『灰王連合、始動!』 ◆
黒鉄の行軍音は、
大地そのものを震わせていた。
反逆審問官を中心に、
議会直属の兵が数百単位で迫ってくる。
バルドルが剣を構えながら告げる。
「議会は本気だ。
灰王を討つ気満々だぞ。」
ロイはあくびをしながら言う。
「何だよその“討つ”って。
俺、ただ歩いてるだけなのに。」
リリィが苦笑した。
「ロイは自覚が足りないんです……本当に……」
アークとガブリエラは無言で頷いた。
(どんな状況でも自然体すぎる……)
◆
しかし戦況は厳しい。
避難民たちを守りながら戦う必要がある。
アークが地図を確認しながら言う。
「この森の奥に、
避難地として使える洞窟があります!
まず村人たちを避難させましょう!」
ロイが見向きもせず答える。
「オーケー、盾。
お前の指示に従う。」
アークの瞳に光が宿る。
(僕の――判断が頼られている)
ロイは続けて言った。
「俺は後ろから敵を叩く。
リリィ、ガブリエラは治癒と支援。
バルドル……お前は、俺の横に立て。」
バルドルがにやりと笑う。
「それは命令か?」
「お願いだ。」
「ならば喜んで。」
短い会話に、
確かな信頼が滲む。
◆
ロイは灰の剣を肩に担ぎ、
一歩前へ出る。
「全員、生き残れよ。」
その言葉は――
誰よりも優しい命令だった。
灰の王が動く。
火花の中を突き抜けるように、
議会軍へ突撃。
灰王ロイ、戦場解禁。
敵兵たちが一斉に叫ぶ。
「灰王だ!!」
「呪いの王を討て!!!」
「恐れるな!!人類の正義を示せ!!!」
ロイは一笑した。
「正義ってのは……
都合のいい言葉だよな。」
灰の剣が半円を描き――
十数名の兵が吹き飛んだ。
アークが村人たちの前へ立ち、叫ぶ。
「僕を信じて!こっちへ!!!」
ガブリエラが涙を拭き、祈りを重ねる。
「アークを傷つけないで……っ
守りたいの……!!」
その祈りに応えるように、
光の盾が人々を包む。
◆
バルドルが大盾のようにロイの隣に立つ。
「お前の背中は――
俺が守る。」
ロイは鼻で笑った。
「ほざけ。
戦線を切り開くのは俺だ。」
バルドルが肩をすくめる。
「ならば俺は……
その“正しさ”を追い続ける。」
二人の刃が重なり、
聖と灰が共鳴した。
◆
議会兵が新たな機兵を展開する。
鉄輪の音が響く。
「反逆審問官・第二波!
“浄化型”投下!!!」
黒鉄の箱が降り注ぎ――
中から人間型の機兵が展開する。
バルドルが目を細めた。
「審問官の量産型……!
議会、正気を失っているな……」
ロイは肩を回す。
「数なら上等だ。」
その灰の笑みは、
戦争をも飲み込む覇気。
◆
アークは村人を洞窟へと避難させながら、
ひととき空を仰いだ。
声を震わせて呟く。
「僕は……
ここにいていいんだ。」
その背を、
リリィが力強く支える。
「一緒に、守りましょう。」
アークは頷き、
槍を構え直す。
「灰王連合、前へ!!
――自由のために戦う!!」
ロイが笑う。
「良い声だ。“盾”。
そのまま世界に聞かせてやれ。」
アークの声が戦場に響く。
『正義は一つじゃない!!
選ぶのは、僕たちだ!!!』
そして、全員が前へ踏み出した。
灰王連合――
正式に始動。




