面へと突入する。

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